もの思い

何をもの思いますか?

縁があって五行歌に触れてから2年ほどになるが、創始者の草壁焔太氏にはお会いしたことは無いし、思想なども知らずに過ごしてきた。今回、著書『もの思いの論』を読んで、考えていることの一端を知ることが出来たように思う。

科学と哲学の結びつき、大和言葉という母(国)語ならではの考え方、永遠の概念の捉え方など、面白い発想が多いと思った一冊だった。欲に関する部分は自分と少し考え方が異なる部分もあったが、総じて近しい思想だということが伝わってきたし、その中で古典に対する専門性から滲み出てきている思想は自分では太刀打ちできないレベルなのだろうと感じた。

一方で、サイエンス(特に化学)については自身の方が専門性が高いこともあり、現実を織り成す摂理と哲学の融合という観点で、自分自身の思想を構築していける部分があるのかもと改めて感じた部分もある。これまで仕事で使っていた専門性を哲学や芸術、教養に展開することをあまり意識してこなかったが、これは独自性を発現出来るポイントかもしれないとも思った。

常日頃、研究者も人間だから、本音ベースでの対話が重要だと説いているのだが、本著でも詩(歌)を本音ベースで創作することの重要性が述べられている。また、本音に至るまでに考えつくす(物思いする)ことの重要性も述べられている。ここらのマインドは、コーチングの相互セッションで互いを尊重することを理解しながら醸成してきた部分であり、自分自身の体験が歌人、詩人としても重要なんだろうとも改めて感じた。

今日、本著を読み終えたのだが、昨日から仕事のトラブルで、昨日は深夜まで仕事をして、今日は休日出勤の合間に読書をしていた。そういう中で、もの思いしながら出てきた歌を記して終わりにしたい。

狂人の
思想に出会える
この瞬間
私が壊れて
私が生まれる
虚無感は
時には優しいこともある
心の空白が
新たな欲の
源泉になる
時間も世界も
存在しない
あるのはただ
私と
関係だけだ
離婚して
初めてのクリスマス
仕事の忙しさに
酔い浸るのは
酒を飲むより気持ちいい
とは言いつつ
帰宅後に飲む
この一杯は
至福の時を誘う
人とはかくも単純だ

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