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教員養成はここからの10年が肝

鈴木秀樹

大学の教職課程の授業で、学生に「小中高の時『一人一台タブレット環境で勉強していました』という人はいますか?」と聞くのですが、これまではほとんど手があがりませんでした。私立の高校出身の学生で一人いるかどうか、という感じ。

つまり、今、教職を目指している学生は、自分自身は小中高の時にICTを文具的に活用した経験がないわけです。ですから、GIGAスクール構想が始まり、児童生徒がタブレットを手にしているのが当たり前となった今の状況を伝えると、学生は戦々恐々とします。

この状況はいつまで続くでしょう? GIGAスクール構想の全国的なスタートを2021年としましょう。その時、中3だった子が高校、大学と進学して教員になるのは2029年、小6だった子が中学、高校、大学と進学して教員になるのは2032年です。非常に大雑把に言うと「あと10年経ったら普通にタブレットを使って学習してきた世代が教師になる」時代が来るわけです。

放っておくと、そこのジェネレーションギャップは大問題になってしまうのではないかと危惧しています。今、教師になろうとしている学生は平気で「私はICTが苦手なのでタブレットを使った授業をするのが心配です」と書いてきます。そこまでではなくても「タブレットを使って学習する子供時代」の経験なく教師になった世代と、その世代が中堅にさしかかった頃に入ってくる「タブレット? 普通でしょ?」という感覚の新人たちとでは、教育技術云々ではなく、大きな違いがあるのではないでしょうか。

だから、ここから10年くらいの教員養成はかなり大切なのではないかな、と思います。基礎的なスキルを身に着けさせることはもちろんですが、「実際に教師になってからどうやってスキルを伸ばしていくか」という戦略を持って教壇に立てるように教えていくことは必須ではないかと思います。

しかし、事がそう単純ではないことも指摘しておかねばならないでしょう。ギャップが生じるのは世代だけではありません。深刻なのは地域間格差や学校間格差で、これは今、正に日々拡大し続けています。

毎日、普通にタブレットを使っている学校の児童生徒と、「タブレットは授業のときしか使いません」という学校の児童生徒とでは、身につけるものが全然違ってきます。小中高とほとんどタブレットを使わずに学んできた学生と、当たり前に使ってきた学生が同じ教室で教職課程の授業を受けるのは、なかなか難しそうです。

もちろん、これは教職課程に限らず、全ての職業につながる社会全体の問題ですから、もっと広く議論を掘り起こしていきたいものです。とりあえず、私も自分にできる範囲のこととして、後期の「教育方法論Ⅱ(ICTの活用)」の授業をしっかりやらないとな、と思います。

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鈴木秀樹
東京学芸大学附属小金井小学校で、ICTを活用してインクルーシブ教育を実現することを目指した「ICT×インクルーシブ教育」を進めています。