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オープン景気を利用する

焼鳥一力1号店
オープン数日間は、お客様がこぞって来店してくれる「オープン景気」というものが普通はあるけど、それがうちの店ではオープン後1ヶ月間で1日しかなかった。その1日と言うのも、店舗工事に携わってくれた方々が、みんなで宴会してくれたその日のみだ。

リアルな数字を上げると、オープン1ヵ月目の売り上げは130万円(客単価4300円)。来店者数1日11人。とても少ない。

ではなぜオープン景気がなかったのか。理由は、

・オープン告知広告を打っていなかったこと
・友達にオープンを知らせていなかったこと
・そもそも開業する場所に、知人がいなかったこと

が挙げられる。

広告を打たなかった理由は、準備から開業日までのスケジュールがバタバタで、レセプションを出来なかった為、どのように店を回せるか分からなかったし、どんな問題が起こるか想定が出来ない為、お客様を集めて不快な思いをさせたくなかったので、もう少し慣れてから広告を出そうと思っていた。

案の定、オープン初日に問題勃発。換気扇が全く効かず、串を1本焼いただけで店内が煙で真っ白に。営業どころではなくなり、来てくれたお客様を断るはめになってしまった。

慣れないうちから大勢のお客様の対応をすると、何かしらのトラブルが起きた時に、取り返しのつかない事態になってしまう。オープン時は特に口コミを広めさせるチャンスだから、お客様がいい情報を広めてくれるのか、悪い情報を広めてられるのか、タイミングを読み間違えると、取り返しのつかない事になる。

だから広告を打つのは、少し慣れてからをオススメする。タイミングは遅れても、必ず遅めのオープン景気を体験することは可能だから、心配しなくて大丈夫。

次に、友達に知らせなかった理由は25歳の時に学んだ飲食店経営時代にある。店が暇な時に「うちの店使ってよ」という営業電話をよく友達にかけていた。きっと彼らは嫌な思いをしただろう。もう自分のエゴのために友達を使うことは避けたかったので、友達に頼らない経営をしていこうと決めていた。なので、知人がいない地での営業も問題なかったし、逆にいない地だからこそ、知人に依存しない営業で結果を出す他なかった。

友達、知人がいなくてもいい店を作れたらお客様が必ず広めてくれる。

その口コミは、『友達が店を始めたから行ってやってよ。』より、『あのお店、たまたま通りがかりに見付けてふらっと寄ってみたけど、めっちゃいい店で…』の方が効果は絶大。この会話を作り出すにはリアルなお客様が必要で、この口コミに至るにはお客様が不快に感じる要素をいかに減らしていくかが重要なのだ。

オープン時に稼げるだけ稼ごうなんて、目先の利益にとらわれるより、長いスパンで商売をみていった方がいいだろう。

そして、オープン景気はオープン後1~2ヶ月経ったとしてもそこから爆発的な好景気を味わうことが出来る。猛ダッシュを決め尚且つ継続させたいのなら、お客様を満足させる為の準備は必須だと思う

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オープン景気を体感させてくれたのは1枚の広告

オープンから1ヵ月が経ち、店のオペレーションになれてきた頃、やっと広告を出すことにした。

小さな店の場合は広告を出すことも、とても勇気がいる。例えば2万円の広告を出すと、10万円以上の売り上げを出さなければ採算が合わなくなる。けれど僕は見てもらう人にインパクトを与えるため、10万円の大きな広告を出すことに決めた。

お金がないにも関わらずなぜ大きな勝負に出たのか…それは商品に絶対的な自信があったからに他ならない。山口県にはまだなかった豚バラスライスで野菜を巻いて串に刺して焼く「野菜巻き串」を提供していること、その串が大量に盛られたカゴを初めて見た時の友達の何ともいえない嬉しそうな表情から、山口の人も絶対に喜んでくれるという自信があった。お金がないからという理由で、小さなジャブを打っていくより、当たるかど分からないけれども大ぶりのパンチで勝負をかけた方がお客様には響きやすい。

予想通り、広告掲載後に訪れた1カ月遅れのオープン景気と、そこからとどまることのない快進撃が始まった。

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