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愚かであれ【1.5Lのアイス】

人は時に、愚かな行動をとってしまいます。
アイスをしこたま食べたい。
そんな欲求に駆られたことは皆さま、ありますでしょうか。
実は、やりたいことリストに入っていました。
業務用アイスを、そのまんまスプーンで掬って食べたい。
あまりに愚行過ぎる。後悔しそう。身体に悪い。
などと理由をつけて実行には移していませんでした。
(それにしてもタイトル、1リットルの涙、みたいな雰囲気が出てて、なんか良いです。)

私はいつも、食生活には結構気を遣っています。
糖質や塩分を摂りすぎないようにする。
食品添加物は極力避ける。
食べ過ぎず、腹八分目を心がける。
そもそも健康的な食事は、継続してなんぼ、とそう思っています。
が、しかし。
天気のいい土曜日、なんなら少し暑くて、アイスが食べたいなぁなんて思う気持ちがちらつきます。

…今日なのではないか?

私は自然とシャトレーゼに吸い込まれるように入店し、気がつくと1.5リットルのアイスを購入していたのです。
あぁ、なんということでしょう。
便秘が解消し、ダイエットも目標体重に到達したばかりだというのに。
人は、矛盾多き、愚かな生き物です。
(ちなみにお値段は、680円という安さ。そして、ハーゲンダッツの業務用2リットルは、約4,000円。格差社会。こちらはさすがに手が出ませんでした。)

帰宅してすぐに自分の部屋へ駆け込み、アイスを取り出します。
蓋を開けると、そこには一面の雪景色が広がっていました。
シャトレーゼの、しぼりたて牛乳アイスです。
アイスはもっぱらバニラ派の私にとっては、最高でしかありません。
そして、最初のひと口をいただきます。
おそらくカチカチに凍っていて、しばらくは食べにくいだろうと予想していましたが、なんと、スプーンで掬えてしまいました。柔らかい…!
それはまるで、オープンしたてのスキー場の、新雪のようでした。
誰にも踏み荒らされていない雪を、ひと掬い、ふた掬い、口に運んでいきます。
感想はシンプルに、おいしい〜〜!でした。
もっと言うと、口の中に牧場が出来上がったのかと思うくらい、コクがあっておいしかったです。

甘党の人間というものは、時に自分の甘いもの耐性に驚くことがあります。
気がつくと、あれだけ広大な敷地面積だったはずなのに、湖に浮かぶ小さな離島、くらいになっているではありませんか。
どこに消えてしまったのでしょうか。
地球温暖化でしょうか。
溶けていくよりも先に、私の胃袋の中へとお引越ししていったという、衝撃の事実に驚きを隠せませんでした。

私は食べることが好きなので、食べる時は食べることだけに集中したいのです。
なので、スマホを見たりテレビを見たり、何かしながら食べることは基本的にしません。
今回も同様に、黙々とアイスを食べながら、美味しさの余韻に浸ります。
ものの30分で、1.5リットルのアイスが消えました。

甘党の一般人が、1.5リットルのアイスを食べるとどうなるか。
結論から言うと、幸せにはなれるけど、身体は南極に行く、です。
外から帰ってきて、汗をかくくらい暑かったのに、今は布団に潜り込んでこれを書いています。
ストーブをつけたいくらいには身体が冷えますのでご注意ください。
なんならダウジャケットも着たいくらいです。
さらに言うと、舌も終わります。
低音やけどしたかな?と思うほど一時的に機能しなくなります。
でも、幸せにはなれます。現場からは以上です。

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