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イメージの魔術をフェリーニから学び直す/一日一微発見241

この夏の夜は、フェデリコ・フェリーニの映画ばかりを見直して過ごした。
僕は高校生の時に、大学受験の日の帰り大阪によって封切りされたばかりの『フェリーニのローマ』を見たぐらい彼にはまって大きくなった。

電車の中では、坂口安吾のエッセイ集『暗い青春/魔の退屈』を読んでいて、心はすっかりデカダンだった。まともに受験勉強もせず絵ばかり描いて高校時代を過ごした小僧が大学受験に合格するわけは無い。

1970年初頭は、東京オリンピックや万博が終わった後で、未来へむやみに加速する世の中で、捨てられたり取り残されるものも同時に沢山うまれる「小さな悪」が醸成される季節だった(日本赤軍による、よど号ハイジャック事件は1970年だったし、あさま山荘事件は72年)。

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