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組織力の強みと弱み-「浸透力」の場合

このnoteでは、アイコミのコンサルタントが日々のお客様との関係性の中で気づいたこと・学んだことを通して組織が変わるヒントを発信していきます。

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強みとなる組織の浸透力

緊急事態宣言の解除からもうすぐ1ヵ月を迎えます。 発表される新規陽性者数や重症者数は依然として低水準となっており、東京都では25日から飲食店への営業時間短縮要請も解除となりました。結局「なぜ減少したのか?」については、明確な回答も仮説も出にくいようですが、海外からはあまり評価されていない日本のコロナ対策、法的規制・強制力の乏しい「お願い」であっても従う国民性の勝利だと言う話もありますね。 

先日ご紹介した「組織力」。私たちは「浸透力」「展開力」「変革力」と定義しているとお話ししました。今回は、この「組織力」が「強み」となるか「弱み」となるか、「浸透力」の場合について考えたいと思います。

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浸透力の強みと弱み

とある製造業の老舗企業A社さま。組織力診断を実施いただいたところ「浸透力」が強みとの結果が出ました。数値的にも「良い」レベルの点数で、様々な目標や方針を浸透する「仕組み」がしっかり整備されていることからも、継続性のある力と言えます。 先代のオーナーから二代目に変わっても、常に明確なビジョンや方針を発信。会社として大切にする価値観や理念の明文化と見直しを継続的に実施してきており、取引先や関係企業からも、その独自性ある文化には常に一目置かれていらっしゃるとのこと。「浸透力」が強みというのは、実態と照らしても納得感がありました。 

アンケート診断とあわせて選抜社員のインタビュー調査を行ったのですが、会社の中期経営計画、それに基づく自部門の課題や取り組み、自分自身の責任範囲や能力開発の方向性についてなどなど、よどみなく答えられる方がほとんど。

そんな中、新規事業プロジェクトの中核メンバーの方との面談では「正直言って、方向性の浸透度が高いということが、今の状況の中で本当に良いことなのかどうか分からない」という率直な声が聞かれました。 全社の長期ビジョンに基づき、既存事業の枠組みを超えた事業開発を進めてはいるものの、「結局、示された方向性に基づいて取り組む習慣性が定着し過ぎて、最初の一歩も出ないし、行き詰るとそこで止まってしまう。新規事業開発においては、浸透力なんて弱みでしかない」と感じるとのこと。

強みと弱みは表裏一体である、と言われます。
正確性は融通のきかなさ。優しさは優柔不断など、適切な度合いで発揮されていれば強みとなり得ますが、過剰になれば「やり過ぎ」となって効果性が失われます。

強みを発揮・機能化させる

A社さまではインタビュー結果も踏まえ、「全社ビジョンに基づく一体感」は大事にしつつも、「一人ひとりの欲求・思いを育み、会社と個人の可能性を拡大する」ことを重視するという方針を打ち出しました。そして、「方針説明会」といった各種コミュニケーション機会のプロセスを「共有中心」から「思考・議論」の場とするデザインに見直し。あわせてキャリア開発プログラムの刷新に着手していくこととなりました。 

「自分たちの組織の強みは何か」を認識することとあわせて、「それは適切に発揮・機能しているか」を見ていくことが重要となります。
私たち日本人の国民性も、しっかりと強み・弱みを自覚し、適切に発揮していくことが必要なのかもしれません。

このnoteの投稿者:チーフコンサルタント/立石 裕美

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