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カッセルでルアンルパの「戦略」について考える/一日一微発見338

今、このテキストをドクメンタ15が開催されているカッセルで書いている。
時は昼メシどきで、僕(と妻の渚)は、カッセル駅前からすぐのトルコ料理屋で、うまくてリーズナブルなケバブをくった後、すぐ隣にあるドクメンタのサテライト会場にもなっているバーとクラブが合体した店で、昼から一杯やっているのである。

今日は昨日までの寒さはやわらいで、晴天が広がっていて、ピースフルな雰囲気に街が包まれている。

今日はカッセル3日目(初日は深夜に着いたので、何もしていない)で、朝にカッセル駅にジミー・ダーラムの展示を見に行った。

ルアンルパ諸君は、今日のドクメンタに合わせて作ったハンドブックの巻頭も、駅前の展示もジミー・ダーラムにおいている。

ジミー・ダーラムは2019年のベニスビエンナーレ(ディレクターはルゴフ)の時に金獅子賞も受賞した大物(その後2021年に81歳で死去)である。
しかし、彼はチェロキーインディアンの生まれだと主張し、アクティヴィストでありアーティストとして縦横無尽に活躍した人物だが、彼の出自が「かたり」であるとチェロキー一族からは否定されている存在でもある。

イギリスの新聞「ガーディアン」がダーラムについて皮肉をもって書いたことがあるが、ヨーロッパのキュレーターたちは、その出身の真偽にはあまりこだわらないで、彼の「アーティスト活動」を評価してきたというという内容だった。

今日、ルアンルパが、ある意味「シンボリック」にダーラムの存在を使っているのは「いいような、マズイような」という気分でになる。

今回のドクメンタ15は、ソーシャルな活動をしているアートコレクティブ大会で(招待アーティストは最終的には1200人!)ルアンルパは、その活動原理を全力を挙げて流布するとともに、この機会を活用して全世界の「同志」とのネットワークをはたしている。

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