色とかほつれ


演劇で役者をやっていると思うことがあって、「色」のような感覚がある。

「その人じゃないと出せない色」があるみたいなよく聞く話のことで、例えば純粋少年みたいな役は、宝塚の男役みたいなスラっとした感じの人は決して適役ではないのだ。

それとは別に、一見適役じゃない人がやることで輝く別の色ってのもあって、これはあまりに適役だと発色しずらいところがある。



ちょっと抽象的でわかりづらい表現かもしれない




自分が最近演劇をやる理由として、普段隠している感情を吐露できるし、人が吐露してるのを発見できるというのが追加された。

別に演劇に限った話ではなく、歌とかもそう。ライブはほとんど行かないけど、ライブ行く人はそれを見かける機会も多いとおもう。
CDはちょっと難しくて、録音録画された芸術作品って、どちらかというと情熱的な作品よりも、精密で計算され尽くした作品の方がストレートに映えると思う。

ちょっと脱線するけどnew jeansの『ETA』っていう楽曲が好きだ。歌詞の意味はわかんないし、あんまり共感できない型通りのラブソング(失恋ソング?)ってぼんやりと把握しているだけだ。でも不思議な衣装とメンバーのフリースタイルというか正確に決まりきってないダンスが絶妙な「ほつれ」がでていて、そこに「見えざる手」だとか「偶然」を見出していられる。

他にK-POPは一切聞かないし、知らない。

でもその、伴奏とか振り付けっていうレールの上で、衣装やメンバーのその日の気分っていう変わる可能性があるものに、さらにメンバーの色っていう(オリジナリティ?)目には見えないオーラが出ているのがとても好きだ。

それでようやく演劇の話に戻ると、「戯曲」っていうレールの上で、「演出」や「美術」っていう、公演ごとに変えられるものに、「役者の色」が混ざり合ってできるから、やっぱり演劇が好きなんだってもた確認できた。


それでまた話を脱線させると、逆に精巧な演技というものをやるのが少し苦手だ。不器用だし、なんなら嘘をついている気持ちになる。

演出さんに「ここのセリフは〜〜〜って感じにやって」
みたいな演出はとてつもなく苦手で、そういう注文に応えられる役者ってこだわりがなかったり、色が薄いもしくは色を知覚していない役者なんだとおもう。なんだか強い言葉

そして、その色をもってればいい役者というわけではなくて、そのことで演出や他の役者と衝突することもあるだろうし、戯曲をストレートに解釈できず歪んだ解釈をしてしまうこともある。

これは本当に、使ってもらいやすい役者というのは、その色の使い分けが上手いのだろう。単色でまったりしている人もいれば、たくさんの(とはいっても3、4色ぐらいが限界だと思う)色を持ってる人もいる。

何やっても同じ演技に見える人とか、同じ歌に聞こえるっていうのが単色の人。でも複数持っているっていうのも優れているわけじゃなくて、雑味が多かったり、器用貧乏だったりするとも思う。


でその人がもつ固有の色とは別に、表現としての色もあって、例えばここは赤で表現したいから(赤だからといって必ず怒りというわけではなく、情熱だとか晴れやかさだったりするだろう。上向きのテンションといってもいいかもしれない)。L'Arc〜en〜Cielのhydeが言ってたようなこととほぼ同じで、

「愛してます」ってセリフを赤で読む人もいれば、白やピンクで読む人もいるわけで、
「俳優の色(引き出し)」
「俳優が表現しようとした色(解釈)」
の2つが上手い具合で混ざったりする。

これを発見するのがまた楽しい。
上手い役者というのは、赤で読むべきセリフを赤で読んできれい〜〜ってなるし、ヘタウマな役者は赤で読むべきセリフをワインレッドとかで読んで、個性〜〜ってなったりする。

実際は全てのセリフの色を意識して喋ってるわけじゃないしあくまで例え話。





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