バベルの塔だって恋をしたい
全ての電柱が移動能力と知性を獲得し、電線地中化後進国であった日本は壊滅的被害を受けた。
だが混沌と破壊の一夜が明け人々が目にしたのは、強靭で賢い電柱達による新たな秩序であった。
日本は電力会社を頂点とする階級社会に移行。数々の技術革新により世界をリードする存在となる。
しかし平穏は長くは続かなかった。移動能力と知性を獲得した信号機達が叛旗を翻したのである。
かくして電信戦争と後世に呼ばれる内戦に日本は突入した。
と言うのは教科書に載っている歴史だ。今は平和な物で、数年前には宇宙エレベーターが世界に先駆け東京湾に完成した。
俺はまさにその宇宙エレベーターで働く管制官。ロケットで運ぶには重すぎる電人(電柱と信号機の人型形態)達を今日もソラまで上げる。
そう、平和……だった。
俺のコンソールにこのようなテキストが表示されるまでは。
BABEL:おはよう! 今日もいい天気だね☆ 一緒にお散歩にでも行きたいな♪
【続く】
PS5積み立て資金になります