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小学校でのVR

(この記事は「VR・メタバース教育 Advent Calendar 2022」の第5日目として藤村が執筆しています。)

先日、当研究会のVR跳び箱の授業がNHK『おはよう日本』に取り上げていただけました。

この放送や記事をご覧になった方の中には、「小学生にVRって安全性は大丈夫なの?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。

たしかに、市販されている多くのVRヘッドセットは対象年齢を13歳以上などとしているものがほとんどです。VRヘッドセットの3D(立体視)は、目に負担をかけるため、目の機能が発達途上の幼少期に用いると斜視などの悪影響が懸念されるためです。

しかし、長時間没頭する使い方ではなく、短時間であればリスクも小さいと考えられるため、イベント会場などで短時間体験する程度であれば問題ないだろうとする考え方もあります。

当研究会ではVRの体育への活用を検討する中で、ぜひ小学校にこそVRが有効と考え、どういう形であればリスクを抑えて導入できるかを検討しました。その結果、現状での答えは「一眼VR」を使うことです。前述の『おはよう日本』の放送に出てきた小学校での跳び箱授業は、当研究会で開発しているスマホアプリをハコスコ『ダンボール製:タタミ1眼』に取り付けて実施しています。

このゴーグルは単にスマホの画面を拡大して見えるようにするだけなので立体視ではなく2D映像であり、「それのどこがVRなの?」と思われるかもしれませんが、ゴーグルに覆いを付けて周りを見えなくしたり、アプリを3DoFで作成して360度見回すことができるようにすることにより、目にあまり負担をかけずに かなりの没入感を得ることができます。

3DoF : X, Y, Zの3つの軸での回転に応じて映像表示を動かすことにより、ユーザーが自分の周囲を左右にも上下にも360度見回すことができるようにすること。これに三次元移動が加わると6DoFとなる。

当研究会では、開発環境Unityを使って1つのアプリを スマホ一眼用、スマホ二眼用、Meta Quest用の3通りのアプリに作れるようにしており、それぞれ小・中・高の授業で実践しています。これまでの実践で、小学生には一眼VRでも十分に効果があることがわかっており、その仮想空間で一人称視点で得られた体験と現実世界で見える景色を比較することから生まれる探究に大きな可能性を感じています。

ただ、若干の悩みは世の中に一眼VR用のゴーグルがハコスコくらいしか出回っていないことです。少し前まではエレコムからやや立派なものが出ていたのですが、一般にはほとんど需要が無いようですね。ハコスコは片手がふさがってしまうので、できれば頭に固定できるバンドが付いたゴーグルをどこかのメーカーが安価で出していただけるとありがたいのですが。


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