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はじめてのフィンランドサウナ体験記

これまでサウナには特に興味がなくて、一度も行ったことがなかった。むしろ、日本の銭湯でさえ貧血で倒れた経験があるくらいなので、多分自分には合わないだろうと抵抗感さえ持っていたくらいだ。
でも、フィンランドに行くなら、現地の文化として触れないわけにはいかない。荷物には水着とサンダルを入れて、一応、行ける準備はしてきていた。

今の滞在場所から歩いて10分もかからないくらいのところに人気の公衆サウナがあって、現地の人にも何度か薦められた。
実は、今日こそ!明日こそ!と、毎日行こう行こうと思いつつ、勇気が出なかったり、気が向かなかったり。前日にそのサウナの近くまで行って、下見までして、ビーチでくつろぎ、湖で泳ぐ人々の姿が何とも気持ちよさそうなのを見て、ようやく決心がついたのだった。

日が高く気温が最も上がる午後4時ごろを狙って、いざサウナへ。チケット売り場で「公衆サウナに来るのが初めてで…入り方を教えていただけますか?」と伝えると、溌剌とした受付の女性スタッフが、ゆっくりと丁寧な英語で案内してくれた。

大小2つのサウナがあって、大きい方が高温、小さい方がマイルド。その建物の手前に更衣室。それからビーチを利用する時には鍵付きのロッカーがある。
案内を大まかには理解したものの、細かいマナーがありそうだなと、更衣室で水着に着替えてから、人々をしばし観察。それにしても、男女共にみんな体格が良くて、日本人の中でも極端に華奢な体つきの自分が、どこか別の星から来た生物のような気分になる。

とりあえず、流れに混ざって、温度の低い方のサウナ室へ入り、3段の雛壇式のベンチのうち、温度が低そうな一番下の段に腰掛ける。この日、最終的にわたしは5回サウナに入ることになるのだが、3回目までは正直なところ「これは何の修行?」と、熱さに耐えるのに必死だった。

でも、サウナよりもとにかく湖に入りたくて、2回目にサウナから出てきた時に、試しに足先を水につけてみた。そうしたら、それが想像を遥かに超える冷たさ。

「ひゃー絶対無理!」

心の中で叫びつつ、次は身体を限界までほかほかにして入るしかないと、一度ビーチで休んでから、3回目にチャレンジ。湖に入るためだ!と気合を入れ、座る場所を2段目に移して、滞在時間も長めに。
そうして、熱々になった身体で、まずは浅めの場所を選んで肩まで入水。冷たくてすぐに陸へ上がったけれど、不思議と寒さを感じない。身体がじんわりとした快感に包まれた。

「おや?なんだこれは。」

次は頭までドボンと浸かってみたいと、少しビーチで休んだあとに4回目。相変わらずサウナの中での時間は、湖に入るための準備に過ぎず、気持ちいいかどうかはわからなかったものの、少しずつ慣れてきた感じはした。

そして、湖の深いところへ。頭のてっぺんまで潜ってみる。足がつかない冷たい湖に入るのは怖かったけど、いつもほとりから眺めている、吸い込まれそうなブルーの中に入れたことが純粋に嬉しかった。

最後は温度の高い方のサウナにも少しだけ入ってみて、わたしのはじめてのサウナ体験は無事終わった。結局、初回の感想としては「サウナは湖に入るための準備」に落ち着いたのだけど“これでよかったのか感”が拭えない。他の人の意見が聞きたい。

サウナから出た丸々としたお腹のおじさんたちが、ベンチにずらり横並びになって、当分沈まない太陽の下で日光浴しているのがかわいかった。

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