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鬼才ミケーレのGucciのブランド戦略とアート戦略/一日一微発見250


天王洲アイルB &C HALLで開催中の「Gucci Garden Archetypes展 (アレッサンドロミケーレのビジョンを探検する没入型エキシビジョン」を観に行った。

Gucciは、ピノー率いいるケリンググループのメインブランドで、2021年上半期の全世界売り上げは5800億円と凄い数字を弾き出している。
とはいえ、ライバルのLVMHグループはこの時期売り上げを50%以上増やし、コロナ前よりも好調なのに対してGucciの業績は鈍化している。この時期に創業100周年のタイミングにも当たっている。

Gucciのクリエイティブ・ディレクターは、鬼才アレッサンドロ・ミケーレだ。彼はトム・フォードに才能を評価されて育った人材であり、2015年に Gucciの統括に就任して、さまざまな面で改革を行なうと同時に、Gucciのブランドイメージや戦略を転換させた。

ハイブランドの「価値生成」の戦略にはさまざまあるが、ミケーレ流の「錬金術」を全面的に押し出してきたのである。

その「錬金術」のマジックの勝敗は、まだブランドビジネス戦争の中ではついているとはいいがたい。
革命家として終わるか、大帝国の統治者となるかはわからない。
ヴィトンのヴァージル・アブローやバレンシアガのデムナ・ヴァサリアはコンセプチュアル・アート思考をブランド戦略に導入して価値生成をはかる。
それに対してミケーレのブランド戦略は極論すれば「文明論」「文化戦略」的ですらある。

この「Gucci Garden」は、12のルームから構成されていた「展覧会」の形式を模しており、2015年から20年までの彼のGucciコレクションの展開が1部屋ずつ再構成されたものだ。
彼がGucci というブランドを、どのような文脈で構築しようとしているかを「展覧会じたて」にしたものなのである。

「ガーデン」とうたっているように、それはさまざまな動植物が共生しあうエコシステムとして考えられている。庭がメタファーとして提示されているのだ。

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