見出し画像

#7 インテリアリハビリテーション®から学ぶアフォーダンス

医療デザイン勉強会は毎月1回を目標に開催されています。今回のテーマは『インテリアリハビリテーション®』でした。

ゲストに株式会社リハブインテリアズ 代表取締役 池田由里子さんをお招きし、”インテリア” と/を ”リハビリする” ってことを勉強しました。そこからアフォーダンスというデザインの手法が見えてきましたので合わせて勉強していきたいと思います。

池田さんは、高校時代のケガがきっかけでリハビリテーション(理学療法士)の世界から、趣味・興味本位で勉強していたインテリアの世界に。そして、それらを融合させたインテリアリハビリテーションという新しいジャンルでご活躍されています。

そんな池田さんの熱意溢れる勉強会でした。

本日のグラレコと動画

グラレコはPTの豊原さん(https://note.com/ryoko_pt)です。

画像1

勉強会の動画はこちらです。

インテリアリハビリテーション®とは?

・場所としてのインテリアをリハビリテーションしていこう
・インテリアを通じた人々の心のリハビリテーション
という意味を込めて商標登録して使っているとのこと。

活動はとしてはインテリアが持っている本来の力が発揮できるように、デザイン/コンサル/セミナーを中心に行っています。

今回はセミナー(=教育)の部分を講義していただきました。

竣工後、3日目くらいから本来の意図していない使われ方がされている施設があり( ;∀;)、アフターケアの意味も込めて教育活動を行っているそうです。

画像2

事業主や建築家は長い時間をかけて建物・環境を作り上げていますが、使用者であるスタッフがそれを理解していないことが数多くあります。

また、医療従事者は、インテリアや環境の使い方を学校で学ぶことはありません。

そういった事情があり、池田さんらインテリアや環境の使い方を教育なさってるのです。池田さんの教育活動のゴールは事業主/理事長の思いをエンドユーザーである患者さんや地域の方に、施設の理念も含めたより良いサービスが提供できることです。

~医療福祉施設の環境づくりセミナー~

ざっくり講義を解説します。池田さんのセミナーは以下の6つの項目に分かれていました。

画像4

①理念
理念はとても重要。
建物は理念を反映させて作られているものであるから、スタッフは理念を意識して建物、環境を使ってほしい。
②接遇
整理整頓、環境は接遇。
環境が優れていないと接遇がいかに優れていても、印象が悪くなる。
サイン表示も丁寧な案内とも言えるので重要。
③集客
ソフト面だけでは判断されず、見た目の環境で判断されてしまうことも多い。
見た目が素敵だと人を惹きつける。
それは、利用者とその家族だけにとどまらず、職員にも影響。
④職場環境改善
業務効率化と事故防止環境づくりの下地として職場の片づけや整理収納が必要。
整理収納でに効率化できる部分が増えれば、”効率化できない業務”に時間をかけることができる。
▶ここにはコツがいっぱいありそうです
⑤環境を味方につけたケア
・何となく体が動く、何となく動作をしたくなるそういった環境づくり


例)

画像4三角巾をスカーフに変える ▶ おしゃれが楽しくてリハビリしたくなる

画像5

白い器に白いご飯 ▶ 白内障だと見えにくい 
黒い器にする ▶ 見やすいので最後まで食べられる!

⑥環境=スタッフ
環境をケアに活かし、大切に取り扱う!
居心地のいい場所があると、不安な利用者の方にとってはスタッフが寄り添うのと同じようになる。
池田さんからのメッセージ
美しい環境=習慣
スタッフは環境を使うデザイナー
しっかり教育することで経験値を増やして習慣できるようにしていきたい!

習慣化するということ

北欧にデザインとか美しい環境が根付いているのは習慣だから、ということでした。

習慣とは、『三つ子の魂百まで』というけれども、世代を超えた継続した教育の結果なのでしょうね。もちろん成長してからも習慣づけることはできるけれど、それはなかなか身に着けるのは難しかと思います。

これに対するソリューションとして、勉強会ではさらっとお話がありました。『一度習慣になっているものに紐づける』というものです。例えば、毎日スクワットをしようと思ったときに、お風呂に入る前に脱衣所で50回やってから、とかってこと。

そうやってもともと毎日行っていたことに新たなことを追加していくと習慣化しやすいのです。もちろん、知識として知るってことも重要で、そこが池田さんのなされている教育活動の目的でもあります。

効率化できない業務に時間を割く

整理収納でに効率化できる部分が増えれば、”効率化できない業務”に時間をかけることができる、というお話もありました。

前回の勉強会も、薬剤師の雑務を極力自動化することで、本来の業務に注力するという内容でした。

限られた人的リソースでより良い医療を提供しようと考えた場合に、自動化やインテリア/環境整備は非常に重要な要素だと感じました。

また、環境を整えることで事故を防止するというようなところにも発展できそうで非常に興味深かったです。インテリアや環境のデザインは医療安全にもつながっているのだなと。

このようにインテリア・環境を整えることで、人の動作を誘導し、その結果少ない人員でもより質の高いサービスを提供できるようになります。

こういうのをデザインの用語でアフォーダンスと呼んでいるみたいです。

アフォーダンスとは

アフォーダンス(affordance)とは、環境が動物に対して与える「意味」のことである。アメリカの知覚心理学者ジェームズ・J・ギブソンによる造語であり、生態光学、生態心理学の基底的概念である。「与える、提供する」という意味の英語 afford から造られた。(Wikipediaより

つまりどういう事だってばよ?って思いました。

そしたら物知りな理事のおひとりが
アフォーダンスっていうのは、
『知識がなくても動作できるきっかけ』
なんだよって教えてくれました。

そういうデザインの手法があるんですね。

さらに調べていくと、とても分かりやすいアフォーダンスの記事があったのでご紹介します。

で、以下の二冊がアフォーダンスの「元」となる書籍となりますのでもしよろしければ。

今回の勉強会におけるアフォーダンス

我々は、環境を捉えるときに、行動を促進させたり、制限させたりするような特徴を読みとっている。

というのをアフォーダンスの定義とした場合、池田さんの話では、「休憩所」とか「談話室」と案内しなくても、通路途中に椅子とテーブルを設置して、そこを利用者が憩いの場にしたのはアフォーダンスです。

あとは、収納の話でもラベルをつけたり、その収納ケースのデザインにこだわることによって、整理整頓しやすくする≒整理整頓したくなる、のはアフォーダンスと言えます。(桑畑)

モノに住所をつける ▶ 定位置管理
ができていると、
その位置にあるべきものが、そこにないのが気持ち悪い
出したままになっているモノを、考えずに元の位置に戻すことができるってことなんでしょうね(池田)

以上、今回はインテリア/環境を整えることで狙った行動を起こさせる、というアフォーダンスの勉強をしてきました。

そうやって見ると日常の医療にもアフォーダンスが散りばめられていそうですし、もうちょっとアフォーダンスがあればっていうのも見えてきそうです。

是非皆さんも日常のアフォーダンスを見つけてみてはいかがでしょうか。

株式会社リハブインテリアズについて

池田さんが経営されている会社です。
ご興味のある方はぜひこちらをご覧ください。

株式会社リハブインテリアズ 公式サイト

株式会社リハブインテリアズ facebookページ

日本医療デザインセンターについて

最後までお読み頂きありがとうございました。
勉強会は基本的には毎月第3木曜日の夜行っています。
詳しい内容などにつきましたては日本医療デザインセンターのWebサイトやSNSでご確認下さい。

医療デザイン大学(facebookグループ)
※現在公開グループですが、今後非公開グループになる可能性があります

医療デザインセンターのSNSもぜひ!
◆Twitter:https://twitter.com/medicaldesignjp
◆Facebook:https://www.facebook.com/medical.design.JPN
◆Instagram:https://www.instagram.com/medical.design.center.japan/

では、また!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?