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手に汗握る。大人で経験したピアノの発表会。

この1ヶ月ほど、私の心をかき乱し続けた事案がある。
それはピアノの発表会。
昨年まではドキドキしながらも、我が子にカメラを向けているだけでよかった。

しかし今年は私もステージに上がることになり、荒れた日々を過ごすことに…。

大人で始めたピアノ

私はピアノが弾けない。
子どもの頃、友だちが弾く高速「猫ふんじゃった」に憧れた。
ピアノを習いたいと言ったことはあるが、ピアノを置くと家の床が抜けるから、という理由で親に断られたちょっと切ない思い出。

大人になり、教師になり、ピアノが弾けるようになりたいと思って20代で通い始めたピアノ教室。
しかし、楽譜を見て頭では理解していることが指で再現できない…。脳の片隅がキリキリする。私の脳内で長年使われてこなかった部位のニューロンたちが困惑している。

結局数年間で辞めてしまったけれど、その後生まれて少し大きくなった2人の子どもも同じ先生にお世話になることに。
そして今年は、下の子もいよいよ発表会デビューとなった。

がんばったらできるって

発表会が近づく中、先生から「親子で弾いてみたら?」との提案が。
とても披露できるレベルではない、と断ったものの、先生は私のために易しすぎる伴奏を考えて手書きしてくれていた。
こ、断りづらい…。

そこへ、我が子の一言。
「がんばったらできるって。」

それは私がいつもあなたに言っているセリフでは…。自分が使っている言葉をいざ向けられると、なかなかの破壊力。
がんばれと言う人が、がんばらないわけにはいかない。
こうして私の発表会出場が決定した。

いざ、出陣

練習したり、しなかったり、しなかったり、しなかったり…。
いよいよ2週間をきり、私が焦り出した。
これはまずいとがんばりカードを壁に貼り付けて、練習した日にはシールを貼ることに。私のためにも。

当日の朝。
頭が真っ白になって失敗するかも…というネガティブなイメージが頭から離れない。こんな時の対処法をダルビッシュ有選手が話しているのを聞いた覚えがある。しかし肝心の中身を覚えていない。
なんで連弾なんて引き受けてしまったんだろう。来年は絶対にやらない。

そんなことを考えつつも、本番には私も娘も一ヶ所ずつ間違えたが、なんとか無事に終わった。

終わってみるとそれまでのネガティブな感情はどこかへ行き、たまにはこんな緊張感もいいかも。練習を続けたら上手になれるし。来年もしてみようかな。なんて、都合のいい気持ちに。
喉元過ぎれば熱さを忘れる。まさに。

終わってから子どもたちに感想をきくと、全然緊張しなかったとのこと。
この差って何なのか。
子どものほうが失敗の経験が少ないから、失敗するイメージが浮かびにくいのだろうか。
もしくは大人のように他人の目を気にして見栄を張ることがないからだろうか。
それとも単純に性格の違いか。

このようにして、私の発表会デビューも幕を閉じた。