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裸の目で見る②ベラスケスとゴヤの絵を見にプラド美術館に行く/一日一微発見378


絵の力はどこから来るのだろうか?

人間の歴史の中で、膨大な絵画が描かれてきた。しかし、その中にあって、なぜ、特定の絵だけが人の心を強くとらえ、「名画」と 評されたり、アートコレクターがこぞって集めたりするようになるのだろう?

マドリッドには隣接して3つの美術館がある。
そのうちの一つは、ハンス・ハインリッヒ・ティッセン=ボルネミッサ男爵が集めた世界第2の規模をほこるコレクションだが、その広大なコレクションルームを歩けば、人間というものが何を欲し、何を選び、何を評価(価値づけ)したかが体感されるだろう。
今ではスペイン政府に売却・寄贈されてはいるが、1人のコレクターの、あくなき欲望がうかがい知れるのだ。

また、すぐ近くのソフィア王妃現代芸術センターはうってかわって現代美術のキュレーションだが、ここにはピカソの「ゲルニカ」が人寄せする仕掛けになっていて、集客している。

しかしスペイン帝国の威光を、今も最も体現しているのはなんと言っても、プラド美術館である。
この「聖地」は、館内撮影は一切禁止されていて、それがこの美術館の神話化に寄付しているのだとも思われる。

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