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【10分で読める】はじめてのスタートアップ転職の教科書

0. はじめに

自己紹介/会社紹介
はじめまして。Professional Studio代表の市川です。
弊社は、”挑戦を、もっとなめらかに”をミッションに掲げ、現在は主にスタートアップ幹部人材向けのキャリア支援を行っています。

私自身は、新卒でスタートアップRettyに新卒1号社員(7番目社員)として入社して広告事業部立ち上げ/採用人事を経験した後、戦略コンサルBCGを経て、現職に至ります。
私自身のスタートアップ採用人事としての経験や、2度の転職活動を通じて、現在の転職市場の在り方に疑問を感じたことをきっかけに、2020年9月より本事業を開始しました。

なぜ本記事を書くに至ったか?
最近はエコシステムの充実に伴い、スタートアップ転職希望者は増加傾向にあり、当社にもスタートアップ在籍者はもちろんのこと、メガベンチャー/大手企業の方でスタートアップへの転職を希望される候補者から日々、数多くのご相談を頂いております。

このように転職相談を日々受ける中で、仕事では活躍されている方でも、転職活動の進め方を理解しておらず、惜しい/残念な転職活動をしている方が多いと感じています。

そこで、これからスタートアップに挑戦しようとしている方に向けて、私なりにオススメする転職活動市場の現状や転職活動の進め方を以下にまとめてみました。

1. スタートアップ転職の市況感

ここ数年で国内ベンチャーへの投資額の増加(2015年時点で2,000億円→2021年で6,000億を超える見込み)に伴い、スタートアップ転職市場は拡大しています。

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(Source; INITIAL  2020年 スタートアップ調達トレンドの全て)

ハイクラスNo.1の転職媒体のビズリーチ内でも、ここ2,3年でスタートアップ転職された方の数が2倍以上になっており、また、私が在籍していたコンサルティングファームでも、現在は約3割がスタートアップへ転職していることからも、スタートアップへの転職が市民権を得て来ていると言えると思います。

その背景には、以下2つの理由があると感じています。

(1)身近なロールモデルの出現やインターン/副業の浸透でスタートアップに触れる機会が増えたこと
・私が在籍していたBCGでも、ライフネット生命創業者の岩瀬さん、PKSHA代表 上野山さん、ラクスルCOO 福島さん、freee CSO 武地さん、WACUL代表 大渕さん...等、スタートアップ業界で活躍されているOBが多く、社内でもスタートアップの話題が多かったです

・2012年頃からベンチャー企業での学生インターンがメジャーになり、30歳前後にはインターン経験者が多い。また、最近では大企業の副業解禁トレンドにより、副業でもスタートアップへの接触頻度は増加している

(2)待遇格差の是正
・投資額増加および採用競争の激化を受け、スタートアップの給与水準は高まり、大企業とのギャップは埋まりつつある
・メンバーレベルでも1,000万以上のオファーが出るケースも存在

2. 転職活動が失敗するパターン4つ

成功例よりも失敗例の方が参考になるケースがあるため、まずは具体的に転職活動が成功しない方のパターンをいくつか挙げてみます。

スタートアップに行く理由付け/覚悟が曖昧なため、意思決定ができない
・明確なキャリアゴールがなく、闇雲に情報収集や面接に臨むが、意思決定の軸がないため、候補者/企業共に決めきれず、結果マッチングしない

メタ認知ができておらず、自身の希望とオファーが噛み合わない
・新しい仕事に挑戦したい/裁量も上げたい/ポジションも欲しい/年収維持orアップ...全て両立させようとするため、企業のニーズに合致しない
(企業は候補者のトレーニングセンターではない) 
・大企業とスタートアップでは前提条件が大きく違う。例えば、大企業の新規事業責任者をしていたからと言って、スタートアップのCOOはすぐには務まらない

自身の思い込み/思考バイアスで検討スコープを狭めている
・HP等の少ない情報から企業のビジネスモデルや内情を理解せず、選択肢を初期から狭めすぎている。特にスタートアップ未経験の方から以下のようなコメントが出るケースは要注意だと感じます

- この業界は儲からない。スケールしなそう
- この業界は競合が強く、難易度が高い
- 社会意義の高い企業に行きたい(社会意義の高い=医療、教育と自身のスコープ内でしか検討しない)
- あの企業はもう規模も大きいので、ワクワクする仕事がない

企業のことを良く調べずに入社を決める
・業界動向とその企業の立ち位置を知らない
・企業のPLや主要KPIを知らない
・経営者/面接に出てくるエース社員としか話をしていない
・リファランスを取っていない

3. 転職活動を成功させる6つのステップ

そこで、上記の失敗を踏まないために、私が考える良い転職とは考えてみました。良い転職活動とは、以下の3つ条件を満たしている転職です。

・キャリアゴールに近づいている
・市場価値(=希少価値)が高まる方向に向かっている
・納得してその企業に身を据えており、結果を出しやすい環境にいる


上記を満たすために以下のステップを踏む必要があると考えます。
以下では各ステップ毎に留意する点を簡単にまとめました。

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①キャリアゴールを描く
②自身のメタ認知
③情報収集/企業選定
④転職手段の選定
⑤選考
⑥内定承諾/入社

ステップ①:キャリアゴール設定/転職軸の整理
キャリアには「描く」→「実現する」→「見直す」という3つのステップがあると考えているのですが、最初の「キャリアゴールを描く」プロセスをしっかり行っていないことで、最後に意思決定ができない、という方が非常に多いです。

私自身も転職時に様々な方に相談をしたり、サービスを試したのですが、以下の点で非常に悩んだ経験があります。

・身近や社内に同様のバックグラウンド/志向を持ったロールモデルがおらず、同じ目線でキャリアプランを考えて提案をしてくれる方がいない
・既存エージェントはキャリア相談よりも求人紹介の比重が高く、かつ、ニーズに合致しない求人をもらうケースも多い
・コーチング系サービスは内省を促してくれるものの、経験等に基づいた具体的なアドバイスはもらえないので、具体の行動に繋がりにくい

では、どうすれば良いのか?
私なりの答えとしては、マクロ的なアプローチ(=人生をグランドデザインする)とミクロ的なアプローチ(=身近なモデルケースを探す)の双方を試し、キャリアを線でつなぐアプローチをオススメしています。
(このテーマだけで数記事は書けてしまうので、詳細は別記事に譲ります)

▼マクロのアプローチ(=人生をグランドデザインする)
・やりたいことを書き出し、人生年表を作成する
(具体的なやり方は熊谷さんの以下著書を参考にしてみてください)

・ストレングスファインダーで自分の強みが活きる領域/ジョブを探る

▼ミクロ的なアプローチ(=身近なモデルケースを探す)
・自身のスキル/経験/志向性を良く理解している、ロールモデル、転職済の先輩/同僚、エージェント等にアドバイスを求める

当社のキャリアメンタリングサービスもこの用途で活用頂くケースが多いです。

ステップ②:自身のメタ認知(=自分の現状価値の把握)
①でキャリアゴールを描いた後に行うことが、自身のメタ認知(=自分の現状価値の把握)です。
スタートアップ転職において、特に、大企業/受験秀才の方に多く見られるのが、自己評価と企業からの評価がズレているケースです。

一例)
・大企業向けの経営戦略立案等の経験がある経営コンサルタント
→スタートアップ経営企画/CSO候補として見た際に、事業サイドの経験がない中で日々変化させていく戦略を一緒に議論できるか/現場で手を動かせるか不透明

・メガベンチャーのPdM職
→スタートアップPdM候補として見た際に、プロダクト全体ではなく機能単位の責任者/PMロールであるケースも多く、1つのプロダクトの全責任をいきなり任せられるか不透明

・GAFAのセールス職
→スタートアップのセールス候補として見た際に、市場で大きな優位性あるプロダクトのセールスであるため、スタートアップ側の粗いプロダクトのセールスとして即戦力となるか不透明

このズレを解消するためには、自身のスキル/経験/志向性を良く理解してくれるメンターやエージェントに市場価値を評価してもらい、自身の自己評価と企業ニーズに乖離がないか診断してもらうのをオススメします。

ステップ③-1:情報収集
キャリアゴールと現状認識が整ったら、次に企業の情報収集です。

ただ闇雲に、TechCrunchやBridgeを読んだり、Wantedly等を見ていると、日が暮れてしまうと思います。
ここで、まずオススメするアプローチはシンプルに、業界に精通している人に聞いて当たりを付ける、です。

・日々、スタートアップ業界動向を追っているVC
・スタートアップ業界に精通してるエージェント
・スタートアップ歴の長い&顔の広い友人

聞く際のコツは、情報が集まる場所にいる&業界に深く入り込んでいるインサイダーの人を選ぶことです。

スタートアップ業界はクローズドオープンと言いますか、クローズドなコミュニティの中ではとてもオープンに情報が出回っているため、業界のインサイダーからしっかり情報を拾うことが重要だと思います。

ただ、スタートアップで働いてます程度の方では、自社と同領域/周辺くらいしか分かってないケースが多いため、あまりオススメしません。
(私のスタートアップ在籍時はまさにそうでした)

ステップ③-2:企業選定
情報収集の次に悩ましいプロセスが企業選定です。
転職時の企業選定のプロセスはM&Aや投資検討時に行う企業価値算定(DD/デューデリジェンス)に非常に近いものだと思います。

私は以下4つの基準で企業をチェックして頂くことを推奨しています。
この4つを面談時に直接企業に確認したり、エージェントにアドバイスを求めたり、企業関係者に確認を取ることでミスマッチを防ぐ工夫をすることが重要です。

A. 市場性 
 - マーケットが大きい(狭いパイの取り合いにならない) or 伸びている

B. 事業性 
 - 売上/事業KPIが伸びている
 - 儲かるビジネスモデルになっている

C. カルチャーフィット 
 - 代表、経営陣、上司、メンバーの人柄に好感が持てる
 - 組織のカルチャー/仕事の進め方が自身にマッチする

D. ポジション/スキルフィット 
 - 自身のスキルが活きやすいポジションが空いている
 - 既存メンバーと上手く補完関係が築ける組み合わせになっている(強みやできることが被っていない)

また、企業によっては体験入社やお試し副業等を実施してくれる企業もありますので、不安であればぜひ活用しましょう。

ステップ④:転職手段の選定
前提として、ジョインしたい企業フェーズに応じて適切な手段は変わります。以下フェーズ毎の違いを書いているので、参考にしてください。

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▼シード期/数名程度の創業間もないスタートアップを目指す方
このフェーズの企業では、求人媒体への掲載や、エージェントが求人を保有していないケースが多いため、以下手段を講じるのが良いと思います。

・リファラル(友人の紹介)
・シード/アーリーステージに積極投資を行っているVCに問い合わせる(下図の左半分)
・業界ネットワークが深く、非公開案件の保有数が多い一部エージェントに相談
(当社以外では、キープレイヤーズ、forStartupsさん等)

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(Source; 
 https://www.wantedly.com/companies/incubatefund/post_articles/140872)

▼シリーズA以降のスタートアップを希望するケース
信頼できる方のリファラルが最も良いのは変わらずですが、自身にネットワークやスタートアップ業界の土地勘もないようなら、前段で述べた企業選定等を精度高く行ってくれるエージェントを使うのが良いと思います。
採用媒体を見ても、企業発信の情報が多く、実態の判断が付かないケースが多いと思います。

エージェント利用時の注意ですが、エージェントを味方に付けること、エージェントにPDCAを回す材料を提供することで、キャリアアドバイス、面談前のお膳立て、企業紹介の精度が上がって来るため、以下の動きを意識して活用すると良いと思います。

▼エージェントを上手く使うためのアクション例
・キャリアに関して感じたこと等を細切れでもシェアしておく
・返信はできる限り早く対応する
・面談後は、ポジティブ/ネガティブ含めた所感、現時点での悩み/懸念点、希望するネクストアクションを早めかつ明確に伝える

ステップ⑤:選考
選考は、前提として自身を売り込む/セールスの場です。
(カジュアル面談はお見合い確認の意味合いが強いですが)

そのため、セールス活動と同様に以下の点を意識して面談を進めて頂くと良いと思います。

● 事前準備
・企業の下調べを事前に行う
 - エージェントからできるだけ情報を引き出しておく
 - 公開資料(HP、求人媒体、採用deck、取材記事等)は一通り見ていく
・質問リストを手元に用意しておく

● アイスブレイク
・前回面談の感想や面接官との共通点を探してアイスブレイクする

自己紹介
・キャリアサマリ、志望動機を簡潔に話す

アピール
・自分の貢献できそうなポイント/仮説をしっかり話す
 - 簡単な資料でプレゼンする等も有効

企業への質問
・質問リストに則って話す
・前段で述べた企業チェックポイントに則って簡単に質問例も添えておきます

▼面談時の質問例
・創業の背景、立ち向かっている課題
・市場環境はどうなっているのか?
・競合はどこで、勝ち筋や差別化ポイントはどの辺りなのか?
・事業PLやCFはどうなっているのか?
・現時点のValuationはどの程度で、出口戦略はどの時間軸でどの目線を目指しているのか?
・経営陣を中心とした企業カルチャーはどんなカラー/宗派なのか?
・入社後、誰とどのような役割分担で働くのか?自身の強み/経験が活きそうか?
・入社後にどのようなキャリアを描けそうなのか?

ステップ⑥:内定承諾/入社決定
上記の点をクリアにし、双方納得できたら最後はオファーとなります。

このタイミングで条件交渉が入る場合もありますが、自身ではなかなか言いにくい面もあるため、エージェント経由の場合はエージェントを上手く活用することを勧めます。

4. スタートアップ理解におすすめの書籍

スタートアップ業界やスタートアップの雰囲気を理解する上での参考図書を以下に添えておきます。

とっつきやすい動画コンテンツなら、以下の作品がおすすめです。

5. 最後に

長文にも関わらず最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました。
本記事を通じて、少しでも皆さんのスタートアップでのキャリア選択のお役に立てれば、これ以上の喜びはありません。
(本記事は随時updateしていきたいと思っております。ぜひ皆さんからの感想/コメントなどもお待ちしております)

▼キャリア相談に関して
Professional Studioでは、スタートアップに挑戦したい候補者の方からのキャリア相談をいつでも受け付けています
興味がある方は、以下コンタクト先までお気軽にご連絡ください。

▼自社メンバー募集に関して

また、弊社では創業メンバーも募集中です。もし以下にピンと来た方はぜひ一緒に働きましょう。お気軽にご連絡頂けたら幸いです。

・人材エージェントに新しい概念を提唱したい方
・創業期のスタートアップで0→1を経験してみたい方
・日本に経営幹部を溢れさせるミッションに共感頂ける方

▼コンタクト先
・HP:https://professional-studio.co.jp/candidates/
・問い合わせアドレス : info@professional-studio.co.jp
・代表市川宛にFacebook/TwitterでDM頂いても構いません


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