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CL愛知オープンベスト16 ミライドンクワガタ[エクストラ]

先日行われたCL愛知でミライドンクワガタを使用しベスト16を達成することが出来ました。僕以外にも完走が2人と相当な自信作に仕上がりましたが、調整メンバーが作ってくれたデッキであり発案者自身がデッキ解説を書いてくれているので、この記事はデッキ解説のみに限るのではなく、調整過程やチーム運営、大会当日などCL愛知に関するあれこれを筆の進むままに書いていこうと思います。

チーム結成

これまで僕が調整すると言えばアドカレにいた3人と、CL京都でさらに増えた2人を合わせた5人での調整がメインでした。しかしそのうち京都に参加したのが3人、そしてその誰もが愛知の優先権を取れていないという体たらくで、愛知には何よりもまず参加することが最優先事項と言えました。ですから当選確率の高そうなエクストラを選び、結果的にそのうち3人がオープンリーグに当選をしました。しかしそれだけでは到底手数が足りないのは明らかでした。

僕自身昨年もエクストラでCL愛知に参加し5勝2敗を達成しましたがそれも不戦勝2つを含んだハリボテのものでしたし、以降もエクストラは全くと言っていいほど触っていませんでした。ですから経験豊富なともぽん君せと君がいてくれるとはいえ、それ以外にも数人を迎えて調整を進めることとしました。そしてその中で最も大きな役割を果たしてくれたのがかげろう君でした。

調整方針

集まった6人をエクストラへの造詣の深さに従って役割分担しました。僕は中でも最もエクストラの経験が浅いことから、デッキリストがすでに固まっているTier上位、つまりレジドラゴやドラゴンルギア、そして黒馬のマッチアップを研究する役回りでした。が、その役目を早急に放棄してしまう事件が起こりました。リモートでの調整も夜中3時をまわってもうそろそろお開きかという頃にかげろう君がとんでもないデッキを投げてくれたのでした。それこそ我々が大挙して使用したミライドンです。当時まだCLまで10日以上を残していましたが、あの時点で最終的に使ったものから数枚程度しか変わらない完成度のリストでした。


https://tinyurl.com/2p8r5x4s (初期案)

僕はかげろう君がすごいデッキビルダーであることを知っています。一緒に調整するのはこれが初めてでしたが、是非ともそのアイデアの真価を試したいと壁役に名乗り出ました。そしてルギアを使用し見事にボコボコにされました。あの日、チームの多くは未だこのデッキに懐疑的だったかもしれませんが、その瞬間から僕はひたすらこのデッキとその他のマッチを確認しこれが使うに足るデッキであることをチームメイトに語りかけるbotと化しました。ちなみに細かいカードの調整は結局かげろう君に丸投げしていました。このデッキを使ったチームメイトの中で勝ったのが偶々僕だったというだけで、僕がこのデッキに対して為せたことと言えば精々これを5人(+もう1人)で使うという決断の後押しをいくらかしただけでしょう。

その裏でも多くの人間がそれぞれに様々なデッキを模索していました。Tier上位も当然ですし、超越系やコントロールといったデッキ勝ちデッキについてもでした。後者はそのほとんどをともぽんくんがこなしてくれ、どれも7-1する水準にないことを明らかにしてくれました。それは上位3デッキばかりを意識したこのデッキを選択する根拠として十分に強力でした。

デッキ解説

https://www.pokemon-card.com/deck/confirm.html/deckID/2yXpyp-vKPrdb-yyySyS

こちらが僕の使用したデッキです。チームの中では最も安定に寄せたデッキになっているかと思います。しかしそれが勝利の秘訣だったかというとまるでそんなことはなく、ただマッチングに恵まれていたの一言に尽きます。細かいマッチングについては後述しますが細かいも何もないマッチングでした。

パソコン通信 終盤のロックや捲りの場面でどうしても特定のカードが必要なときが多く、回収サイクロンよりも優先しました。コントロール等への耐性は下がりますが、後手1でロック出来なかった際のどうしようもなさを踏まえてもこれで問題なかったと思っています。

ザオボー グッズロックと合わせて相手に課す妨害のうち、盤面に対処しやすいものです。相手がデッキをわかっていても尚それを超えられるという点で評価が非常に高く(後述)ブロアー2枚目などより優先しました。

カリン レジドラゴに主に使いますが、ルギアにも相手がアッセンブルを言えてない場面では有効に働きます。また相手のトラッシュに有効なポケモンが落ちていない場合は単純に相手の山の質を下げることや、こちらの将来的に必要なポケモンの再利用、さらには相手のデッキのシャッフルにすら使えます(ゴミ集め)。このデッキの起点とも言えるカード。

オリーヴ 調整初期にはカゲツとの互換程度の評価でしたが、相手がデッキをわかっていればいるほど刺さる場面が多いということで、このカードの方が評価が高くなっていきました。例えばこちらのグッズロックをケアして使えるグッズを全部使い、サポート1枚だけで先攻1ターン目を終えた時、そのサポートを抜きながらグッズロックをすれば容易に何ターンも得ることが出来ます。それ以外にもスタジアムやレンジャー等抜きたいカードは多いです。
強制効果なので何かしら戻させなくてはいけないのですが、どうでもいいグッズばかりの際は本当にどうでもいいグッズを戻させた方が後々に効いてきます。どうせ相手が動くのは博士やデデンネにたどり着いてからなので、サーチャーをわざわざ山に戻してNビリリターンの返しの選択肢を増やしてあげる必要はありません。

パラレルシティ タイプ相性ではどうにもならないほど不利だったパルキアに誤魔化すカードとして最初は入れていましたが、それ以外にも有用な場面が多いことがわかり、最終的には採用必須だと考えました。相手のベンチを制限することでカリンが打てずともアーケオスのスペースを許さないほか、テテフやデデンネでのロック解決にも制限をかけることが出来ます。また、こちらのベンチを整理しカリンを打つことでデデンネやクロバットを再利用したり、コントロール対面でコケコGXを複数回発射するギミックとしても使用します。単純に処理すべきスタジアムの総数を増やすことで、最後に通すべきスタジアムが通りやすくなるという点でも4枚目のスタジアムの価値は高いです。

スピード雷エネルギー 手張りのしやすさがプレー難度を下げてくれるだけでなく、ドローによる安定も見込めるので基本エネルギーの7枚目よりはこちらの方が価値が高いだろうと採用しました。正確には前日の23時に入れようか悩んでるってかげろう君が言ってたので良いこと聞いたってなんも考えずにぶち込み一回も試さずに寝ましたが普通に使い勝手が良かったです。

のぞきみレッドカード(候補) 相手が手札を吐いて来た際や終盤に神殿を通したいといった時に便利なカードで、採用候補に上がっていました。デッキがバレていればここまですることも考えたかもしれませんが、相手がプレーを最適化することはおよそ不可能で、やりすぎなカードであると判断し採用を見送りました。

VSレジドラゴ

カリンを使用し相手のわざマシンを奪った上で、ロックを維持します。維持する上で大事なのが、相手のレジドラゴを早く進化させることです。進化前であれば単体でクワガノンと五分以上に殴り合えてしまいます。メリープで眠らせたり、ザオボーでダブドラを剥がしたり、オリーヴで手札を奪うことで進化やレガシースターを強いれば大きく有利になります。

グッズロックを解除される展開としてはレガシースターからディアルガが落ちてタイムレスを打たれたり、レンジャーから同様にタイムレスまでいくことが考えられます。この場合は一気にテンポを奪われてしまうように思いますが、どうしてもそれまでの過程でリソースを吐きすぎているでしょうから、今度はN神殿で捲りのプランを目指します。ザオボーやオリーヴ以外にも、最後には自分で神殿を剥がしてカプサンダーで勝ち切ることや、ビリリターン+メリープ/レジエレキVMAX前で1ターン得ることで十分に相手が勝ち切る前にこちらがサイドを取り切れるはずです。

ちなみにされて最も辛い動きはレガシースターをひたすらキープしながらレジドラゴVで殴り続けてくることになります。そしてタイムレスからカオスウィールでサイド2に入ることで勝ちきれます。グッズロック中には相当難しいように思えるでしょうが、ヤブクロンのゴミあつめでレンジャーや博士のようなサポートをキープし続ければ意外とどうにかなってしまいます。

https://www.pokemon-card.com/card-search/details.php/card/27390/regu/BW

こういった動きをされる場合はザオボーでダブドラを剥がすことで殴れないようにするか、レガシースターでカードを探しに行くことを強いることが基本線となります。あるいはレンジャーを構えていることが予想される場合などではオリーヴでそれに対処する必要があります。

デッキトップと手札にそれぞれ重要なサポートを構えられている場合に対処できる唯一のカードがのぞきみレッドカードでしたが、いくらなんでもそんなプレーを初見でされることはないし、1日を通しての貢献度の見通しが立てられなかったために採用することはありませんでした。採用して実際に動きを通せてしまえばかなり気持ちいいカードだとは思います。

VSルギア

アーケオスをどれだけ早期に何体出されるのかで大きく分岐します。やはり第一優先はアーケオスを出されない盤面、つまり後手1でのカリングッズロックですがそれは然程現実的ではありません。ですから、パラレルでアーケオスが出せても1体というような盤面を目指します。そしてアーケオスが実際に1体しか出ないのであればそれをグズマで2ターン目にとってしまえば形成を一気に有利に持っていくことが出来ます。神殿ザオボーで相手はこちらの打点に追いつくことが不可能となります。

逆にアーケオスがしっかり2体出てしまった場合は、まわしクワガノンでルギアを2回殴り、その2回目の倒すタイミングに神殿を合わせて相手にスタジアム関連のリソースを吐かせ、そして相手のサイドが2になった際に再びN神殿を通すというのが現実的なプランとなります。相手は基本的にスペシャルチャージが打てず神殿下で2枚目のルギアを動かすだけのリソースを残せていないことが多く、そこからザオボーなどを絡めてテンポを掌握することが出来ます。

相手にパワフルが複数入っている場合はまわしをつけてもクワガノンがストームダイブを耐えないのでルギア、アーケオス、アゴアクジと2-1-3の最速プランを目指す必要がありますが、その際はアゴアクジにNビリリターン、タンデムユニットと合わせることで暴食を無視して倒しきることが出来ます(レジエレキの加点が2回とまわしがいずれかに必要)。

また、相手の盤面が苦しくルギアをなんとか起動させて神殿を破壊しに行かないといけないという場面ではルギアにダブドラがつくことも少なくありませんが、その際は神殿を破壊することで相手のダブドラを剥がすことが出来ます。スペシャルチャージ前提でエネルギー総数が高々12枚程度であるこを念頭に、それを全て割り切ることも勝ち筋のひとつです。

VS黒馬

グッズロック以外に特別の芸はありませんが、パラレルシティで冥界の扉の回数を制限することが出来ます。こちらのエネ総数やドローサポートの薄さからキリンリキがクリティカルとなることもしばしばですが、序盤の打点の遅さとコケコGXでの逆転性能、Nビリリターンからメリープやレジエレキ前で1ターンもらうといったような展開で五分を割ることはないかなと考えていました。軽石で逃げ回られながら打点が伸びこちらがサイドを進められないというのがいちばんまずい展開なので、グズマを的確に打てるように意識する必要があります。トラッシュにグズマを放置したり、サンダーマウンテンでグッズロックするのはそれぞれキリンリキやホラーハウスでこちらの優位を手放す原因になってしまうので、気をつけなくてはなりません。

そもそも黒馬というデッキが構造的にルギアやドラゴに有効なわけではなく、このデッキのようにN神殿でどうにか出来るうち最もカードパワーが高いというだけでそれほど高い評価を与えていませんでした。三強の中では最も五分に近いマッチですが、これ以上の対策カード、たとえば雪道などは過剰であると判断しました。

VSコントロール系統

こちらも黒馬同様に最大級の評価を与えるには至っていませんでした。と言うのも、どのような形をとっても上位3デッキのいずれかには圧倒的不利を取ってしまうのが改善できなかったからです。この対面とコントロールの研究にはそれほど時間を取れていないことをご容赦ください。

グッズロックを維持し続けることと、サイドを取り進めることのどちらを優先すべきかを意識します。stall以外ではグッズロックとマリィや手張りを続けるだけで相手がジリ貧になることが多く、有利だと考えています。stallではコケコGXやパラレルをうまく使って6枚を取り切る必要がありますが、グズマが打てないロック場面をまず作らせないのが重要です。キャプチャーでレジロックが出されたり、ダイゴから準備されたりが問題となるので、早いうちから神殿やマリィを絡めていきサイドを数枚回収できれば、あとはコケコGXで十分勝ちきれます。

VS超越系

前日にホテルで運試しだ!!!とか言いながらサナニンフをチームメンバー全員で回したんですが、1人も成功しませんでした。存在しませんこんなの。予選を全勝した世界チャンピオンのリストには興味がありますが、気にするだけ無駄だと割り切りました。

当日のマッチアップ

それぞれを詳しく覚えているわけではありませんが、大抵はNで逆転を狙う試合になる前に終わりました。チームメンバー内での練習ではお互いがデッキをわかっているためいい試合になりますが、完全初見でこれに対応することはやはりほぼ不可能なようでした。

予選で負けた試合は自分のマリィでこちらが固まってる間にレンジャーからタイムレスに繋がり、こちらがN神殿にたどり着く前にサイドを取りきられての負けでした。

他に語るべきところとしては、1戦目ではともぽん君と連番になり非常にリラックスした状態で大会に入っていくことが出来たところでしょうか。彼としたらお互いに同じデッキを使っていることやそれぞれに想定される残りのリソースを隣から察知されるのを嫌がって他人の振りをしたがっていたようですが、僕は普通に話しかけまくっていました。それでいうと斜め向かいに座れと言ってきた時は流石にこいつ大会1戦目から頭おかしくなったのか?とは思っていました。横の手札覗いて目の前のデッキに入ってるカード見れるのヤバすぎるだろ。そんなともぽん君は僕の対面の1ターン目の強すぎる動き(うねり+ナンス前)を見て僕の身を案じてくれていたようですが、普通に僕の引きがもっと強くて余裕で勝ちました。

また、魂の最終戦では相手がグッズロックを察知してか大いに走って手札2枚で最初の番を返してきたため、なるほどなぁとか言いながらオリーヴでミツル抜いてパラレル貼ってダラダラ試合をしてしっかりと勝ちきることが出来ました。それまでに対戦した方々はこの気分の悪いロックデッキに破壊されることを心底嫌がってらっしゃいましたが、この方はこのデッキにとても感動されたようで、試合ののち成績発表を待つ間も楽しく会話出来たのが印象的でした。こうありたいものです。

そして決勝トーナメントでは相手にデッキがバレていたのか後手を取られてしまい、後手1アッセンブルこそされなかったものの終始苦しい展開を強いられてしまいました。そして中盤以降はタンカをどこまでいっても触ることが出来ず最後にN神殿をした際にグッズロックが合わせられなかったため、サーチャーからザオボーで神殿を解除されて終わってしまいました。ここまで来ると流石にデッキがバレていても何ら不思議ではない(事実僕は相手がルギアなことを知っていた)ため、しっかりとじゃんけんを勝つことが重要だったという感じがします。もしこれを勝っていればとーしんさんのアマージョこそ未知数(多分不利?)ですが、あとはルギアをもう2つ超えるだけだったようなので、世界はおろか優勝すら手に届くところにあったというのは非常に複雑な思いになってしまいます。

ちなみに、決勝トーナメントではスリーブやデッキのチェックの後に公式から支給されたスリーブに交換しての対戦となります。私はミライドンデッキ(仲間内では一貫してミライドンデッキ呼ばわりだった)を使っていたにもかかわらずコライドンのスリーブを支給されました。他の方がなんか可愛いスリーブ色々使わせてもらってた中でよりにもよってコライドンかいとは今でも強く思っています。

また、当日はチームメイト全員の勝敗報告で皆が一喜一憂出来たことが非常に嬉しかったです。中盤以降は僕しかトナメの目がなくなってしまいましたが、その僕の勝利報告で盛り上がったり応援してくれた一体感を久しぶりに感じられました。

振り返って

僕の敬愛するデッキビルダーのかげろう君とデッキ調整が出来たこと、そして彼の凄みに直に触れることが出来たのは本当に有意義でした。ムウマージ入りのピカゼクやヘラクロス入りのルカメタフーパ、ラニュイ入りのショックロックなど、僕が大好きな彼のデッキは枚挙にいとまがありません。

たとえばピカゼクムウマージはルガゾロを重く見ての採用でした。ムウマージがただドローを安定させるエンジンとして採用されているのではなく、カウンターキャッチャーを起動させることでエネつきのイワンコを倒せるカードとしても機能します。そして何よりもすごいのが、そのイワンコを倒した返しに相手はサイドが5-5で同数になっているので黒帯やカウンターゲインが起動せず、デスローグでピカゼクを返すことが出来なくなっている点です。だから安心してピカゼクに6エネを集めタッグボルトまで狙いにいけるようになっています。このルート、美しすぎませんか???

あるいはこれまで何度も言っているように、チームメイトのともぽん君との出会いの最初のきっかけは、このルカメタフーパLOでした。彼がヘラクロス入りのルカメタフーパで結果を出したから、僕が彼を一方的に認識し、結果的にこの調整チームに繋がっています。そのヘラクロスのアイデアも彼によるもので、しかもそれは一時的なものではなくSMレギュの大会でルカメタフーパを見ると現在でもさも当然かのようにヘラクロスが採用されています。

このような素晴らしい数々のデッキに、19年当時の僕は強い憧れを抱いていました。その彼と調整を出来ただけでもいい思い出なのですが、中でも驚いたのが彼の洞察力の深さです。

これらのメタデッキはしっかりとした環境理解があるから成り立っているのだと思っていました。ピカゼクなどその典型です。が、彼にとって数年ぶりのポケカ、しかもエクストラという一層複雑なレギュレーションにいきなりぶち込まれていながら今回のようなデッキをさも簡単そうに作ってこられるのは驚き以上のものでした。デッキビルダーであることは重々承知していたものの、デッキ勝ちデッキを作るのは全て超越班に任せていた節がありました。それが数日エクストラの話を聞いただけでこれですから、得体の知れない凄みを感じてしまいます。

彼のデッキビルドの凄さはただそのコンセプトの独創性だけでなく、最後の勝利盤面に至るまでどうすればしっかり再現性を持ってたどり着けるのか、その解像度と大局観までがそなわることで、ちゃんと勝てるデッキを作れるという点で飛び抜けています。ただ記事を読んだりデッキを見たりするだけでは分かりませんでしたが、彼はプレーの繊細さも持ち合わせています。分岐や裏目を見逃さない鋭さがありました。

偶然そんな彼が所属する調整窓にいて、偶然二強を踏み続けたから僕が勝っただけで、同じことがチームメイトの誰にでもありえました。あるいはせと君がそうであったようにメタ外のデッキとの地力勝負に巻き込まれる可能性が僕にだってありました。ある程度は勝つ自信があるけれど、メタ外の位置に放り込まれるとズルズルと負けてしまいかねない、そういうリスクのあるデッキ選択をしていました。個人それぞれが勝つ選択というより、チームとして勝つデッキ選択を優先しました。

去年のJCSでは3人で調整をして、ともぽん君がレジを、僕とえいけいさんがハピナスを使いました。ともぽん君は0-3に終わってしまったものの、レジ自体は優勝を収めた勝ち組デッキでしたし、それはベスト16、つまりWCS day2を決める試合でえいけいさんのハピナスを破っての優勝でした。ハピナスも十分に勝ち組デッキではあったものの、多少の上振れ下振れを受け入れた上で3人でレジ特攻するのも世界を目指す人間の正しい姿勢のひとつなのではないかとの反省がありました。

細かいカード採用の部分で大きな後悔があるともぽん君は中々同意してくれませんが、チームを個人全員が勝つためのものというより、そのうちの誰かが勝つためのものだと考えている僕としてはみんながレジで挑戦した世界線というのがずっと気になっていました。

そして今回がその結果です。当時思っていたものから更に倍の人数で特攻して、十分納得の行く成績を得ることが出来ました。最後こそ惜しかったですが、これ以上のデッキが環境に存在したとは到底思えません。少なくとも、大会当日いちばんの勝ち組デッキを使っていたのは間違いなく僕でした。また、3人の中で唯一上位入賞スリーブを持っていなかった僕もついに取ることが出来ました。そういう点では非常に満足が行っています。しかし、ではこの勝利を今回の急造チームではなく普段の場に戻って再現できるのかと問われると僕はかげろう君じゃないと思ってしまいます。

僕が今回の勝利に満足しているのは、彼のデッキでしっかり結果を出せたことです。一方で全く満足が行っていないのはこの勝利に僕の力がひとつも介在していないことです。僕にはこの勝利の再現性が全くありません。普段の調整メンバーに彼をリクルートするというあまりに乱暴すぎる方法で当面の解決を得ましたが、やはり自分でこの能力を得なくてはなりません。そしてエクストラ触って数日の彼にあんなデッキを持ってこられたのでは、そのヒントを見つけるのも難しいなぁと思ってしまいました。

この成績は僕のものでは全くないという自意識が僕の筆致を暗がりに引き摺り込みます。ただただチーム、そしてかげろう君のお陰でしかありません。負けたことをチームのためには悔しがれますが、僕が世界大会の代表になってもどうしようもないという点で、負けた事実を非常に客観的に受け入れています。そしてこの感情そのものに対しては悔しさを持って向き合うことが出来ます。ですから、まずは宮城でしっかり自分の実力を発揮した上で勝ち切らなくてはなりません。また、昨年末に主催したアドカレ総括記事では発信力の増強として皆に言える実績を残すというのを目標として挙げていました。これはその助けになってくれると思っていますが、まだまだこれだけでは不十分です。宮城のみならずJCSの優先権も取れましたので、そちらで今回以上の結果を残さなくては、自分が満足することが出来ません。1ヶ月ぶりのスタンでビハインドは大きいですが、なんとか頑張ろうと思います。
では、ここまで読んでくださりありがとうございました。

以降はこの前と同様、ベスト16おめでとうや宮城頑張れと思っていただける方への読み物を書こう思います。興味があればご購入いただけますと幸いです。


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