見出し画像

~第60回 ~「祝詞と言霊の話」

6月5日に斎行する粽神事(ちまきしんじ)では、邪気を祓うといわれる真菰(まこも)で作った粽をお供えします。
古くは旧暦5月5日の節句にお供えをしておりました。
マコモはイネ科マコモ属の多年草で、東南アジアや東アジアに分布、古代日本にも自生しており「万葉集」や「古事記」にも登場する神聖な植物です。

ところで、神事には祝詞がつきものです。
祝詞とは、祭典に奉仕する神職が神様に奏上する言葉であり、その内容は神饌・幣帛を供えて、御神徳に対する称辞を奏し、新たな恩頼(みたまのふゆ)を祈るというのが一般的な形といえます。
その起源は古く、記紀神話にも、天照大御神がお隠れになられた天の岩屋の前で天児屋命(あめのこやねのみこと)が「布詔戸言(ふとのりとごと)」を奏上したことが見られます。
なお、天児屋命は中臣氏(藤原氏)の祖神としても知られています。

当社の粽神事では「爽やかな初夏のこの日に、過日より神職等が清らかに祓い清めて調整いたしました粽と、御米、御酒等をお供えして 聖寿と国の安泰、氏子崇敬者をはじめ国民に至るまで災難禍いなく、五穀豊穣で幸せに暮らして行けるように宜しくお願い申し上げます。」と心を込めて奏上いたしております。

古代日本人は、言葉には霊威が宿ると信じ、それを「言霊」と呼びました。
この言霊への信仰が祝詞という形で現在も伝承されております。
言葉の大切さをこれからも伝えていきたいですね。

画像1

〔 Word : Keiko Yamasaki Photo : Hiroyuki Kudoh 〕

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?