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~第91回 ~「神楽の話」

1月は初詣で神社にお詣りに…という方も多かったと思います。
古来、日本固有の神観念として「神道」があり、神への祈りの空間として神社が出来ました。
延長5年(927)に成立した「延喜式」には2861社の官社の名が挙げられており、様々な祭祀がありました。
そしてその祭礼の中で育まれた日本の芸能こそ「神楽」です。

神楽は、宮中の「御神楽(みかぐら)」と民間の「里神楽(さとかぐら)」に大別されます。
里神楽はその内容から、さらに巫女神楽・採物神楽(出雲系)・湯立神楽(伊勢系)・獅子神楽などに分類されます。
更に地域の特性もあり、江戸では京都の壬生狂言の影響を受けた神楽が残っており、これを(大別した名称と同じく)「里神楽」と言います。
また、伊勢信仰が各地に伝播すると同時に伊勢神宮に奉納された「太神楽」も各地に広がり、各地で「太神楽」「太々神楽」の名称と共に神楽が行われるようになりました。

武蔵一宮氷川神社は、江戸中期~幕末にかけて、六十七座の太々神楽があったそうです(「民俗芸能入門」西角井正大・著 文研出版 1979年)。
神代舞三座・天津舞二十八座・国津舞三十六座で、いずれも神話を扱っており、同書によると「天地開闢からはじまり日本武尊の東征、武内宿禰の探湯、允恭天皇(二〇代天皇※原文ママ)の氏姓勅糺などに至るまでの細かさです」とのこと。
当時、地域の方々は氷川神社での神楽を通して日本神話の詳細を学び、神々の世界に触れてきたことが伺えます。
江戸時代には8000人ほどの人が集まったとの社記があり、境内の額殿には往時を伝える奉納額も残っております。

神楽の音色は、日本人の心の音色。
後世へ大切に受け継いでいきたいですね。

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〔 Word : Keiko Yamasaki Photo : Hiroyuki Kudoh 〕

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