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140字小説コンテスト「夏の星々」応募作品



「星々」様の140字小説コンテスト「夏の星々」に参加した3作品です。




1
恋人がスマホ中毒になった。デートをしてもスマホに夢中で話も聞かない。だからこっそり彼のスマホに遠隔ロックできるアプリを入れた。いつもならスマホを触っているだろう時間にそれを起動する。それから彼に会いに行った。彼の手には、見知らぬスマホがあった。「急に壊れちゃったから買ったわ」



2
大好きだって言われて舞い上がってしまったんだと思う。彼女は公園のベンチで泣きながら言った。僕は「うん、うん」と頷くことしかできない。遠慮がちだった涙はだんだん大粒になり、手のひらから零れたそれらは公園を海のように変えていく。いいよ、この町が海に沈むまで話は聞いてあげるから。



3
僕には太陽のような友人がいる。幼いときからずっと一緒にいた、明るく熱血漢で誰からも好かれるような男だ。だから気がつかなかった。友人はこの春から地元を出て遠くで暮らしている。それで僕はようやく彼の光で焼きつくされない日々を知ったのだ。今は、彼から時々くる電話を楽しみにしている。



3つ目がありがたいことに予選通過していました。入賞は残念ながらできませんでしたが嬉しかったです。次も参加予定なので頑張ります。


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