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野鳥が気になり始めた人への推薦図書5選
「最近野鳥観察を始めた」「鳥についてもう少し詳しく知りたい」という人へのおすすめの書籍を紹介する。野鳥の判別に役立つ図鑑から野鳥の不思議な行動の理由が分かる図鑑、スケッチに役立つ書籍など、もっと野鳥・野鳥観察が好きになること請け合いの5冊を推薦図書としてピックアップした。
(メイン画像:Marisa Sias、Pixabay)
1 手始めの識別はこの1冊でOK「ぱっと見わけ観察を楽しむ野鳥図鑑」
野鳥観察を始めたばかりor始める方で「どの野鳥図鑑を選んだらいいのだろう」と思っている方におすすめするのがこちら。
![画像1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/37488338/picture_pc_9ba45fdf81d1b57f0a1f0eb0e0f789c5.jpg?width=1200)
日本に生息する324種をクリアな写真で見分けるポイントとともに掲載している。
この本は、私自身が野鳥観察を始めるにあたり最初に購入した野鳥図鑑でもある。全体的に見やすいページ構成だったことの他に、数ある野鳥図鑑の中でもこの一冊を選ぶ最終的な決め手になったのは、「鳴き声が聴けるQRコードが付いている」ことだった。
鳴き声のCDなどが付属している書籍もあるが、QRコードであればスマホがあればどこでも聴けるので非常に助かる。ざっと見たところでは2/3ほどの野鳥について音声が付いている。しかも、地鳴きとさえずりの両方の音声を提供しているものも多いので、さえずるシーズンではないときの聞き分けにも非常に役立つ。
また、いいなと思ったのは、巻頭で双眼鏡の使い方や、鳥の大きさや羽の色で検索できるインデックスが付いていること。巻末には、双眼鏡の選び方や野鳥が観察できる環境についても触れられており、野鳥にまつわる用語集も掲載。野鳥観察を始めたばかり人の「よくある疑問」が網羅されている。
特に、鳥の大きさで検索できるインデックスは、見た野鳥がどのカテゴリーに属しそうなのか、当たりすらつけられない初心者段階において、スズメ大なのかキジバト大なのかといった区分けによって一覧から見当をつけられるので、絞り込みやすい。
野鳥観察を始めて1週間ほどのころのこと、初めてシロハラを見たのだが、まだシロハラという名前の鳥がいることすら知らなかった私は、その場では何という鳥なのか全く見当もつかなかった。
帰宅して、「キジバトよりは小さかった」「目の周りが黄色っぽかった」「落ち葉をひっくり返して採食していた」など、記憶を頼りにインデックスなどから絞り込んでシロハラだと同定できた時は、とても嬉しかったのを覚えている。初めてが見た鳥がなんという鳥なのか「分かった!」という感覚を得られることも、野鳥観察を楽しいと感じる重要な要素だと思う。
こんな風に、うろ覚えの観察の記憶でも、この図鑑がどの鳥なのかを導いてくれる。野鳥観察初心者にとって、頼もしい一冊だ。
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監修 樋口広芳、著者 石田光史
出版社 ナツメ社
サイズ 小B6判
ソフトカバー、オールカラー、400ページ
発行日 2015年3月23日
価格 1,500円(税別)
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2 驚異的な野鳥の世界へのいざない「極楽鳥 全種 世界でいちばん美しい鳥」
紙面にも関わらず、「野鳥の生態の凄み」をダイレクトに教えてくれるのがこの書籍。
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/37489437/picture_pc_30874af6fc779c1527f02eccc3a54d91.jpg)
本書では「極楽鳥」と呼ばれるフウチョウ科の鳥39種が写真で紹介されている。著者である写真家のティム氏と鳥類学者のエド氏がニューギニア地方で8年がかりで調査・観察しながら撮影に成功した写真だ。
本書が主軸を置いているのは、今まであまり明らかになっていなかった極楽鳥の「求愛行動」。写真や映像(QRコード付き)では、オスが平常時の姿からは想像もつかない風貌に豹変して、求愛の「ダンス」をメスに披露する様子を捉えている。これが本当に興味深く、中には思わず笑ってしまうような奇妙なダンスもある。極彩色の美しい羽を持つ極楽鳥が必死に求愛する姿。これまでに自分が知っていたのとは全く異なる野鳥の側面を見せてくれた。本書はまさに「極楽鳥」という呼び名がふさわしい、この世のものとは思えない美しい鳥たちの生態を、惜しみなく提供してくれている。
撮影を成功させるためのドキュメンタリーも詳細に記述されている。極楽鳥が生息するのは手つかずの深い森の中。撮影は命がけだ。撮影にあたっての彼らの並々ならぬ苦労と努力を読むと、写真と映像が一層貴重なものに感じられる。生涯、自分の目でこれらの野鳥を見られる可能性は極めて低いと考えると、著者の二人には感謝しかない。(そして日本語で出版されていることにも感謝!)
ひとたびページをめくれば、ニューギニアという異国の地での野鳥観察を疑似体験しているかのよう。書店などで見つけたら、ぜひ手に取ってみてほしい。
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著者 ティム・レイマン、エドウィン・スコールズ
出版社 日経ナショナル ジオグラフィック社
サイズ 天地228×左右277mm
ソフトカバー、オールカラー、228ページ
発行日 2013年11月25日
価格 本体 3,800円(税別)
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3 癒しを得るならこのアイドルの写真集「雪の妖精 シマエナガ」
個人的に、職場のデスクに置いておきたい書籍No.1。
![画像4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/40244470/picture_pc_caa0fabbe59e69e8ce158467f9f5526d.jpg)
写真家の嶋田忠氏による、シマエナガの写真集。シマエナガは北海道に生息するエナガの亜種で、正面から見ると真っ白で丸っこく、愛らしい風貌と仕草などから、野鳥観察をしない人からも近年注目を集めている。若い世代の方にも「かわいい」と人気の、アイドルのような存在だ。
そんなシマエナガの写真集は複数出版されているが、私がおすすめしたいのは嶋田先生のものだ。北海道の、雪で真っ白な大地を背景に、シマエナガの飛翔や着地、くちばしに雪をつけながらエサとなるタネを探している様子、小首をかしげたような仕草など、愛くるしい姿が余すところなく掲載されている。癒される…。
シマエナガを知っている方も、まだよく知らない方も、シマエナガの虜になること請け合いの一冊だ。
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【雪の妖精 シマエナガ】
著者 嶋田忠
出版社 銀河出版
サイズ 14.8 x 18.5 x 0.8 cm
ソフトカバー、 80ページ
発売日 2017年12月26日
価格 1,400円(税別)
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4 野鳥の行動の”なぜ?”に答える「WHAT IT'S LIKE TO BE A BIRD」
野鳥の生態について体系的に教えてくれるのがこちらの一冊。
![画像3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/40225682/picture_pc_873fd024598558d9931de74a9d5c8089.jpg)
英語で書かれているので、ハードルを感じてしまう方もいると思うが…
※この後で日本語版書籍のリンクも貼っています。
本書は、アメリカで見られる身近な野鳥を87種、それらと関わりのある野鳥をさらに96種、イラストとともに紹介。メインの87種については、おおよそ実物と同じサイズで描かれている。本書のイラストは、著者であるシブリー氏が手掛けている。
タイトルのWhat It's Like to Be a Birdは、訳すと「鳥になるってどんな感じ?」。副題にあるように、飛翔から巣作り、採食、さえずりについて、鳥は何をしているのか、そしてそれはなぜなのかを紹介している。
ここで、著者のシブリー氏について少し紹介したい。彼は野鳥ガイド図鑑などを手掛けるイラストレーター。大学に入学したものの1年で退学し、それからは365日バードウォッチングをして過ごしたそうだ。観察を通じてスケッチを続け、今では「アメリカの野鳥図鑑といえばシブリー」とも言われるほど、アメリカを代表するイラストレーターだ。
彼はある動画で「どうしたら野鳥をうまく描けるようになりますか」という問いに対して、「野鳥を『理解すること』こそが、(正確に)描くコツだ」と語っていた。その言葉を裏付けるように、本書も生き生きとした、野鳥の特徴を的確に捉えた美しいイラストであふれている。
本書で紹介されている内容を一部紹介しよう。例えば、シジュウカラ。ヒナにイモムシを与える姿は写真や実際に目にしたことがある人も多いかもしれない。しかし生まれたばかり(1週間前後)のヒナには、クモ(蜘蛛)ばかりを与えるという。なぜか?その理由は、クモには脳の発達によいとされる「タウリン」という成分が含まれているからだそうだ。
また、カモメはゴミをあさって食べる鳥として悪名高いが、ヒナにはカニや生きた魚などの栄養価の高い自然の食べ物を提供する。いずれも我が子の成長のために、親鳥は特別な工夫をしているというわけだ。
このほかにも、
・カラスの仲間家の壁面などをはがして食べるのは、塗料に含まれるカルシウムを摂取するためであること(特にメスにとっては卵の殻を作るためには必須の栄養分なので重要)
・カモの羽が水をはじく構造
・キツツキが脳震盪を起こさない理由
・ワシは常に4方向に対してよく見ることができ、周辺視野はほぼ360°見ていること
などが紹介されている。
野鳥観察初心者の私にとっては、思わず「へぇ~!」と唸ってしまうような野鳥の生態がてんこ盛りの書籍だ。一般的な図鑑には、種の特徴は列挙されているものの、それらが「なぜなのか」までは紹介されていないことが多い(紙面の関係もあると思う)。慣れない英語なので読むのに時間はかかるが、野鳥の生態の「なぜ?」が包括的かつ体系的にまとめられているので、種を問わず「鳥類」全般に対する理解を深めるのに有益な書籍だと思う。
本書は野鳥観察者「ではない」人でも楽しめるように、との思いで執筆したそうで、子どもから大人まで、専門知識不要で読めるように書かれている。そのためか、平易な言葉で文章もシンプルなので、英語に苦手意識を持っている方でも、「案外読める!」という感じだと思う。ぜひ読んでみてほしい。
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【What It's Like to Be a Bird: From Flying to Nesting, Eating to Singing
--What Birds Are Doing, and Why】
著者 David Allen Sibley
出版社 アルフレッド・A・クノップ
サイズ 22.35 x 2.54 x 28.7 cm
ハードカバー 、オールカラー、240ページ
発売日 2020年4月14日
価格 3,983円
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同書は、2021年12月に日本語版も発売されました!
![](https://assets.st-note.com/img/1686053882752-knIfIhVPi3.jpg?width=1200)
詳細はこちら↓
https://www.yodosha.co.jp/book/9784758121156/
5 スケッチや絵を描くのが好きな方へ「色鉛筆でかわいい鳥たち」
鳥を好きになってから、「ちょっとした場面で、鳥をかわいく描けたらいいなー」と思っていた私が衝動買いしてしまった一冊。
![画像5](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/40244507/picture_pc_2da0efcf22f1ed630dc5863df7009b12.jpg)
日本でなじみ深いスズメやツバメ、カモなどをはじめ、インコなど美しい羽を持つ鳥たちなど130種のイラストを掲載。色鉛筆で描くプロセスと使う色も紹介してくれているので、取り組みやすい。ミーハーな私は、この本を買うと同時に色鉛筆も新調。お手本通りに描くのには時間がかかったが…。
色鉛筆ならではのタッチで、見ているだけで心が和む。野鳥観察をする際のフィールドスケッチにも役立ちそうだ。
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【色鉛筆でかわいい鳥たち】
著者 秋草 愛
出版社 パイインターナショナル
ソフトカバー、 112ページ
発売日 2015年5月25日
価格 1,400円(税別)
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以上、5冊を紹介した。またおすすめの書籍を発見次第、この記事に追加したい。
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