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~第22回~ 「稲田姫命の話」


氷川神社の御祭神は須佐之男命(すさのおのみこと。素戔嗚尊)、稲田姫命(いなだひめのみこと)、大己貴命(おおなむちのみこと)です。
稲田姫命は須佐之男命の八岐大蛇退治神話に登場し、その後、須佐之男命の妻となられます。
『日本書紀』では稲田媛(いなだひめ)と書かれるほか、奇稲田姫(くしいなだひめ)、眞髪觸奇稲田媛(まかみふるくしいなだひめ)とも記載されており、また『古事記』では櫛名田比売などと書かれております。

氷川神社の狛犬は、その稲田姫と名を同じにする「稲田石」を用いております。
台座も含めた高さは約3メートル。
参道の二の鳥居脇に鎮座し、向かって右側は角がなく口を「あ」の形に開いた像、左側は角があり、口を「うん」の形に閉じた像です。
この狛犬は平成30年に武蔵野銀行(本店・埼玉県さいたま市大宮区)から奉納いただきました。

「稲田石」は茨城県笠間市稲田地区を中心に採掘される花崗岩(かこうがん)の一種で、その際立った白さから別名「白い貴婦人」とも呼ばれています。
稲田という地名ですが、平安時代に編さんされた『延喜式神名帳』に、常陸国新治郡(現在の笠間市・桜川市・筑西市)の名神大社(みょうじんたいしゃ)と記される「稲田神社」にその名が登場します。
同神社の旧鎮座地である本宮(奥の院)にはクシナダヒメが降臨したという伝説が伝わる泉があります。
クシナダヒメとは稲田姫のことですね。
神社を護る狛犬の石が、御祭神の稲田姫に結び付くことにもご縁を感じます。

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〔 Word : Keiko Yamasaki Photo : Hiroyuki Kudoh 〕

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