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未来を生きる人

何をするにも、一歩先のことを考えてしまう癖がついた。
何をするにも、効率的かどうか考えてしまう癖がついた。
今を生きようにも、気がついたら明日のことばかり考えている。
それはなんだか、とても悲しいことの様な気がした。

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今は今しかないのに、頭ではそうわかっているのに、心はどこか遠くに、もっと先の未来の方にあるように思える。
たいしてやりたくない仕事をしている時、「早く帰ってご飯が食べたいなあ」「明日は病院に行って、その後買いものに行って…」などと考え、心はここではないどこかへ行っている。
「つまらない仕事などないのだよ」そとある本に書いてあったんだと、この前知り合いの住職さんが教えてくれた。
つまらなく思える仕事は山ほどあるけれど、つまらない仕事はない、ということらしい。
要するに、あなたが心を入れるか入れないかだ、と。
なるほど、と思った。
私は今の仕事に、全くと言っていいほど心を入れていなかった。

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やることを全部やりきったら、ゆっくり休もう。
やることを全部やりきったら、やりたかったことをやろう。
残酷だけれど、きっとそんな日は来ない。
まるでベルトコンベアで荷物が運ばれてくるかのように、次々とやることが生まれてくるからだ。
どんなに仕事や家事やその他諸々のやることを早く、効率よくこなしたとしても、ベルトコンベアのスピードが速くなるだけで、根本的には何も解決しないのだと思う。
だからもういっそ、全部やろうとしないで、やれた分だけで充分だと言えるようになった方がいいのではないか。

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部屋が散らかってても、許す。
やろうと思ってたことの8割しかできなくても、できなかった残りの2割を、許す。
今できた分が、今の私の精一杯なんだと、認める。
そして、やることが残っている状態の気持ち悪さや中途半端さに、慣れる。
例えやるべきことが残っていたとしても、他の何かを始めてもいいし、全て放り出して休んだっていいのだ。
分単位で決められた旅行計画みたいな生活は、息苦しい。
もう少し緩めていい、大雑把でいい、そう思った。
まあそれが難しいのだけれど。

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いつも、今は今しかないはずなのに、未来のことばかり考えていた。
大体、物事は思った通りには進んでいかない。
20数年生きてきて、嫌というほどわかっていたはずだった。
それでも、限られた時間や、これから起きる出来事をコントロールしようとしてしまうのだ。
大切なのは、「今このとき」であるということに気付かずに。
明日のテストが不安なら、テストの結果について悶々と考え続けるより、今すぐに明日のための勉強を始めよう。
最近食べすぎていて、このまま太り続けたらどうしよう…と延々悩むくらいなら、今すぐに外へ出てウォーキングしよう。
時間に身を任せて、出来た分だけで充分だと認める。
あまり急がない。
今起きていることを楽しむ余裕を持つ。
効率を求めすぎない。
身体と心が疲れていたら、中途半端でも休む。
そんなふうに生きたら、「今を生きる人」になれるような気がする。

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