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「読書感想文」をのりきるための7つの方法―だれでも書ける読書感想文の書き方―井出進学塾

こんにちは、井出進学塾です。

休校期間が長引いた分、各地で夏休みが短くなりましたが、それでも夏休みの宿題に「読書感想文」を課す学校が多いようです。

お子さんが、なかなか読書感想文が書けず、お困りの方も多いでしょう。
今回は、そういう中・高生および小学生の保護者様向けの記事です。

「読書感想文」をのりきる方法を考えていきましょう。
読書感想文を書くための7つの方法を紹介しますので、ご自分、あるいはお子様にあったものを選び、うまくはたらきかけてください。

なお、最初にことわっておきますと、私自身は「読書感想文」に、大、大、大反対です。それでも、書かなければいけないなら書かなければいけない、という立場です。

学校の先生でも、読書感想文を宿題に出すのやだな、と思っている方がけっこう多いそうです。

特に今回は、夏休みが短いですからね。
「先生も読書感想文はなしにしてやりたいけど、大人の事情でかんべんしてくれ。」と伝える学校の先生もいるようです。(これ、本当に今年は塾生さんらから、担任の先生がそう言ってたと、よく聞きます。)

とにかく、書けばよいです。
学校の先生たちも、多くのことを求めていません。

とはいえ、何でもいいから書けばよい、と言われても難しいですよね。
そこで、この記事では「とにかく」書くための方法を紹介していきます。
けっして、『よい』読書感想文を書くための方法ではないことは、あらかじめご了承ください。

順番としては、難易度の高い方から紹介していきます。
上の方のものは、小学校低学年・中学年のお子さんには、むずかしいでしょう。下の方で、順に低学年のお子さんにもとりくめる内容を紹介します。

それでは、始めましょう。

1.「『読書感想文』に反対している人の本(記事)」の読書感想文を書く

読書感想文を書けないということは、読書感想文を、いやだいやだと思っているということですね。

一方、『読書感想文』はよくない、と主張している学者さんや作家さんもたくさんいます。

読書感想文がいやだと思っている生徒さんが、そういう学者・作家の記事を読めば、賛同できる点が多々あり、いくらでも感想をかけるでしょう。
むしろ、本来の感想文のあり方に近くなりますね。

「読書感想文廃止論」というのは、以前から何度もとり出されています。

アマゾンで少し調べてみましたが、残念ながらよい書籍は見つかりませんでした。しかし、「読書感想文 反対」や「読書感想文 問題」などのワードで検索すれば、そのような内容の記事はいくらでも出てきます。

「本」でなく、「記事」でよいのか?といえば、それはよいでしょう。

学者さんや作家さんの記事なので、十分なボリュームがあるものも多いです。一部の芸能人が出してるような文字をバカ大きく、行間も広げてページ数を稼いでいるものに比べて、内容だけでなく文字数そのものも多い場合もよくあります。(そもそも、書籍化されてるものにしか感想を言ったらだめなのか?という問題にもなりますね。)

また、この方法に準じるものとして・・・
「読書感想文の書き方」・・・という内容の本が、多数、出版されています。

この種の本の読書感想文を書いてみるのも、おもしろいでしょう。
けっこう、つっこみどころが多いです。

さらには、これらの異種バージョンとして、
「読書感想文を、金を払って代わりにかいてもらうサービスがある」とか、「そういうサービスを頼んだところ、クォリティが高すぎて賞をとってしまい、とてもこまったことになった」などの問題に関する記事も、探せばでてきます。

こういう記事についての感想文を書いてもいいでしょう。(少し、やりすぎですね。)

2.批判する

よい本をみつけて、よい感想を書こうとするから難しいのかもしれません。

悪い本をみつけて、批判しようと思えば、書きやすいです。

例えば、動物や乗り物など自分が興味ある内容の特集本などで、このまとめ方はおかしい、とか、ここでこれを紹介しないのはおかしい、と感じたことがあったかもしれません。もし、そういうものがあれば、それをふくらませてみましょう。

また本全体でなくても、例えば小説本で、ある登場人物の行動や考え方が気に入らなければ、それをふくらませていってもいいでしょう。

実はこれは、わりと良い方針です。

今では、そんなことはないでしょうが、私が小学生の頃の課題図書って、ちょっと?のものが多かったような覚えがあります。

「そこで、あのいじめっ子が、そんなヒューマニティをみせるわけないじゃん」・・・という類(たぐい)のものなのですね。

「ふだんはいやなやつでも、よいところはある」・・・そういうチープな内容で読書感想文を書きやすくする、いえ、もっと言えば、課題図書に選ばれやすくする・・・そういう要素があるのではないかと、子どもながらにうすうす感じていました。(今は決してそんなことないだろう、と信じます)

もしも、私が小学校高学年のときに、この「批判する」というアイディアを思いついていたら、もしくは誰かにおしえてもらっていたら、きっと、そのような内容の文章を書いていたと思います。

さらに、この「批判する」は理にかなった文章作成法です。

大学入試の「小論文」の指導をすることがありますが、私は必ずこの方法で書かせています。

まず、起承転結の四段落構成なんて、あり得ません。
基本は三段落構成です。

これは、四段落構成は難しいからとかではなく、あまりよくないからです。欧米でも、昔から三段論法があたりまえですし、日本でもそうです。

その三段落の段落構成ですが、私がいつもすすめているのが・・・

一段落「そのテーマに関して自分が、いやだと思っている現状や考え方(ストレス)」→二段落「そのいやだと思っている現状や考え方に対する反論」→三段落「それらをふまえ、自分の意見の展開」

この、「ストレス」→「反論」→「展開」の構成で、しっかりした小「論」文になります。

これを、読書感想文にも応用できますね。

「その本の中で、自分がいやだと思った内容」→「なぜ、その部分がいやだと思ったのか」→「それらをふまえ、自分の意見の展開」

・・・ここまで書いてみましたが、あらためて、これはよい策ですね。
後々の、「小論文」の基本づくりにも自然となっています。

特に、何か気になる社会問題がある人だったら、それについてのどんな本を選んだとしても、いくらでも書けるでしょう。

3.ほめる(プレゼンする)

2.は言わば「けなす」でしたから、当然その反対も考えられます。

しかし、「ほめる」ではモチベーションが上がりづらい、とまではいいませんが、書きづらいのは事実です。ほめるだけでは、たんなる感想文です。(失礼・・・これは、読書「感想文」についての記事でした。我々のように文章を書く人間は、自分の書いた文が気に入らないとき、自戒の意味を込めて、「これでは、ただの感想文だ」ということがよくあります。「読書感想文」って、本当にたいへんだと思います。)

これに関し、昔お世話になった広告業の方が、ツイッターでよいアイディアを出してくれていたので、それをいただきました。

「ほめる」をさらにすすめて「プレゼン」しましょう。

感想文を読んだ友達が、その本を買ってみたくなるような感想文をめざしてみましょう。(基本は、いかに読みやすかったか〔ローリスク〕で、いかにためになったか〔ハイリターン〕のアピールです。ここでは、本旨に外れるので、ここまでにしておきます。)

自分が社会に出てから、あるいは起業してから、いかに自社製品をアピールするかの練習と思えば、モチベーションも上がるでしょう。そして、こういうのは絶対に悪いことではなく、とても大切な力です。

ただし、あまりよくない本を扱って、自分の口八丁でよいものにみせかけてやろうという方向は、やめておきましょう。
一部の人は、そういう法がおもしろそうだと感じるかもしれませんが、それはダークサイドですし、今の世の中そんな商売のやり方はうまくいきません。

4.絵本(さくらももこ)で読書感想文を書く

実は、これは何度かやったことがあります。

中3生や高校生の塾生さんで、夏休み宿題の読書感想文に困る人はけっこういますが、読書感想文に時間をとられ過ぎるわけにはいきません。

そんなとき、さくらももこさんの『コジコジ』という絵本をわたして、「これで書いてみな、」と言うと、たいていの生徒さんは、これならいくらでも書ける、と言ってすぐに仕上げます。(『コジコジ』はマンガで、その後アニメ化もされましたが、それとは別世界で、コジコジが主人公の絵本が出版されています。)

『絵本』でいいのか?と言われると、わかりませんが、いまのところばれてたいへんなことになったことは、ないですね。

そもそも、この方法の趣旨は、「絵本」ではなく、「さくらももこ」さんにあります。

彼女は、清少納言をこえる、日本史上最大の随筆家、と言っていいでしょう。

例えば、現在、「テストの前に限って、部屋のそうじをしたくなる。」という言葉をよく聞くことがあります。

私の知っている範囲ですが一番最初にこういう表現を始めたのは、さくらももこさんだったような覚えがあります。

もう数十年前の彼女のエッセイで、「仕事が忙しいときに限って、ふだんはまったく気にもならない部屋の汚さが気になり、部屋のそうじをしなきゃいけない、という気になる」という記述をみて、わかるな~・・・という気持ちになったことを覚えています。

これが、さくらさんのオリジナルかどうかは別にして、このような日常のリアリティを鋭く切りとる作家さんですからね・・・その作品を読めば、感想文は書きやすいでしょう。

結局、感想文がなかなか書けない、というのはその作品がその人に訴えかけるものがない、・・・もっと平(ひら)たく言えば、おもしろくないからです。

自然と書きたいことがあふれてくるような、(その人にとって)良い作品を探すことは、建設的な方法でしょう。

(追記:さくらさんの「忙しいときに限って、部屋の汚さが気になる」という心情描写に似たような例として・・・
シンガーソングライターの大江千里さんは、「テストの前に限っていつも 夜ふけまでラジオを聞いてます」と、多感な中高生がテスト前でさらに感性が高まっている情景とともに、美しく表現しました。
ここらへんのミュージシャンが、がちで詩を書きにいった曲の読書感想文なんて、魅力的なものができそうですね。・・・もっとも、認められるかどうか、わかりませんが…)

5.いっそのこと賞をとりにいく

なるべく時間をかけずに、かつ、ぶなんなものを・・・と考えるから難しいのです。

いっそのこと、本気で読書感想文で賞をとろう、と考えれば書きやすいです。結果として、賞がとれなくても、それはそれでいいです。
こういうメンタルの大転換で、あらゆる状況がよい方に向かっていく、ということは、実生活でもよくあることです。

そうなると「4」でみたように、本選びが重要になってくるでしょう。
でもそれは、ふだんから読書していてその中から選べる人なら簡単ですが、そうでなければ、それなりの努力が必要なことは覚悟しましょう。

また、どういった感想文が評価されるかも、よくわかりませんね。

「感想文」である以上、評価の基準はあってはいけないものです。
(それが『読書感想文』が批判される理由の大きな一つでもあります。)
私が以前みかけた、高校生の読書感想文の総理大臣賞をとったものは、一般にはなじみのない分野の「研究書」に対する感想文でした。その高校生の方も、ご自身が興味あるテーマに独自に相当なレベルでの研究を進めていて、その「研究書」の著者の研究のアプローチやモチベーションについての感想文だったそうです。・・・もはや「読書感想文」って何だろう?と思ってしまいますね。

先に紹介した「読書感想文の書き方」という本にのっている、文章構成は、だいたいどこも同じで・・・

1「その本を選んだ理由」→2「話の要約(2行程度)」→3「自分が感銘を受けたところを、ふくらます」→4「簡単なまとめ」

・・・といったところですが、これなら私が先ほど紹介した「ストレス」→「反論」→「展開」の段落構成の方がよっぽどおもしろいものが書けそうですよね(あれって、けっこうすごいんですよ)。

ここでは、「賞」をとりにいくため、新しさを追求してみましょう。
答えは出ませんが、参考になるものをあげていこうと思います。

まず思い浮かぶのは、本のレビューです。
ネット上でいくらでもみられて、おもしろいものはそれだけでおもしろいです。まったく興味のなかった分野の本でも、買ってみようかな、と思わせるものも多々あります。これは「3」プレゼンの内容にもつながりますね。

新しさを追求、という観点から、お一方(ひとかた)だけ紹介しておきます。
なんと、文学レビューのユーチューブチャンネルです。

文学YouTuberベル(リンク先はユーチューブチャンネル)

若い女性のユーチューバーです。チャンネル登録者数は12万人を超えています。話の展開法など、大いに参考になるところがあるでしょう。
また、「中学生におすすめの本」などのテーマの動画も出しているので、とてもいいですね。

私もこの人のファンというわけではないですが(もっとも、好きか嫌いかといったら、もちろん好きです…)、このユーチューブチャンネルをみつけたきっかけは、お話ししておきます。

私も塾経営をしている以上、公立高校入試、および県内の中学生に一斉に行われるテストの分析と解説資料の作成はしています。
その中で、国語の小説で扱われている題材が魅力的なとき、もう少しこの小説について調べておこうと思うと、かならずこの方の動画にたどりつきました。

また、これに関連し、テストで使われている評論文や小説題材に対し、鋭い分析をしすごい解説を書き残している、学校や塾の先生もいます。
少し変わったアプローチですが、そういうものを利用できる機会があれば利用してみるのもいいでしょう。

児童敵にまわる

ここまで少し、まじめに書きすぎたような気がします。
小学校低学年・中学年のお子様には、無理のある提案ばかりになってしまったかもありません。

もともと、読書感想文反対の立場から、ちょっとふざけてのりきり方を書いていくつもりでした。
ここからは、しっかりくずします。

6.あらすじをまとめて、よしとする

本の内容を指定された文字数にまとめる、というだけでたいしたものです。
大学入試対策として、「要約」の練習がうまくいかない高校生の方もいくらでもいます。

これで、「よし」とできる根拠を、もう少しあげておきましょう。

同じ本を同じ文字数にまとめたとしても、どの場面をピックアップするか?など、人によってばらばらになるはずです。

どの場面をピックアップするか?・・・それこそ「感想」ですね。

へりくつに聞こえるかもしれません。もう少し続けます。

1つのエピソードを拾って、・・・「ぼくは○○と思いました。」
また1つエピソードを拾って・・・「ぼくは○○と思いました。」

・・・というような文章構成になるから、ぎこちないし、書きづらいのです。

もっと大ざっぱに、話のあらすじをまとめる気で書けば、話のつなぎ方や展開のしかたに自然と感想があらわれます。逆にまったく主観を入れず、あらすじだけまとめることの方が難しいでしょう。

この方法で書くと、わりと感想文として違和感のないものになります。
試してみると、よいでしょう。

7.話をそらす。

小学校低学年のお子さんでも、例えば、動物園に行ってきた感想、・・・というような内容なら、わりとすらすら書けますよね。
実際に自分で体験し、感じたことが多いからです。

本を読むだけだと、そこまでの実感を持てない、ということともいえます。
先に紹介したユーチューバーさんも、自分の実体験とからめて視聴者にも興味を持たせるレビューをしています。

そうなのです、「実体験」が少ないので、低学年のお子さんに読書感想文は無理がある、ということは仕方のないことなのです。

・・・ということで、話をそらせましょう。

例えば、上記の動物園の例を使えば、動物園に行くシーンのある本を探し、「私が動物園に行ったときには、ライオンが寝ていて残念だった」・・・というような話からはじめ、そこから先は本の内容はおいといて、ご自分の動物園の思い出で話をふくらませましょう。

もちろん、学校の先生の「感想文」への評価は低くなるかもしれませんが、自身の体験をふくらますところがおもしろく書ければ、読書感想文としてのおもしろさも十分、出てきます。

私自身は、この方法で中・高時代の読書感想文をのりきってきました。

追記

富士山が世界遺産に登録される前の話です。

富士宮市内の小学校高学年(現高3~大1)に対し、「富士山をほめる作文を書いてこい」という課題が出されました。・・・ムチャブリです。

「地元の小学生たちもみんな、富士山の世界遺産登録を願っている」という形にしたいということでしょうし、世界遺産へという動きが強まっている中、小学生にもそれに参加させてあげよう、・・・ということでしょうが、ちょっと無理がありますよね。

私なんかは、けっこう不快で、「いっそのこと、『私は、富士山の世界遺産登録に反対です。』で書き出せ・・・」くらいに思っていましたが、小学生の方がけっこう大人で、まわりに同調して書くだけ書くよ・・・という雰囲気でしたね。(私の見ている範囲の話ですが…)

学校の先生たちも、書いてくれさえすればよい、と思っていたと思います。(もしかすると、「富士山への愛情がたりない!お前は、富士山を世界遺産にしたくはないのか!」という先生もいたかもしれませんが、それは、ひどくはずれだったということでいいでしょう。)

そういうこともあります。
読書感想文を、のりきっていきましょう。

以上です。
ご意見・ご感想、お待ちしています。

執筆:井出進学塾(富士宮教材開発) 代表 井出真歩


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