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熱海秘宝館と昭和なあのホテル

これから熱海を観光で訪れる皆様、熱海随一のアクティビティといえば? そう! 「熱海秘宝館」ですねっ! 熱海駅前の観光地図では見事にスルーされていた気がするが、せっかく昭和な温泉街に来たのにここを訪れずしてどうしようというのか。
「秘宝館」と言われてもスマートな令和っ子の皆様には分からないかもしれない。まだ今のようにエッチなコンテンツがネットでいくらでも楽しめるような環境になかった昭和の時代、人形などを使ってエッチなジオラマでセクシーな展示をしていた妖しい館のことである。今や全国でも数少なくなった希少な昭和遺産だ。

そんな素敵ディープスポット熱海秘宝館をこれから初めて訪れようという皆様に、ぜひともお伝えしたい魂の叫びがある!
聞いてください!もっ悪いこと言わないからこれだけは聞いといて!!!


駅からの移動は、無理せずタクシーを使いましょう!もしくはバス!

徒歩だけは絶対に止めておこうぜ……。

あと、どうしても徒歩で行ってみたい猛者で、道案内にGoogleマップを使用する方は、絶対に目的地を「熱海秘宝館」には設定しないようにしましょう。

永遠に着かないよ……。


私は旅先ではまず街中をテキトーにふらふらするのが好きなので、熱海の昔ながらの商店街をふらふらし、その後「Googleマップだとあそこらへんかな~」くらいの感じで熱海秘宝館を目指して歩き出した。

やがてそれらしき建物が見えてきた。


山の上にそびえ立つ秘宝館


レトロなフォントの看板が雰囲気を盛り上げる


トンネルをくぐる。ちょっと怖い


トンネルを抜けると遠くに違う建物が。
……あれ?

Googleマップを確認する。
……いつのまにか通りすぎていた……。

なんだかよく分からない駐車場に向かう道に出た。明らかに、徒歩で突入するような道ではないバリバリの車道だった。

ひとまず元の道に戻った。戻っても、どこから秘宝館に行けるのか全然分からない……。

それもそのはず、熱海秘宝館は山の中腹にあるわけで、ロープウェイに乗るか車で行かなければならなかったのだ。Googleマップは私を熱海秘宝館のそびえ建つ山の真下に導いただけで、どうやってその山に登るかまでは教えちゃくれなかったんである。

実は私は熱海秘宝館を訪れるのは初めてではなかった。大昔に女友達とふたりで来たことがあったのだ。その時の記憶を便りに「ロープウェイ乗り場に行けばいいんじゃね!?」と思いついて、目的地を設定しなおしてやっと正しいルートに入れた。ちなみに女同士で行った秘宝館は超気まずかった。そのときのリベンジも兼ねて是非ともひとりでゆっくり来たかったのである。

で、ロープウェイ乗り場までめちゃくちゃ遠い道を徒歩で戻る羽目になった私だったのだが、そんなしんどい思いをしてなお「道に迷ってよかった!」と歓喜していた。

Googleマップに導かれて見事に秘宝館を通り過ぎた先には、もうひとつの熱海の秘宝そして昭和の秘宝があったのだ!


ホテルニューアカオ!


さっきのトンネルを抜けたときに
真っ先に目の前に広がったのがこの景色でした

昭和レトロな観光ホテルとして親しまれ、一度この建物の営業は終了したものの2023年7月にリニューアルオープンした老舗ホテルだ。公式ツイッターのアップするレトロ写真も人気だった。この建物の眺めも何度もツイッターにアップされていた。私はニューアカオには一度も泊まったことがなかったがツイッターの大ファンで建物写真のツイートにいいねを連打しまくっていたため、実際に実物を目にして思わず「わぁ~!」と声を上げてしまった。

私が訪れたこの日はいよいよリニューアルオープンを数日後に控えたという頃で、何台も車が止まり関係者の方々が出入りし準備の真っ最中という様子だった。


ではそんな素晴らしいニューアカオの勇姿をとっくりとご覧いただきましょう。


看板が取り付けられたばかりらしきエントランス
崖に沿って建つこの姿がカッコよすぎる

興奮しまくり写真を撮りまくった私だったが、当初の目的地は熱海秘宝館なのだった。道を間違えて相当時間もロスしている。次はきっと泊まりにくる!と胸に誓ってニューアカオを後にした。

無事ロープウェイ乗り場に着いた。

平日だし人が少ないかと思いきや、結構何人も人がいる。……そしてその9割が若いカップル、0.8割が子ども連れの家族グループ、残りの0.2割が私だった。

気まずい……。

しかしロープウェイを降りた先には他の観光スポットもある。カップルみんなが秘宝館に行くわけではないだろう。きっとそうだ。みんながそんなハレンチなわけがない。

ロープウェイ内で流れた案内によるとアタミロープウェイは日本一短い観光用ロープウェイだったという(今は違うのかもしれない)。動き出して三分くらいで山の中腹に着いた。降りてすぐに展望台があり、秘宝館入口は階段を数階分上がるとある。ロープウェイから降りてすぐ、カップル達がいそいそと展望台に向かうのを確認しながら、私は秘宝館へとダッシュし無事入館した。



館内に入り数歩進むと、怪しい巫女さん人形のいる神社が……ここではエッチなおみくじをひけるのだが……。

「ちょっとこわ~い」
という甘ったれた声が聞こえた。私の数歩先をカップルがべったりくっつきながら歩いていた。

……こっちにもちゃんと来とるんかい、カップル。

その後の部屋でも私より先に来てじっくり昭和レトロかつセクシーな展示を楽しんでいる令和のオシャレカップルに何組も遭遇した。そのカップル達はあけすけな展示に照れた様子ながらみんなべったり仲良くひっついてイチャイチャしているのであった……。


いや、これが正解。
秘宝館は昭和を知らない若いカップル同士で来て照れながらキャッキャしながら見るのがたぶん一番楽しい。
このカップル達は大正解だ。
むしろ他に今っぽい観光地がいくらでもあるなか、あえてここを選んでキャッキャ楽しめる点でめちゃくちゃセンスがある。彼ら彼女らのおかげで熱海秘宝館は今も営業していられるのだ。カップルたちよ! 令和の世を生きる若者たちよ! 秘宝館の未来は君たちに任せた!

……私は気まずいから帰るね……。

それでもひとりでエッチなおみくじを引き、熱海秘宝館オリジナルプリクラを撮って、お土産コーナーで四十八手てぬぐいとペン先があれになっている珍ボールペンをしっかりと買い求めてから帰った私を誰か誉めてくださ~い。

てぬぐいとロープウェイチケットと
パンツみたいなデザインのお洒落な秘宝館カード
ボールペンの写真はセンシティブなので
載せられません……