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~第69回 ~「みゆきの話」

8月2日、神幸祭(じんこうさい)を斎行しました。
「神幸」は「みゆき」ともいい、ご祭神が渡御する(本殿からお出ましになる)事で、全国各地の神社で行われる神事です。
御神霊を榊の枝でできた神籬 (ひもろぎ)で囲い、それを行列の中央において、いでましの場所まで1日ないし数日をかけて送り届けます。
なお、御神霊が再び本社に戻る祭事を還幸祭(かんこうさい)といいます。

当社では古くから旧暦の6月15日(例祭の翌日)に行われており、明治の御代の例祭日変更に伴い、神幸祭も現行の8月2日と制定されました。
山宮から里宮に神様をお迎えして祭儀をする神幸祭ですが、当社では別名「橋上祭」とも言います。
太鼓橋上を神池の御神水で浄めてから、麦をはじめ見沼の夏の産物を御神前に供えて水の神に祈ります。

当日は午後3時に祭典が始まり、本殿にて御神霊を神輿にお遷しし渡御、神橋に神輿を奉安し小麦の藁を引き、橋上祭を執り行います。
その後、神池の東を周り本殿へと還御致します。

また神輿の担ぎ手となる輿丁(よちょう)は、旧神領地、忌垣(いがき)と称する区域内(大成、東大成、上落合、新開、土手、堀の内)6町内の氏子の方と氏子青年会の奉仕になります。
忌垣の忌とは清浄を意味し、垣は境界の意味で、区域内は神聖かつ清浄である事を表しています。

ちなみに、神幸祭や還幸祭と同じ意味の言葉として、渡御祭(とぎょさい)や還御祭(かんぎょさい)などという言葉もあります。
お住まいの地域によっては、この言葉を聞いた方もいらっしゃるかと思いますが、どちらも神事の意義は同じです。
神木や榊に神霊を移して送迎するのが神幸の本来の形式ですが、やがて神輿や鳳輦(ほうれん)の他にも、御幣、神馬、稚児等といった多彩な神霊の憑坐(よりまし)・依代(よりしろ)が行列に重複して参加するようになり、現在私たちが各地で見る多くの祭礼の形の一つになりました。

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〔 Word : Keiko Yamasaki Photo : Hiroyuki Kudoh 〕

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