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第2章 交互に変わる家~新しい家族の形~ 家族社会学の視点

 この記事は「共有身上監護-子どもの監護の取決めにおける学際的な洞察」の第2章を翻訳したものです。この文献はオープンアクセスです。原題名、原著者名は以下の通りです。
掲載書:Shared Physical Custody
    Interdisciplinary Insights in Child Custody Arrangements
原題名:Chapter 2
    Alternating Homes – A New Family Form – The Family Sociology Perspective
原著者:Elizabeth Thomson and Jani Turunen
 なお、翻訳にあたっては、英語のニュアンスを大事にして、“shared physical custody”を「共有身上監護(権)」と訳出しています。

第2章
交互に変わる家~新しい家族の形~ 家族社会学の視点

エリザベス・トムソンとジャニ・トゥルネン

要旨 本章では、核家族や一方の親が単独身上監護権を有する家族とは異なる、共有身上監護権を有する家族の構造的特徴を特定し、家族および親族関係への影響について議論する。特に、共有身上監護が子育てや親族関係のジェンダー的性質をどのように変化させるかに注目する。共有身上監護の構造的特徴が、親子の関係および兄弟姉妹の関係に異なる文脈を生み出し、家族間で共有される義務に対する理解に差異を生み出すというのが私たちの主張である。人間関係と義務に関する独自の文脈がともに、新しい家族の形を構成する。私たちの分析は、共有身上監護の性質とその結果に関する将来の研究の議題を生みだすものである。

キーワード 共有身上監護 離婚 ジェンダー ステップファミリー 親族関係

 子どもが母親と父親の家で交互に暮らすという共有身上監護¹は、新しい家族の形を生み出す(Melli and Brown 2008)。核家族とは対照的に、両親は離れて暮らしている。単独身上監護の家族とは対照的に、それぞれの親が、違うタイミングで居住者と非居住者の両方になる。この章では、核家族や一方の親が単独監護権を有する家族とは異なる、共有身上監護権を有する家族の構造的特徴を特定し、家族および親族関係への影響について議論する。私たちの分析は、共有身上監護の性質とその結果に関する将来の研究の議題を生み出すものである。
 共有身上監護が生み出す新たな家族形態の背景は、両親と未成年の子どもが通常、拡大親族とは別の自分の世帯に住む夫婦間の親族制度である。両親の関係は、経済的な絆は勿論のこと感情的な絆によっても特徴付けられる。そして夫婦の家族に対する義務は、より遠い親族に対する義務よりも強いと予想される(Parsons 1943)。この制度では、夫婦家族と核家族の境界が同一であり、固定された空間内で家族関係が構築され、維持される。また、同居は、通常、家族全員が親族との交流を同時に行い、共通の世帯や経済を通じて親族の支援が家族という集団に提供されることも意味する。
 夫婦家族制度では、別離した親は子どもに対する責任を保持し、子どもは両親のリソースと養育を受ける権利を保持する²。拡大親族関係と比較して、親子関係は依然として最も重要である。しかし、二世帯が成立すると、二人の親の間の関係、それぞれの親と子どもの間の関係、そして拡大親族とのコンタクトや交流の力学が変化する。子どもが、両方の親、または両方の拡大親族と同時に同じ場所で交流することは殆どない。子どもは、それぞれの親との関係や、それぞれの親の拡大親族との関係を、違うタイミングと違う場所で経験する。つい最近まで、新しい母方の世帯は、家族および親族関係の拠点として、新しい父方の世帯よりも特権が与えられていた。即ち、子どもは主に母親と一緒に暮らし、定期的に父親とその親族を訪問していた。別離した両親が監護権を共有する場合、どちらの親の世帯も主たる世帯ではない。
 以下では、世帯と家族生活のジェンダー化された特徴の変化から分析を始める。次に、(核家族や単独身上監護とは対照的に)共有身上監護が独自に生み出す家族生活の構造的特徴と、その特徴が家族間の関係にどのような影響を与えるかを分析する。更に、共有身上監護の取決めが両親の再パートナー作り、ステップファミリー関係、親族関係に及ぼす影響を調査する。私たちは、私たちの理論的推測に関して存在する希少なエビデンスを挙げるが、ここでは、そのようなエビデンスは現在、限られた数の社会的文脈でしか入手できないことを指摘する。

¹ 両親が出入りしている間、子どもが同じ家に留まることもある。このような取決めは通常、別離直後、それぞれの親が安定した住居を確保するまでの間だけなされる(Masardo 2009)。
² 親が常にこれらの責任と権利を負うわけではないが、法律によって親子関係が終了することは稀である。

2.1 性別役割分業の変革

 共有身上監護を有する家族の最も顕著な特徴は、両親の役割分業である。ジェンダー革命の第2段階では、父親も母親と同じ種類の責任、即ち年中無休の子どもの世話と子育てに責任を持つことが求められると主張する学者もいる(Bianchiら. 2012; DeRoseら. 2019)。共有身上監護は、父親にそのレベルのコミットメントを要求する。
 従って、共有身上監護がスウェーデンで最も一般的であることは驚くべきことではない(Bjarnason と Arnarsson 2011)。母親の就業(Oláh と Bernhardt 2008)や男性の家族の仕事(Ferrarini と Duvander 2010)も最前線にある。スウェーデンでは、ジェンダー平等の規範が最も強く、稼ぎと子どもの世話に対する親の平等な責任が他の国よりも強調されている(EdlundとÖun 2016)。スウェーデンは、父親と母親が平等に育児休暇を分け合うことを認めた最初の国であり(DuvanderとLammi-Taskula 2011)、子どもの世話に対する父親の責任は、共有身上監護を機能させるために重要であると考えられている(Harris-Short 2011)。
 また、ジェンダーの取決めは、ミクロレベルでも共有身上監護と関連付けられている。別離前に夫婦が賃金労働と育児において比較的高レベルのジェンダー平等を達成している場合、両親と子の同居から、それぞれの親と交互に暮らす子どもへの移行が促進される。母親が別離前にフルタイムで働いていた場合、共有身上監護になる可能性が高くなる(Bonnetら. 2017; Cancianら. 2014; Jubyら. 2005; Pelletier 2016; Poortmanとvan Gaalen 2017; Smythら. 2004)。たとえ父親の経済的貢献にもかなりの程度依存していたとしても(Cashmoreら. 2010; Le Bourdaisら. 2002; MaccobyとMnookin 1992)。共有身上監護権を有する父親は、身上監護権を有していない父親と比較して、別離前に子どもの世話や家族の仕事に従事し、子育てをより楽しんでいると表明している可能性が高い(Jubyら. 2005; KitterödとWiik 2017; Maerdo 2009; Pelletier 2016)。共有身上監護権を有する夫婦は、稼ぎ手としても監護者としても、それぞれの親のアイデンティティを高く評価している(BakkerとKarsten 2013)。
 夫婦のイデオロギー、好み、別離前の取決めに関係なく、共有身上監護は、高度なジェンダー平等を課す。例えばフランスでは、別離した親が子どもの物理的監護権を共有する場合、母親の労働参加がより大きくなり、父親の労働参加と似てくる(Bonnetら. 2017)。共有身上監護は、母親と父親の仕事の種類にも影響を及ぼす。母親は通常、子どもの世話をするために雇用条件に柔軟性を求めることが期待されているが、父親は違う。従って、共有身上監護権を有する父親は、子どもに対して全責任を負う場合、仕事や職業を変える必要が生じたり、問題のある従業員とみなされたりする可能性がある(Eriksson 2018)。共有身上監護権を有する親は、自分の仕事が家族の責任を果たす妨げになっていると報告する可能性が、身上監護権を有していない親よりも高いが、単独身上監護権を有する親よりは低い(Van den EyndeとMortelmans 2017)。しかし、居所の取決めに関係なく、別離した母親は別離した父親よりも、そのような仕事と育児の両立に対する葛藤を報告する傾向が依然として高い。
 同居する夫婦は子育てにおいて完全な平等を達成しているケースが殆どないため、共有身上監護は、別離前よりも、そして別居する父親よりも確実に、父と子の交流の機会と需要を増大させる。幾つかの研究は、それぞれの親と交互に暮らす子どもは、主に母親と暮らす子どもよりも父親との関係がより緊密であることを実証している(BastaitsとMortelmans 2016; Bastaitsら 2012; Cashmoreら. 2010; MelliとBrown 2008; Sodermansら. 2015; SpruijtとDuindam 2010; Vanasscheら. 2013)。このエビデンスは全て横断的なものであり、関連性の多くは(上記のように)共有身上監護に最も熱心に関与した父親を選択したことに起因する可能性がある。従って、共有身上監護が父親と子どもの関係に及ぼす潜在的な影響は、ある程度理論的なものに留まる。
 また、共有身上監護では、それぞれの親が養育責任を負わない時間が長くなることから、母親と父親の余暇の質も向上する筈である。限られたエビデンスによると、子どもの共有身上監護権を有する母親は、単独身上監護権を有する母親よりも社会活動が多いと報告されている。父親についてはそのような違いは報告されていないが、結果を見ると、共有身上監護権を有している親は、有していない親と比較してより平等であった(Bottermanら. 2015; Sodermansら. 2015)。
 従って、全体として、身上監護権を共有する親の家族および家庭生活は、身上監護権を共有しない離別した親の家族および家庭生活よりも遥かに平等に近く、核家族の親よりも平等に近い可能性が高い。後者の場合、稼ぎと監護が不平等な方法で分担される可能性があり、子どもがそれぞれと交互に暮らす親には利用できない。また、後のセクションで説明するように、子どもが常にではなく部分的に暮らしている世帯におけるジェンダーの変容は、ステップファミリーや拡大親族との関係のジェンダー特性にも影響を及ぼす。

2.2 世帯構成と家族関係

 平日の生活と週末や休暇中の生活の区別は、共有身上監護が生み出す新しい家族形態にとって非常に重要である³。週末に監護を担う親には24時間の責任期間があるが、育児と仕事を同時にこなす必要はないかもしれない。子どもは衣服やその他の必需品を1か所に保管し、もう一方の親を訪問するために旅行バッグに荷物を詰めることができる。平日に両方の親が子どもと暮らす場合、それぞれが少なくとも一定の時間は育児と他の活動を両立させねばならず、子どもは両方の家に必要なものを全て揃えねばならない。日常生活のこれらの構造的特徴は、子どもが暮らす場所に対する家族の認識に反映されているようである。子どもがそれぞれの親と交互に暮らしている家族のメンバーは、子どもが両方の親と一緒と暮らしていると見做す。訪問の取決めをしている家族のメンバーは、子どもの家は単独身上監護権を有する親の家であると認識する可能性が高い(BakkerとMulder 2013; Sodermansら 2014)。
 共有身上監護の2番目の構造要素は、「養育のサイクル」(Steinbach 2018:3)、即ち子どもが両方の親の間を行き来する頻度である。これまでの研究で最も一般的なサイクルは毎週である(BakkerとKarsten 2013; Berman 2015; Sodermansら 2014)。ある研究では、家庭間の移動は週末に合わせて発生する可能性が最も高いことが判明した(Sodermansら 2014)。従って、子どもはどの週でも居所から学校への安定した通学が可能であり、学校や仕事の休みに居所を移動する。通常週末を一方の親を訪問する時間にあてる家庭に比べ、両方の親が自分の家で子どもと余暇や仕事の日を過ごしている。
 親と子どもが一緒に過ごす時間の性質は、子どもが家の間を一定間隔で行き来している家庭と、両親が同じ家で暮らしている家庭、または主に一方の親と暮らしている家庭では根本的に異なる。両親が同居する家庭と比較すると、一方の親は、単独身上監護権を有する親と同じように、子どもの滞在中は常にそこにいて、食事時間から就寝時間まで、慰めから躾まであらゆることに従事する。一方の親がもう一方の親と子どもの関係を仲介する以上に、それぞれの親子関係がより直接的に構築され、子どもにより大きな自主性と交渉力を与える(Berman 2015)。フルタイムで養育に関与することで、親、特に身上監護権を有していなければ子どもの訪問しか認められない父親との親密感が高まる可能性がある(Franssonら 2018)。子どもは、両親が一緒に暮らしている家庭の子どもよりも、それぞれの親とより多くの時間を過ごすことさえある(Berman 2015)。一方で、それぞれの親と交互に暮らす子どもは、別離した二人の親とのコンタクトが頻繁になることで、より多くの葛藤にさらされる可能性がある(Drapeauら 2017)。
 兄弟姉妹の経験も、共有身上監護によって変わる可能性がある。別離した両親に二人以上の子どもがいる場合、兄弟は通常一緒に親の間を行き来します。兄弟が別々の親のもとでフルタイムで暮らす居所の取決めは稀である(Berman 2015; Meyerら 2017)。従って、兄弟姉妹と過ごす時間は、家庭の取決めで変わることはない。しかし、共有身上監護権を有することで、兄弟姉妹は、日常生活をどちらかの親と共有するよりも、日常生活のより多くをお互いに共有することになる(Wintherら 2015)。従って、兄弟姉妹関係は親子関係に比べて重要性が高まる可能性がある(Berman 2015)。
 共有身上監護権を有する親の日常生活は、核家族の親、単独身上監護権を有する親、または身上監護権を有していない親の日常生活とは大きく異なる。共有身上監護権を有する親は、自分たちの生活を、子どもの養育に熱心に取り組み、仕事に殆ど従事しないパートと、子どもの養育スケジュール上の制約から自由になって長時間働くパートの2つに分けていると報告している(BakkerとKarsten 2013; Berman 2015)。このように区切りを付けることは、家族と仕事との間のより強い境界線を生み出し、恐らく日常生活における全体的なバランスにも貢献するであろう。共有身上監護権を有する親は、単独身上監護権を有する親よりも時間的プレッシャーを殆ど経験していないが、身上監護権を有していない親よりは経験している(Van der Heijdenら 2016)。
 別離した両親の関係は、どちらか一方ではなく両方が子どもに対する第一義的責任を負っている場合とは異なる性格のものでなければならないことは、殆ど言うまでもない。共有身上護権の構造により、交渉すべき条件の数が増加し、別離した親同士のコンタクトの頻度も増加する。一方が監護権を有し、もう一方が監護権を有していない親の場合よりも、葛藤の要素は勿論のこと強力の要素も大きくなる可能性は高いが、協力の要素は核家族の夫婦よりも少ない可能性が高い。定期的な交替監護や様々な生活条件について意思疎通や調整を行うのに十分な協力関係を築けていない親は、身上監護権を共有する可能性が低くなる(Pelletier 2016)。殆どの研究では、共有身上監護権を有する親は、一方の親だけが身上監護権を有している場合よりも葛藤が少ないことがわかってる(MaccobyとMnookin 1992; Pelletier 2016; SpruijtとDuindam 2010; Sodermansら 2013; Turunen 2017)。但し、ここでのエビデンスは関係解消後に測定された横断的なものであり、従って、完全に身上監護権の共有における協力のプラスの効果によるものである可能性がある。裁判所や法律が共有身上監護を奨励する場合、より多くの高葛藤夫婦が最終的にこの共有身上監護の取決めに至る可能性が高い(Sodermansら 2013)。共有身上監護が別離した夫婦の関係を改善するのか悪化させるのかは未解決の問題である。

³ 一部の学者は、共有身上監護の定義をそれぞれの家庭における均等な監護時間に限定しているが、他の学者は、子どもが25%程度の時間を一方の親と暮らしている家庭、かつ/または、子どもが平日は一方の親と暮らしていない家庭を含めている(例えば、BakkerとMulder 2013; Meyerら 2017)。研究目的の新たな定義は少なくとも35%の時間を一方の親と暮らしている場合を指し、週末や休暇の訪問だけでは達成できないレベルである。

2.3 世帯と家族の安定性

 両親が別離した後の家族生活における重要な側面は、子どもの世帯の安定性である。地理的制約は、共有身上監護はそれぞれの親が別離後に転居する機会を減じ、安定性を高める可能性があることを意味する。従って、両方の親の家を交互に行き来する子どもは、どちらかの親と暮らす子どもに比べて、転居、転校、およびその他の空間的不安定を経験する可能性が低いと考えられる。フランスの最近の研究では、単独身上監護権を有する母親は、共同身上監護権を有する母親よりも夫婦の家に留まる可能性が高かったが、母親が転居した場合では、共有身上監護権を有する母親のほうが単独身上監護権を有する母親よりも近くに転居していたことが判明した(Ferrari ら 2019)。なおかつ、その後の居所の安定性は、依然として共有新語監護の家族に有利になる可能性がある。
 共有身上監護には経済力と結束力が求められるため、それ自体が不安定要素を生み出す可能性がある。即ち、子どもまたは親が、共有身上監護を維持するには時間と労力がかかりすぎると判断するのである。結局、それぞれの親と交互に暮らす子どものかなりの割合が、母親とだけ暮らすことになる(CloutierとJacques 1997; Klineら 1989; MaccobyとMnookin 1992; Pearson とThoennes 1990; Pelletier 2016; Smythら 2008; 但し、Bergerら 2008参照)。しかし、考慮すべき重要な点は、母親の家庭が子どもの生活の安定した部分であり続けるという事実である。
 世帯の不安定さは、誰が出て行き、誰が入って来るかによっても左右される。両親の別離は、往々にして、子どもが経験する一連の家族の変化の最初の出来事であり、多くの場合、その後にステップファミリーになったり、時には異母兄弟が生まれたりすることがある(Anderssonら. 2017; Thomsonら 2014)。母親または父親による身上監護と比較して、共有身上監護が子どもの世帯の安定性を変える可能性があるかどうかは明らかではない。子どもと同居すると、離別した親が新しいパートナーを見つける機会が減ったり、かつ/または、新しいカップルが一緒に暮らすための費用が増加したりする可能性がある(Ivanovaら 2013)。従って、共有身上監護権を有する母親の方が、単独身上監護権を有する母親よりも新しいパートナーを作る可能性が高い一方、共有身上監護権を有する父親の方が、身上監護権を有していない父親よりも新しいパートナーを作る可能性が低いことは驚くべきことではない(BakkerとMulder 2013; Jubyら 2005; Schnorら 2017)。従って、共有身上監護を有しているからといって、子どもに継親が出来る可能性が必ず変わるわけではないが、母親が単独身上監護権を有する子どもと比較して、子どもに継父が出来る可能性が高く、継母が出来る可能性は低いであろう。子どもの同居はステップファミリーの出産費用を増加させる可能性があるが、子どもの同居とステップファミリーでの出産との関連性を示すエビデンスは結果がまちまちである(Vanasscheら. 2015; Vikatら. 2004)。
 共有身上監護は、子どもとそれぞれの親との関係を強化し、その結果、親の新たなパートナー作りや異母兄弟の誕生に伴う変化を最小限に抑えられると期待できるかもしれない。母親が単独身上監護権を有している場合、父親に新たなパートナーが出来たり、新しいパートナーとの間に子どもが出来たりすると、父親と子どもの関係は弱まるように見える(CookseyとCraig 1998; McGeneとKing 2012; Seltzer 1991; SwissとLe Bourdais 2009)。単独身上監護権を有する母親の新たなパートナー作りに関しては、調査結果がまちまちである(Bergerら 2012; McGeneとKing 2012; SeltzerとBianchi 1988; Seltzerら 1989)⁴。Poortman とvan Gaalen (2017)は、父親の新たなパートナー作りは、共有身上監護から母親の身上監護への移行と関連していたものの、母親の新たなパートナー作りには父親の場合と同等の効果はなく、身上監護が共有されている場合でも、母親の世帯はある程度特権を与えられている可能性があることを示唆している。
 同居は家族の絆を構築する上で重要な要素であるため、継母と継父の役割は共有身上監護によって性質が変わる。継母と継父の両方は、かなりの時間、一緒に暮らす継子に物質的な支援を提供することが期待される(Ganongら 1995; Macleanら 2016)。また、それぞれの親と交互に暮らす子どもは、母親だけと暮らす場合よりも、父親の継子と暮らす可能性が高くなる。そして、継父が自分の子どもの身上監護権を共有する場合、継子は少なくとも一部の時間を別の継父の子どもと世帯を共有することになる。異母兄弟が生まれると、両親の間を行き来する年長の子どもは、ある時は年下の異母兄弟と一緒に暮らし、またある時は別々に暮らす。あるいは、ある時は(母親との)異母兄弟と暮らし、またある時は(父親との)異母兄弟と一緒に暮らすこともある。継親、継親の子ども、異母兄弟との関係や義務は、同居期間が長ければ長いほど、生物学的な者同士と似てくることが示されている(Arránz Becker ら 2013; Bressanら 2009; Kalmijn 2013 ;Pollet 2007;van Houdtら 2018)。従って、世帯や家族の不安定性による潜在的な悪影響にも拘らず、共有身上監護は、子どもとその大規模で複雑な家族全員との絆を強化する可能性を秘めている。

Jubyら(2007)は、どちらかの親が新たなパートナーを作ることに関連した違いは殆どないと報告しているが、彼らのモデルは、別居する父親と子ども間の関係に内在する可能性が高い養育費の支払いを統制している。

2.4 同居と親族関係

 同居が家族関係に及ぼす影響は、より広い親族関係のネットワークにも及ぶ。勿論、子どもは別離後も両親の親族との生物学的関係を維持する。しかし、子どもの親族関係は両親によって媒介されるため(ChanとElder 2000; Whitbeckら 1993)、子どもと拡大親族とのコンタクトは、子どもが住んでいる場所と、元の義理の親同士の関係の性質に左右される。
  殆どの研究では、親の別離により、子どもと父方の祖父母とのコンタクトや親密な関係が減少する一方、母方の祖父母とのコンタクトや関係は変わらないか増加することがわかっている(Jappensとvan Bavel 2016のレビューを参照)。勿論、この違いは、殆どの子どもが母親と一緒に暮らしているという事実から生じる。母方の親族へのシフトは、例え核家族であっても、女性が伝統的に親族の番人であるという事実によって更に悪化している(ChanとElder 2000)。従って、父方の親族との関係の維持は、母親と元義理の両親、特に義母との関係に依存している(Colemanら 1997; Doyleら 2010; Goetting 1990)。
 子どもが父親と一緒にフルタイムで暮らしている場合、即ち、母方の親族よりも父方の親族とのコンタクトが多い場合、その逆の状況が生じる(HiltonとMacari 1997; Lussierら 2002; Weston 1992)。これは、共有身上監護権を有する家族には、子どもと両方の親族間の関係を維持するための均等な機会があるであろうことを示唆している。幾つかの研究は、これが実際に当て嵌まり、コンタクトは核家族で暮らす子どものコンタクトとほぼ等しいことを示している(Jappens 2018; Jappensとvan Bavel 2016; Westphalら 2015)。

2.5 結論

 私たちは、この小論の冒頭で、共有身上監護が新しい家族形態、勿論、核家族とは異なるが、一方の親が身上監護権を有し、もう一方の親が身上監護権を有していない別離家族とは構造や関係においても明確に異なる家族形態を生み出すと主張した。共有身上監護に内在するジェンダー平等の構造は、同居親にも見られると主張する人もいるかもしれない。あるいは、身上監護権を有していない親は、単独身上監護権を有する親に対して多大な養育費と養育責任の軽減を提供する可能性がある。そして、親とその親族は、身上監護権を有していない親とのコンタクトや関係を維持するために特別な努力を払うかもしれない。
 しかし、子どもが一方の親の家からもう一方の親の家に一定間隔で行き来することが、同じ家に住むことと同じであると主張するのは困難である。あるいは、もう一方の親が育児休暇を取得していながら、それぞれの親が子どもに対してフルタイムの責任を負うということは、両方の親が同時に稼ぎと監護をし、週単位ではなく時々または時間単位でトレードオフする平等主義的な核家族のようなものである。私たちが議論したように、共有身上監護のこれらの構造的特徴は、親子の関係および兄弟姉妹の関係に異なる文脈を生み出し、家族間で義務に対する共通の理解に違いが生じる。人間関係と義務に関する独自の文脈が一緒になって、新しい家族の形を構成する。
 共有身上監護は、両親が別離すると家族関係と世帯構成員の区別が顕著になることを浮き彫りにする。子どもが両方の親の世帯で暮らし、そこで寛ぐと、継親や継親の子どもとの関係も変化する。共有身上監護は、子どもが母親(および継父)と暮らし、父親(および継母)とは暮らさない取決めと比較し、継母により多くの要求を課し、継父にはより少ない要求を課す。また、共有身上監護は、母親の継子(継親の子ども)は勿論のこと、父親の継子との関係を発達させる、より多くの機会も提供する。父方および母方の異母兄弟との関係は、共同世帯で築かれる。2つの世帯を超えて、子どもは母方の親族は勿論のこと、父方の親族、更には継親の親族との絆がより強まる可能性がる。子どもの視点から見ると、核家族における世帯と家族の境界の一致と並行して、2つの世帯の境界は彼らの家族の境界と見えるかもしれない。
 共有身上監護権を有する親は、ジェンダー契約、即ち「男性と女性とは何か、男性と女性が何を考え、何を期待し、何をするかについての社会的合意」をある程度書き換えようとしている(Duncan 1995: 265)。稼ぎや監護におけるジェンダー平等が動機であるかどうかに拘らず、彼らは事実上、ジェンダー革命を完遂する先駆者となっている(DeRoseら 2019)。共有身上監護は、伝統的に「男性」(賃金労働へのアクセス)と「女性」(子どもへのアクセス)の世界の両方の長所を生み出すようである。
 共有身上監護権があまりにも急速に増加しているのかもしれないと主張する者もいる。共有身上監護に向かう政治的および法的変化は、当初、母親が父親に更なる関与を求めることではなく、父親が子どもに対するより多くの権利を求めることによって推進された(Masardo 2009)。共有身上監護は、核家族のジェンダー平等の増加を上回った可能性もある。別離前に母親が主に子育てを担っていた合、離別後、父親も子育てを均等に担うようになるべきだという仮定は非現実的で不公平であると見做される可能性がある(Franssonら 2016; Harris-Short 2011)。Harris-Short (2010) は次のように述べている。「・・・平等は別離時に無から生み出されはしない。両親が揃った家庭の習慣にしっかりと根付いていなければならない」(p. 270)。
 にも拘らず、現在、共有身上監護は別離した親とその子どもの中で急速に増加している。共有身上監護が最も一般的な監護形態である場合、社会制度が既に整っているか、共有身上監護を機能させるための修正が比較的容易である。親への給付金直接払い、遍在する手頃な料金の就学前および放課後の保育サービス、病気の子どもの看護休暇、低所得の親に対する住宅補助金等により、2つの家を持つ余裕や、子どもが両方の家を定期的に行き来するための遣り繰りが容易になっている。労働市場や労働条件(雇用主、シフト、時間など)に関連する他の政策も、共有身上監護に対する機会や制約を提供する可能性がある(BakkerとMulder 2013)。女性が圧倒的に多い職業の方が、男性が圧倒的に多い職業よりも仕事と家庭のバランスが取れやすいなど、職業が性別でかなり分けられる場合、多くの異性カップルにとって養育責任を分担することはより困難になるだろう(Eriksson 2018)。
 住宅を入手できるか否かによっても、親が子どもに2つの家を提供する可能性が制限されるかもしれない。住宅が不足している場合、単に住宅費が2倍になるだけでなく、その地域の住宅価格が大幅に上昇し、近くに同程度の条件の世帯を見つけることが不可能になる。共有身上監護は、両親の家の間の距離と反比例しており(BakkerとMulder 2013; KitterödとLyngstad 2012)、両親が離れて暮しているほど、共有身上監護から単独身上監護への移行が起こる可能性が高くなる(Poortman and van Gaalen 2017)。住宅費は、親の教育または収入と共有身上監護との間の正の関連性の基礎にもなっている(Franssonら 2018; KitterödとLyngstad 2012; Pelletier 2016)。
 共有身上監護に関する研究はここ数年で急速に進んでいるが、その主な関心は、共有身上監護の取決めが子どもと親のウェルビーイングに与える影響にある。日常生活の構造、親子関係や兄弟関係の発達と維持、ステップファミリーや拡大親族への影響についての調査は、まだ始まったばかりである。世帯と家族の概念化およびジェンダー契約に対する共有身上監護の理論的意味は、まだ理解され始めたばかりである。実証研究は比較的少数の社会的文脈に集中しており、別離した両親が身上監護権を共有し、子どもが2つの親の家を行き来する場合に、社会政策や社会制度が家庭生活の構築と維持をどのように促進または阻害するかについての理解が限られている。本小論が、新しい家族の形を更に調査するためのロードマップとなることを願っている。

MelliとBrown (2008) はまた、共有身上監護が新しい家族形態を生み出したが、その独特の構造には注目を集めなかったと指摘した。

謝辞 本研究は、ヨーロッパのリンネ社会政策・家族力学センターを通じてスウェーデン研究評議会の支援(助成金 349-2007-8701とプロジェクト助成金 421-2014-1668)、およびスウェーデン健康・労働生活・福祉研究評議会(Forte)の支援(助成金 2016–00511)を受けた。
 また本章は、アントワープ大学人口・家族・健康センター(CPFH)の支援により、オープンアクセスが可能となった。

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エリザベス・トムソン ストックホルム大学人口学名誉教授、ウィスコンシン大学マディソン校社会学名誉教授であり、ヨーロッパのリンネ社会政策・家族力学センターの元所長でもある。夫婦の出産の決定、子どものウェルビーイングに対する家族構成の影響、同棲やステップファミリーでの出産を含む、人生行路全体にわたる家族の行動に関する研究を行ってきた。近年の研究の多くはヨーロッパの家族人口統計の比較に焦点を当てている。現在のプロジェクトでは、同棲と家族の複雑さの関係、即ちステップファミリーの形成と複数のパートナーとの出産、および親子の共同身上監護の影響に焦点を当てている。トムソン教授はスウェーデン王立科学アカデミーの会員である。

ジャニ・トゥルネン ストックホルムのセーデルトーン大学のソーシャルワークの准教授兼上級講師であり、ストックホルム大学人口統計学ユニットの会員。ストックホルム大学で社会学人口学の博士号を取得している。研究は、子どもの家族構造とウェルビーイングの様々な側面、および家族構造と親族関係の歴史的変化に焦点を当てている。現在は、スウェーデンにおける共有身上監護に関する研究プロジェクトを指揮している。

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[訳者註]ステップファミリー stepfamily
多様な形態があり、家族概念や親子関係概念の広がりに伴って境界線は明確ではないが、少なくとも一人の親が、その親の生物学的な子(「実子」)でない子を含む家族をさす場合、例えば「子連れの再婚」が一般的である。他の配偶者・パートナーの実子や養子にある子をもつ家族を含む。英語のステップstepには血縁関係のない親子の間柄、「継(まま)」の意味があり、stepparentは日本語の「継親」、stepfatherは日本語の「継父」を指す。

[訳者註]夫婦家族制 conjugal family system
「親族」(夫婦関係と親子関係による人的ネットワーク)を基礎とした社会制度は、人類社会に普遍的にみられる。しかし、その具体的なありようには大きなヴァリエーションがある。親族のうち、どの範囲をひとつの集団とみなすかについてのルールは、大まかに以下の3種類に分けられる。①夫婦家族制(conjugal family system)夫婦と未婚の子がセットで、子は結婚すると独立する、➁直系家族制(stem family system):各世代に一組の夫婦のみで、跡継ぎ以外は、結婚すると独立する、③複合家族制(joint family system):各世代に複数の夫婦が共存する、傍系の親族を多数ふくむ大規模な集団。直系家族制と複合家族制をあわせて「拡大家族制」(extended family system)と呼ぶことがある。また、どの制度のもとでも、夫婦と未婚の子は必ずひとつの集団に包含される。このため、夫婦と未婚の子をまとめて「核家族」(nuclear family)と呼び、親族の基本的単位とみなすことが多い。

[訳者註]性別役割分業 Gender Division of Labor
「男は仕事、女は家庭」というように、性別をベースにそれぞれの責務や役割について明確に区分することを言う。男性が生産(市場)労働を担い、女性が再生産(家事)労働を担うものとして、近代資本主義社会に組み込まれてきた仕組みでもある。また、「女は家庭」の中には、家事に加え、育児や介護までが含まれる。しかし、1970年代以降女性の生産労働への参入が徐々に進行すると、「男は仕事、女は家庭と仕事」と言う性別役割分担の新たな形が出現した。そして1999年に施行された男女共同参画社会基本法では、従来の固定的な性別役割分業を解体し、性別にかかわらず個人を尊重する社会の実現を目指している。女性の社会進出が進む一方で、男性の家庭進出も進んで来たが、欧米先進国と比較すると、日本には従来の男女の役割をロールモデルとする概念が強固に存在している。

(了)

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