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~第62回 ~「天王信仰と祇園信仰の話」

全国各地で6月末または7月末に「大祓(夏越の大祓)」として茅の輪神事が行われます。
これは前回紹介した備後国風土記に記された「蘇民将来」神話に基づくものです。

当社の主祭神であるスサノオノミコトに関わる夏の風習は、この他にもあります。
それが天王祭です。

ここで祀られる牛頭天王(ごずてんのう)は、もともとは釈迦が説法したといわれる仏教の聖地である祇園精舎の守護神です。
日本では神仏習合時代に、蘇民将来神話のスサノオノミコトと同一視されるようになりました。
「祇園精舎」から名をとって祇園信仰の神(祇園神)ともされ、祇園社(現在の八坂神社)から勧請されて全国の祇園社や天王社で祀られました。

この天王祭ではキュウリが用いられることがあります。
由来には諸説ありますが、キュウリを御神前にお供えして、疫病払い無病息災を祈念してお参りする風習です。

疫病祓いの神様であるスサノオノミコトへの信仰心が私たち日本人の心と共にあるからこそ、日本各地でこれらの祭礼や風習が伝承されてきたのでしょう。
先人の祈りの心を、現代そして未来にも継承していきたいですね。

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〔 Word : Keiko Yamasaki Photo : Hiroyuki Kudoh 〕

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