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公用車広告②~市の無責任な返答に呆れる

  約束した9月29日、応対してくれたのは公用車広告事業の担当部署、財産管理課のS係長と女性職員のUさんである。
 私がICレコーダーを取り出すと、会議室に移動して市も録音することになった。そういうルールなのだそうだ。はい、もちろんけっこうです。

 その席で私は、極力冷静に公用車広告について質問をした。

「もしブラック企業だったら、市はどう責任をとるのか」

◆「問題のある会社の広告がついているが、事前にどんな会社か調査をしたのか」
 「…」
◆「市の車に広告を載せる以上、その会社が問題を起こしていないか、暴力団とつながっていないかなど、事前に調べるのが当たり前ではないのか。もし掲載している企業がブラック企業だったら、市はどう責任を取るのか」
 「ブラックとはどういう意味か。言っていることがわからない」
◆「犯罪を犯していたり、法律違反を犯していることだ」
 「どこの会社も、何かしらはありますよ」
◆「たとえば暴力団とつながっていないかなど、警察に照会はしているのか」
 「警察も忙しいから、いちいち市の問い合わせに答えてもらうのはちょっと…」

「守秘義務があるから他の部署に企業の照会はできない」

◆「外部が難しくても、市役所内部で情報を集めることはできるのではないか。たとえばL・C社については、以前私が建築指導課に相談に行っている。そういう相談が寄せられているかどうか聞くことはできるはずだ。
 また、例えばどこかの社会福祉法人が広告を出すといってきたら、福祉関係の部署に、そこがトラブルを抱えていないか、法律の定める基準に合った運営をしているかなど、問い合わせられるのではないか」
 「守秘義務があるから、他の部署に問い合わせることはできない」
◆「守秘義務???」
 「それに情報を集めれば色々な意見が出る。それはもうすごいことになって収拾がつかなくなる」
◆「まず色々な情報を集め、そのうえで必要があれば現状を調査し、これはだめ、これは許容の範囲ではないかと検討する。それが『審査』であり、『チェック』なのではないか」
 (やってられないよ、という顔)

「もう契約しているから企業の調査はできない」

◆「要するに広告掲載にあたり、何も調査をしていないということですね?」
 「市税の滞納調査、広告紙面のチェックはしています」
◆「不祥事などの身辺調査は?」
 「…」
◆「わかりました。何も調査していないことを確認しました」
 「…」

◆「これから先の話ではなく、今掲載している企業の調査はできないのか。たとえば今L・C社と市民の間にトラブルがあったという情報提供があったわけだが」
 「もう契約しているからできない」
◆「事前調査したのならまだしも、やっていないのだから、できないのはおかしい」
 「…」

「請け負った広告代理店の名前が公表されない理由は?」

◆「そもそも公用車に広告という案はどこから出たのか。人口減の自治体が苦肉の策でやる事業だと思うが、船橋市は人口が増えている」
 「当時の担当者が異動になっているのでわからない」

◆「平成30年に行われた広告代理店を決めるための一般競争入札の結果が、市のホームページに表示されていない。いったいどこが落札したのか」
 「長田広告です。表示されていない理由はわかりません」
(といって資料を見せてくれる。確かに長田広告と書いてあった。落札価格はあまりよく見なかったが、135万円ぐらいに見えた)
◆「代理店の名前が公表されていないから、市民は広告を出したくても出せない。言い換えれば、公用車に広告が出せるのは長田広告の知り合いの会社だけで、公平性と透明性に欠けると思わないか」
 「…」
◆「長田広告がどうやって広告を取っているか、聞いたことはあるのか」
 (2人で顔を見合わせ、黙って首を横に振る)
◆「同社は事業を請け負うために市にまとまったお金を払っているのだから、なんとしても広告を取ろうとするだろう。多少ブラックであっても、お金を出してくれるならそれでいいや、ということになっていないか」
 「…」

「市が企業に利用される危険性を知っているのか」

◆「企業チェックが必要なもう一つの理由は、市が企業に利用される危険があることだ。よくあるパターンは社長と市長が一緒に写真を撮り、その写真を見せて相手を信用させること。広告に関しても、公用車の広告写真を見せて、うちは市の審査をパスした信頼できる会社、とうたうこともできる。市が企業に利用される危険性について考えたことはあるのか」
 「…」
◆「ないのだとしたら非常に甘いし、危険だと思う」
 「公用車広告については、他からもやめたらという声がいくつか出ている。市はそれらを踏まえて今後検討していく。今の契約は令和4年2月末まで。その前の来年度の終わりには公用車広告事業をやめるか続けるか、結論が出ると思う」

これが真摯な対応と言えるのだろうか?

 約1時間の面談中、時々こちらをにらみつけ、都合の悪いことにはだんまりを決め込む様子からは、誠実に回答しようという気は全く感じられなかった。L・C社と我が町内のトラブルの、具体的な内容を聞くこともなかった。

 のちに財産管理課のK課長から、「市民の皆さんからのご意見には真摯に対応している」という文書が出されるのだが、このやりとりはとても真摯と言えるものではない。うるさいクレーマーを追い払ったぐらいの気持ちだったのではないだろうか。

 しかし市にとってはこの初動が大失敗だったことになる。なにしろこの誠意のかけらもない対応が、私の調査意欲に火をつけたのだから。
 世の中の自治体の皆さん、市民からの意見は「真摯」に受け止めてください。 








 















 
 

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