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大竹伸朗へのオマージュポップと不条理、その「なつかしさ」/一日一微発見352


先日、探し物があって倉庫をひっくり返していたら、お目当てのものは見つからず、見慣れない白いファイルがでてきた。昔のアシスタントが、僕が雑誌に書いた原稿をコピーし整理していたものだった。

連載はともかく、単発の原稿でありがちなのだが、書いた時は集中していても、書いたとたんに「他者のモノ」になって、全く忘れてしまうのだ。もはや記憶になく、「紛失」である。

このファイルには、なぜか、そんな原稿ばかりが収納されていた。見返していると、2006年に東京都現代美術館で開催された「大竹伸朗 全景 1955-2006」にあわせて『美術手帖』誌が一冊まるごと大竹伸朗特集した号に、僕が寄稿したテキストのコピーに出会した。

それに出会わなければ、全く思い出せないモノほどショックなモノはない。身に覚えのない子供が写っている写真を突きつけられて、「ほうら、これがお前の姿だぞ」と言われるぐらい奇妙なのだ。

「まぶたの裏にあるもの  大竹伸朗と写真」と題されたテキストが、16年前に僕の書いたものであった。面白いほど、どうやって書いたか、その時の事情も脳裏に蘇らなかったが、テキストは面白く、これをよく自分が書けたことにも驚いた。

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