見出し画像

~第83回~ 「参道と未来の話」

氷川神社の参道は中山道から南北に2km伸び、両側に美しいケヤキ並木が並んでいます。
緑のトンネルのような氷川参道は大宮のシンボルにもなっています。
「大いなる宮居」と称えられ、大宮の地名の由来ともなった氷川神社の周辺にはいくつもの集落ができ、門前町を作っていました。
江戸時代の参道沿いには、神主の邸宅、神社に所属する境内社や寺院が建ち並び、集落は、宮町、仲町、下町、大門町の四町がありました。
その四町から百姓が伝馬役を命じられており、その人馬が行き交った道が「元往還」です。

現在の参道や中山道と「元往還」がどのような位置関係であったかは、残念ながら明らかではありません。
ただ、中山道が参道と重なったり、横切ったりするのは好ましくないので、参道の西側の原野が開削され、寛永5年(1628)に新たに「新往還」が開通されました。

そして近代に入りますと、明治13年に描かれた『氷川神社境内乙図』には参道沿いに松や杉が描かれています。
大正から昭和初期には鬱蒼とした杉並木で覆われていて「並木十八丁鉾杉つづき」と歌われていました。
杉からケヤキに変わったのは戦中、戦後のことです。

現在の参道では、樹々はもちろん、野鳥が多く暮らしております。
ツミやオナガなど多くの鳥の姿を見ることができるほか、さらにはオオタカも暮らしております。
自然豊かな歴史ある氷川参道を後世に守り伝えていきましょう。

画像1

〔 Word : Keiko Yamasaki Photo : Hiroyuki Kudoh 〕

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?