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北二区のカカシ100体と『限界芸術』

皆さんこんにちは。グラフィックデザイナーの高木です。

Youtube新作動画『北二区のカカシ祭り2020。制作現場に潜入!!!の巻/いわき市北好間地区』をアップしました。

福島県いわき市の北好間地区は、かつて炭鉱業で栄えた町ですが、昭和30年台前半の炭坑閉山を境に、人口が減少し始め、数年前には、新しい建物などが建設できない「市街地調整区域」になってしまいました。

数年前から、北好間の北二区集会場に集まる地域のお母ちゃんたち(自らを「ババァー」と称する)が、地域活性、にぎわい創出のために、毎年カカシを作り広場に飾っています。年々カカシのクオリティが上がり、去年はカカシたちに手足がつきました。今年は和服を着たカカシたちが100体誕生しています。

哲学者で評論家の鶴見俊輔氏は、「芸術と生活の境界に位置し、非専門家によって作られ、大衆によって享受される芸術」を『限界芸術』と名付けました。(鶴見俊輔著『限界芸術論』より)

5千年以上前のアルタミラの壁画、民謡、都々逸、宮沢賢治、民芸も限界芸術とし、権威的なアカデミックから芸術を解放したのだと思います。

鶴見氏は著書の中で「芸術とは、楽しい記号である」と述べています。つまり芸術の起源は『遊び』であると。例えば、民謡というものは作業歌から発展したものだと考えられています。近代以前、人の営みである作業(仕事)は歌と共にあった。そして暮らしの中で伝達し、変化し、受け継がれ、地域の文化へとなっていくのです。

しかし、我々に便利をもたらしてくれた近代化・機械化は、作業から「遊び」を切り離してしまったのかもしれません。そして地域活性等の指数を、数値的・経済的な視点で無意識に測ってしまっている現代的思考の自分にハッと気づかされるのです。

限界芸術の視点で見ると、母ちゃんたちが毎年カカシを作っている時点で、北二区は魅力的です。北二区の母ちゃんたちが、仲間や地域の人たちと集って毎年カカシを作る。それはすでに暮らしの一部になっているのです。その風景自体に僕は魅力を感じ、ちょいちょい北二区に遊びに行っているわけです。

と、いうわけで、今年のカカシは、7/20から9月末まで、49国道沿いの倉庫および近辺に飾られるということです。

動画もぜひ最後までご覧いただけると幸いです(5分ちょい)。さらに高評価、チャンネル登録していただけるとなお幸いです。


最後まで読んでいただきありがとうございました!
良い1日を!

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