あ のこと

その日のことをとりとめもなく思い出しながら、時系列を整理する暇も惜しんで口に出す。話題ごとに驚いてみせたり、声を出して笑ってくれたり。

目が覚めたのは朝の3時すぎ。秒針の音が耳につく。

古い夢を見た。

飽きもせず毎日毎日よく付き合ってくれたよなあと、今になってしみじみと思う。自分には到底できそうにない。

小さな頭の中身を洗いざらい話しきると、明日はなにがあるかな 楽しみだね、笑ってくれた。といっても、いつまでも続く話は強制的に打ち切られることも多かったけど、それでも必ず。あの、ふんわりとした笑顔が好きだった。

最後に会いに行ったのはいつだっけ。

半分以上寝たままの頭で記憶をたどると、なぜか昨日の昼ごはんに行き着いた。

もそもそとベッドから這い出し、素足のままベランダに出た。弱々しく流れる空気が冷たい。道路沿いのポツポツとした明かりをぼんやり眺めながら煙草を取り出す。

線路の向こう側、最近建てられたマンションの2階では、まだ金曜の夜が続いているようだった。

短くなった煙草を灰皿に押し付けた。頭をかきながら部屋に続く窓を開ける。今日も予定はない。けれど、どうせなら晴れるといいのだが。