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AI特別授業

4年生を終える直前、「この子たちにもうちょっとAIの仕組みについて知らせてあげたいな」と思い、特別授業を実施しました。と言っても、「AIの仕組み」なんて私は話せません。そこで知り合いのMicrosoftの方々に頼んでEducation Skills Lead / Education DX戦略室長の阪口さんをご紹介いただきました。

阪口さん、色々な実例をあげて、子どもたちのAIへの興味をかき立ててくださいました。中でも子どもたちが反応したのがこれ。

フェルメールの「牛乳を注ぐ女」はどこかで見たことあるのでしょうね。その周りがすごいスピードで描かれていくことに驚愕していました。或いはこれ。

愚直にAIとの競争に挑み、あっさり敗れた子の「AI、すげえ」という呟きは心からの声でしょう。また、この記事も相当に興味深かったようです。

中盤、AIの仕組みについて(つまり統計/確率について)お話ししてくださった部分は、正直、半分くらいの子は「?」だったかもしれませんが、「AIと友達になっていくことが大切でしょう」というお話、終盤で触れてくださった「知識の重要性(知識がないと与えられた幸せで満 足、ちょっと知識を得ると絶望する、でもそれを超える知識を得ると 本当の幸せを得られる)」のお話はかなりヒットしたようでした。

阪口さんの話が終わった後、子どもたちからの質問を受け付けましたが、これがなかなか考えさせられるものでした。

児童「自分がやろうと思っていた仕事をAIにやられちゃったり、そうじゃないよってされたりすることはないのですか?」
阪口「あります。自分がやろうと思っていたことをAIにダメ出しされることはあります。でも、「AIのアドバイスのこういうところは役に立つかな」と考えるのは大事だと思うけれど、最終的にどうするかは自分が決めるのが大切だね。」

これ、既に始まっていますよね。私、最近、よくBingに聞きますし。(大抵、そのとおりにはしませんが、そこで出てきた資料は読みますね。)

児童「人間と友人になるのと、AIと友人になるのと、どちらの方が重要でしょう。」
阪口「どちらも重要だろうけれど、AIと友人になるのは簡単です。AIは皆さんを嫌いになったりはしません。誰のことも等しくつきあってくれます。ただ、融通はきかないです。人間は融通がききます。でも、その代わりに嫌われちゃうこともあって難しいです。だからこそ好かれたくて色々考えたりもします。それは大きな違いですね。」

道徳の授業のときから感じていたことですが、子どもたちはAIに人格を求める傾向があるようです。だから、「AIは統計/確率によって動いている」というお話を聞いた後でも、こうした質問になるのかもしれません。

それは決して悪いことでも間違ったことでもないように私は思います。この質問のように「人格を求めたくなるAIだけれど、人間とは違う」ということをわかっていくためには必要なプロセスかもしれません。

児童「未来はAIと一緒に仕事をするということですが、未来はAIだけでよくなっちゃって、仕事をする意味がなくなることはないのですか?」
阪口「怖い話ですね。『その可能性はゼロではない』と言っている科学者も、『そんなことにはならない』と言っている科学者もいます。そこはわかりませんが、恐らく人間は『人間でなければできないことはなにか』と探し続けることにはなるだろうと思います。『人が人を好きになる』とか、『人と触れ合いたい』ということは人にしかできない。人としての根本的なものはなくならない。ただ、しんどいと思っていること、人がやりたくないと思っていることをAIがやってくれるようにはなっていくでしょうね。みなさんもAIについて考えたり使ったりするときには『人間でなければできないことはなにか』を考えてくれるといいな、と思います。」

この『人間でなければできないことはなにか』という問いは、これからの人類にとってしばらくは大きな課題でしょうね。できれば、ずっと答が出ないといいな、と思いますが、さてどうなりますか。

この質問が出た時、「道徳の公開授業から始めて、AIのことを子どもたちと考えてきたことは、やはり意味があったのではないかな」と私自身は腹落ちしました。もちろん、猛烈なスピードで変化していく領域なので、「とりあえず今は」というエクスキューズがつきますが。

最後に児童のふり返りを2つ紹介しましょう。この子たちが大人になる時、人間とAIの関係はどうなっているのでしょうか?

私は、最初は、AIは何でもできる。なんでも調べられるすごい機会だと思っていました。しかし、阪口さんのお話を聞いて、AIは何でもできるわけじゃないんだなと思いました。AIはデータ、情報がないと、調べたり推測することができないんだなと思いました。しかし、推測、予測するのは人間よりAIのほうがすごいとわかりました。AIは、予測する範囲も広いし、スピードも速いのでAIは、この先も必要とされる存在なんだなと思いました。

いままでAIは賢くて、自分より知能が高くて、将来自分のすることを盗んでしまうのではないかとを恐れていたけれどAIをうまく使えばいいんだなということに気づきました。AIが人のやることを奪う未来は変わらないから人間が変化していけばいいということにも気づきました。

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