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ICT支援員って何者?

微妙な存在の職員

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今学校にICT支援員なる人が入ってきて、パソコンというよりタブレットのいろいろ手助けしてくれている。大助かりだ。とか子ども達ならパソコンのプロがやってきた、ICT支援員がやってきたらタブレットの授業ができるので楽しみだとか、何とかその存在が少しずつ認知されるようになってはきている学校もある。でも、でもだ。学校によっては、この人いったい何しに来ているんだろうっていう感じの学校も少なからずあるらしい。

このICT支援員の存在は、教育委員会や学校のとらえ方で全然違ってくる。そそもそも、このICT支援員の配置は、コロナの影響によって、タブレットの学校導入が早まり、導入された以上は利用されなくては税金の無駄遣いになるということで、建前上は、4校に1人の割合で配置できるように予算もおりて配置された人材である。

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が、ここで問題は、教育委員会や学校現場が、この急速なタブレットや電子黒板の導入を喜ばしいこことと受け止めているか、また余分な仕事が増えるなあととらえるかによって全然違うということだ。

かつて教員だった自分の感覚からすると、教育委員会の強力なバックアップがある市町村は確かにやりやすいだろう。でも全国的に見て、そんな教育委員会の数は多くはないと思う。それより、学校現場、特に管理職の受け止め方が一番影響があると思っている。

管理職が、これは未来ある子どもたちにとってとてもいいチャンスを与えてくれたので、この機器を情報担当と一緒に研修して、先生方の利用を進めていこうとか、管理職をも動かす強力な情報担当がいる学校ならきっと先生方も積極的に利用しようと思うし、そんな中でICT支援員の立場は凄くやりやすいし、やりがいのある仕事になっていくと思う。細かいことだが、そんな学校は職員名簿や学校要覧にICT支援員の名前が載っているし、保護者への周知にもなっている。たまに学校だよりにもタブレット授業の記事を載せてくれる。

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でも、一方やっかいなものが入ってきたな、俺はパソコン苦手やし、まあ情報担当に任せておこうなんて思っている管理職の学校なら、振られた情報担当も忙しくてそれどころじゃないってことで、タブレットはほとんど保管庫に眠ったままだし、タブレットが利用されていない状態ではICT支援員の存在はほとんど意味をなさない。

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聞いた話では、朝机に座って、移動するのはトイレだけ。給食を食べてまた机に座って何時間か後、疲れてもいないのにお疲れさまでしたって帰る冗談みたいな日々を送っているICT支援員もいると聞く。まあ、これでも給料は入ってくるのであれだが、仕事は単にお金がもらえるからそれでいいなんてことはない。仕事のやりがいがあって、そのやりがいに対してお金をもらうのだから、明日も頑張ろうっていう気持ちで仕事が続けられる。

今、学校には様々な支援員が入ってきている。自治体によってその名称は違うだろうが、生活や学習を支援する支援員、特別な手立てが必要な子どもたちがいる学校に配置される支援員、学校事務を支援する支援員、スクールカウンセラーや図書の支援員、学校によっては学校運営協議会に関連する職員など多くの職員の人たちが学校で仕事をしているが、その人たちは日々仕事がないということはない。でも不思議にパソコンや特に子どものタブレットの利用がなければICT支援員の仕事はないのだ。確かに、教材作成やタブレットの利用などの資料を作ることは仕事としては可能である。しかし、それもタブレットが使われるという前提のもとでの仕事だ。

こんな例はそう多くはないだろうが、タブレット利用の学校間格差、それがそのままICT支援員の存在にかかわっているというのが現実だろう。

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全国のICT支援員 捨てたもんじゃない。

ちょっと話が暗くなったので、明るい未来に向かおう。先ほど、ICT支援員は4校に1人の割合で配置という話をしたが、これって、文部科学省が発表した2019年度の全国の小中学校数によると、 小学校数は1万9738校、中学校数は1万222校ということなので、単純に4校に1人の配置と考えるとICT支援員なるものは全国で7,490人になる。

これって多いのかどうなのか。例えばセブンイレブンの店舗数は21,337店舗(2022年5月末現在)なので、店長の数と比較すると約3分の1なので、やっぱり少ない。だから認知度が低い、残念。

と思いきや、従業員7500人規模の企業と考えると、これ、れっきとした大企業だ。何とJTや東京ガスと同じくらい、電通グループや楽天の従業員よりも多い人数だ。

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このICT支援員が全国でネットワークを組んで何か仕事をしたならとんでもない面白いこと、日本の教育を実は今後ICT支援員が変えていくことになるということもありうる話だ。なんて一人興奮してしまった。

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ちょっと壮大な話になってきたので、現実に目を向けて。

実際にはまだ全国的にはICT支援員の配置が終わっていない自治体も多く、これからはICT支援員に採用されて学校現場に向かう人もいるんじゃないかな。ということで、次回は去年からの振り返りをもとに、ICT支援員ってこんな仕事をしてきたよ、っていう一例を書いてみようかなって思ってます。全国の様々な学校でいろいろなICT支援員物語が始まっていると思いますが、この南の風小中学校でも色々な物語がありました。それは次回で。(続く)

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