まあ10代男子ってそういうもんよね。
真夜中。
ささみのピカタをつくる。
長男のリクエストだから。
もうすぐ11歳になる長男は学校へ行かない。
2年ほど前、勉強を嫌がり、人付き合いを嫌がり、登下校で歩くのを嫌がり、学校へ行かなくなった。
そんな長男が、遠足には行くと言う。
長男は非日常が好きなのだ。
授業には出ないが、遠足には行くし、社会見学にも行く。
田植え体験は迷った末に行かなかったけど。
学校行事への参加は久しぶりだ。
こちらとしても気合が入る。
「明日の遠足さ、お弁当、何入れて欲しい?」
長男は加工肉が好きだ。
あまり身体に良くないことは知っているが、それでも加工肉が大好きなのだ。
まあ10代男子ってそういうもんよね。
リクエストはベーコンかウインナーでしょう。
ママにお任せあれってもんよ。
「……ささみの、ピカタ。」
(ささみの、ピカタァァァ???!)
「前に作ってくれたやつ」
「え、えっと(チンするだけの)チキンナゲットでもいい?」
「ダメ。ささみのピカタがいい。」
「わかりました。」
朝から料理をするのは気が引ける。
私はそういう母である。
しかたがない。
ひとまず夕飯の片付けを済ませて、どこかに隠れてしまったやる気をぼんやりと探してみる。
真夜中。
ささみのピカタをつくる。
長男のリクエストだから。
明日はきっと特別な「非日常」になると信じているから。
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