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彼女が生まれ変わったのかと

父親が急逝して、生保の営業に転向したとき、同期だったか、何回か2人で朝まで飲んだ女のコがいて、私の中では「女のコ」というより、ヤンキーとか、極妻のあんねって感じだった。

とても若いのに、刑期があけて出所してくる彼氏を、なんと彼の実家!で待っていた。

意外だよね。
彼の実家は都内の上品な高級住宅地にあり、年端もいかないように見える彼女は、彼の母親に、頼りにされ、しっかり認められていた。

長い髪、血管のでない乳白色の肌。
肉感的で、どことなく崩れたムードを醸していて、内面にちょっぴり退廃が感じられ、そして、なぜか私と仲が良かったみたいなのだ。

数えたら、もう30年以上経ってる。

彼女からの手紙を残しておいたから、こうして思い出せるけど、あれがなかったら、仲が良かったことも、すりかえられた別の記憶になっているか、無かったことになっていたろう。

なんと、今日。
パート先に、あの当時の彼女と同じ雰囲気を纏った、20歳そこそこの「女のコ」が客として入店してきた。

自動ドアが開いた瞬間、視覚でとらえる前に秒速で、私はあの彼女としてとらえてた。

彼女が脳裏に浮かんできた。

もしや、ばかだとは思うが、こんな妄想をする。

彼女はあの後、出所してきた彼氏の関係筋に亡き者にされ、早々に生まれ変わり、巡り巡って私の店に来た、とか?

雰囲気って、そうそう同じにならんだろう。

その人の中心から、皮膚を突き破って放出されている物質が、なんかあるんだね。


彼女が、懐かしくなっちゃった。
ああ、ノスタルジー。

ちょっと年下だったこと、いま思い出した。

もっと、思い出したい。

手紙には、また会おうって、積極的に書いてある。

私も会いたいよ!

あの年代に戻って、彼女のあの雰囲気に浸りたい。



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