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「流動体」としてのアートをキュレーションする。NEOTOKYOZINEの新作/一日一微発見409

コンテンポラリーアートの醍醐味は、それが既成の定義やジャンル分けや、解釈や文脈から「逸脱」したり「変形」しようとしてもがいているかどうかだ。
それをここでは、仮に、アートの「流動体」と呼んでおきたいと思う。それが例えばソリッドな石や大地であっても、大雨で土石流化してしまうと、もう誰も止めることはできない。
そんなイメージだ。

もちろん、エスタブリッシュしたアーティストを「押す」ことは、悪くはないが、まだ価値が定ってなかったり、リスクを恐れない作家を「押す」キュレーションの方が、アクチュアルだろう。
僕は、インディペンデントなアートプロデューサー、キュレーターだから、それを基本としてきた。「逸脱」なしには、やる意義ナシである。アーティストには、「美しい異物たれ」と思っている。

2019年のコロナとともに始まった出版プロジェクトNEOTOKYOZINEも、時代に対して「流動体」であり、先見的なヴィジョンの産物たらんとして取り組んできたキュレーションである。

僕は自分でG/P+abpというパブリッシャーを主宰している。アジア最大のトーキョーアートブックフェア(TABF)には、多分一回目から出ているはずだ。そしてコロナ前まで、海外のアートブックフェアにも積極的に出店してきたし、来年からは、積極的に海外に出ることを再開しようと考えている。

さて、アートブックフェアのタイミングにあわせて、どんなアーティスト/写真家の作品をリリースするかは、とても重要な作業となる。
2023年のTABFに合わせて、10人のアーティスト(たかくらかずき君が同時に2冊発売なので11アイテム)の作品集を制作した。
以下がそのリストだ。

たかくらかずき Takakurakazuki
小山泰介 TAISUKE KOYAMA
吉川然 ZEN YOSHIKAWA
磯部昭子 AKIKO ISOBE
BALL GAG
余宮飛翔 TSUBASA YOMIYA
TAKAKO NOEL
伊波一志 KAZUSHI IHA
中川桃子 MOMOCO NAKAGAWA
小林正秀 MASAHIDE KOBAYASHI

それぞれは60ページから100ページ。半数以上が、初の作品集リリースである。TOKYO FRONTLINE PHOTO AWARDというハードコアな現代写真アートの受賞者の作品も4冊含まれている。

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