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ブライアン・イーノは、僕にとって灯台のようなものだ/一日一微発見189

最近、たて続けにブライアン・イーノのロングインタビューを読んだ。どちらもネットでの記事である。

一つは、『ローリングストーン日本版』のもので、もう一つは『ロサンゼルス・タイムス』のものだった。両方とも多岐にわたる話題に触れた充実した、読みごたえあるものだった。

おそらくインタビューしたタイミングが近かったのか、話題にかぶるところもあったが、イーノはやはり72歳になっても「先見性」のあるアーティスト・ヴィジョナリーとして、すぐれたセンサーと予見を持った人間だと改めて思った。

もちろん彼はアーティストだから論理を超えて、行動する。しかし批評力もあるから、科学者など専門家の成果をチェックすることも怠りはしない。ビジネスマンではないけれど、新しい価値を生み出すことへの情熱に、常に突き動かされている。
実にイノベイティブなのだ。

彼の発言で特に気になったことをいくつか取り上げておきたい。

1つは「そろそろ資本主義に変わる仕組み」に人類は移行しなくてはならないという内容の発言だった。

バイデンはトランプに共産主義者呼ばわりされたが、たしかに民主党の左派は、マルクスが予見したような意味での「資本主義の次」ポスト資本主義の形態を見ている者がいるだろう。
既存の「イズム」を超えたエコノミーと政治の芽は、このコロナ禍の中で、世界同時多発的に成長しているように思える(それに対する抵抗としての保守勢力も強くなるのだが)。

イーノは、現実主義的なユートピア主義者である。出来ることを率先してやる。
コロナが世界に蔓延するやいなや、すぐさまロンドンを離れて地方に移った。

都市は今までならば、政治や経済の活動に不可欠の環境だと思われてきた。それによって、不動産業者たちは土地のビジネスを図ったし、百貨店などの小売業者も大都市拠点主義で収益を上げてきた。

しかし、オンラインテクノロジーの爆発的な普及とコロナによる仕事のリモート化は、これを一変させた。

トランプはコロナ対策を怠り失脚し、老舗百貨店は廃業、海外渡航が自由にできないために飛行機会社も全滅だ。
資本主義の基幹をなしてきた勝ち組が、壊滅的な状況に追い込まれているのだ。

ましてコロナは変異種となり、ワクチンが普及したとしても、かなり終息には時間がかかると予想され始めた。もはや長期戦となるだろう。

イーノはZOOMでの仕事のやり方に、さらに新しいアイデアを見つけ、それをオランダのチームと共同開発しているのだと言う。彼の中では、ポスト資本主義はリアルなヴィジョンなのだ。

他にも面白い発言があって、それはSNSのアプリのRadio Gardenにはまっていると言う話しだ。

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