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Glossolaliarts 2199

「だから違うって言ってんだろ! 何でもそういう風に捉えるのは良くない癖だぞ」
「0101000101100110001」
「ただの幼馴染みだって! 雇う事になったのも偶然っていうか……」
「誰があんたに雇われてるって?」
「00010111110010101000110」
「……いつからそこに?」
「今来たところ。私言ったよね? 雇用関係でもなければ主従でもない対等の相棒〈バディ〉だって。経費除けば報酬も折半だし」
「一応創業者は俺だぞ」
「0101011111100000101」
「ああすまん、お前も共同名義だったな」
「100111110001010101001110100」
「──それにしても、いつも思うんだけどあんた良く機述語〈エクリチュール〉が分かるわね」
「いや俺も流石に全部はわかってねーよ。声の調子とかでなんとなく把握できてるだけだ」
「私にはただのノイズにしか聞こえないんだけど……。せめて人硬語〈ラング〉に翻訳できる程序光文〈プログラム〉とかない訳? 貴方のことナビする時にも結構困るんだけど」
「そんな金はない。この前常魔〈デーモン〉に艦をやられた時に貯えどころか借金までしたのはお前も覚えてるだろ」
「それも遠因はAIの機述語をあんたが一旦解釈してから私に伝えるっていう迂遠さで対応がワンテンポ遅れたせいだけどね」
「010000101010100110000」
「その通り。終わったことをくよくよ言っても仕方ない──ところで帰ってきたってことは商談が纏まったのか?」
「ああ、そうそう。珀斯評議会の許可は取ったわ。今から24時間以内に雪特尼遺構に潜るわよ。旧世界秩序〈アンシャン・レジーム〉関連の遺物は評議会が相場の110%で買い上げ。それ以外は荒らさなければ好きにしていい。あと……」
「あと? なんだよ?」
「──〝子供〟を見つけたら必ず引き渡せ……って」
「子供って……旧世界秩序遺構だぞ。常魔や式機神〈シンキ〉がわんさかいて、機殻都市軍の一個中隊でも裸足で逃げ出す場所にそんなもの居たら逆に怖い」
「ま、気にしなくていいんじゃない? ついでみたいな感じで言われたし」
「なーんか嫌な予感するなあ……」
「01010001100」
「うーん……」
「なんでもいいから早く行きなさいよ」

† † †

「やっぱり厄ネタだったじゃねえかよ!」
「疑問:問【厄ネタ】定義如何」
「訳の分からねえ事しか言わねえしよお!」
『ちょっと! 子供なんだから怒鳴ったらかわいそうでしょ!』
「11010000111100010101」
「うるせえ! 大声でも上げてないと気合入らねえんだよ! おい! いま式機神どもは何体俺のケツを追いかけてる!?」
『──12ね。うち成虫は5。今遺構のアクティブセキュリティ系をキルした。次の角の右のドアを潜って』
「独考:何故逃走必要事態。我持:【炎舌】式機神程度殲滅可能的能力」
「1111000011110001」
「頼むから静かにしてくれ!」
「00011101000100」
「あ? お前このガキの言うこと分かるの?」
「100011001111」
「マジかよ……こいつが?」
『一人で納得してないで私にも情報共有しなさい』
「このガキ──いや女の子、異伝詞〈グロッソラリア〉が使えるんだとよ」
『それって人機祖語〈パララング〉の!? 200年前に【恐怖の大王】に滅ぼされたやつでしょ!?』
「0111111010100010」
「『AI、ウソツカナイ』って言ってる」
「我任:見物我式機神討滅現場。始動:【炎舌】規定。異伝詞超頻開始。霊子回路利得百分之百二十。臨界達成」
『ちょっ……何この霊子反応……!? トマカク型現詞炉と同じくらいの数値出てるわよ!? その子から離れて!』
「離れろったって……うお!?」
「詠唱開始:五旬节到了门徒都聚集在一处忽然从天上有响声下来好像一阵大风吹过充满了他们所坐的屋子又有舌头如火焰显现出来分开落在他们各人头上他们就都被圣灵充满按着圣灵所赐的口才说起别国的话来:詠唱終了。示顕:巴别天使〈Angel of Babel〉
「110000110101000001111」
「なんだ、ありゃ……。式機神が同士討ちしてるぞ。あの青白いやつの影響なのか……?」
『……っと……どうな……返……通信が……』
「我疲:睡眠必要性認。後任適当。我先睡了、晩安」
「おい、どうした! って寝てるし! なんなんだよ!!!」

† † †

「つまりこいつは旧世界秩序の作用機序体〈MOAソルジャー〉ってことか?」
「そうとしか説明つかないわね。評議会が言ってた子供ってのも間違いなくこの子でしょう」
「なんか青白くてデカい天使みたいなの出してたぞ。あれが異伝詞ってやつか」
「ええ、宇宙からやってきた新世界秩序〈ポスト アポカリプス〉、俗に言う【恐怖の大王】──今の最高星府に滅ぼされた、旧人類の現詞力の結晶。一人一人が異なる言語で世界と直接通じていた、混沌の時代の産物」
「111100010100001」
「ああ、そうだな。俺たちが取れる方針は二つ。評議会にこのガキを引き渡すか、俺たちで匿うか、だ」
「ちょっと正気なの……? あれだけの霊子反応、数千キロ離れてても普通にキャッチされてるわよ」
「だろうな。でもお前が今言ったんだぞ『異伝詞は全て新世界秩序に滅ばされた』ってな。つまりあのガキを評議会に渡せばまず間違いなく殺される」
「それは……そうだけど……」
「我起:空腹的欲求。寄越甘物類沢山」
「うおっ、びっくりした。っておい勝手に冷蔵庫を漁るな! あー!! それは俺のプリンだ! 名前書いてあるだろ畜生!」
「はあ……この子引き渡さないってことは当然今回の報酬も出ないわけで……。また借金ね」
「いーや俺のプリン全部食ったこいつは引き渡すね! どうなっても知るか!」
「1111000001010101」
「は? 機殻都市の空軍の大編隊? 包囲? え、今?」
「引き渡すとか引き渡さない以前に、どうやら見つけた時点で口封じするつもりだったみたいね」
「──っ! 逃げるぞ! 総員配置につけ!」
「この子はどうするの?」
「我教:『この子』我名前不非。我名『伊犂夜』──あー、我が名はイリヤと呼ぶが良い、下郎ども」
「「……」」
「どうした? 発音も文法もこれで間違っていない筈だが?」
「「喋った!?」」
「失敬な。最初から喋っておったろう。そこな機械知性とはずっと通じておったぞ」
「11001111010100」
「うむ、苦しゅうない。で、敵に囲まれておるとな? 我に任せよ。操船は得意である」
「あ、ちょっと待てコラ! 勝手に触──うおおおお!!?」
「きゃあああああああ!?」
「ははははははは! 今世の船も面白い! 荒れるぞ! 掴まっておれ!」
「やっぱこいつ引き渡す!!!!」
「011111000101010000」
「そうじゃ、機械知性の言う通りじゃ。諦めよ。貴様らは我が家臣として召抱える。そしてあのソラからの侵略者どもと戦うのじゃ!」
「星府に叛逆するってこと……!?」
「はははっ! これから長い付き合いになるのお!」

なんぞこれ

 上記のバール=サンの記事で提案されていた会話劇です。長え! 1000文字程度って言われてるだろ!
 地の文が入れられないので用語解説とかはほぼありません。妄想で補ってください!
 やっぱSFで会話劇は無理だって! うるせえ! やりたかったんじゃい!
 やり方が卑怯なのは認めます。


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