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都市が都市を撮るということ ホンマタカシ展「即興」/一日一微発見404

ホンマタカシは、まぎれもなくすぐれた写真家であるが、他の写真家と決定的に異なっている。
それは彼が写真を通して「見ること」をメタレベルで思考し、表現するアーティストであるということだ。このことはきわめて重要だが、批評家や他の写真家たちは、どれくらいこのことを認識できているのだろうか?

写真をメディウムとして使うコンテンポラリーアーティストは、あたり前のようにいるが、80年代、90年代の日本で、写真家としてデビューした才能の中で、何人がそのように変成できたろうか?

デジタルであろうが、ピンホールだろうが写真の秘密、あるいは謎めいた力は同じだし、テクノロジーのインフラがかわっても、根源的な問いは、失われたり、摩耗したりしない。
ホンマタカシが展覧会「ニュー・ドキュメンタリー」以来、 10年ぶりに美術館で行った「展覧会」は、出品されている作品やたくみな会場構成といい、見事な問いを提出していた。

展示されている写真のメインは、2016年にイギリスの出版社 MACKから出た『The Narcissistic City』や最新刊の『THIRTY-SIX VIEWS OF MOUNT FUJI』に収録されたピンホール作品で展覧会は構成されている。
しかし、ここでもまちがえてはいけないのは、彼は決して「ピンホール写真」をやりたいと思っているのでもないということだ。

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