微発見79

僕のブックス・リコメンド/一日一微発見091

僕は編集者ですから、他者の本をつくるのが基本的な仕事だけれど、自分でも文書を書くし、本も出している。

このことは、今では当たり前の時代に思われるけれど、僕が仕事を始めた70年代には、ありえない感じだった。
編集者は黒子であって、引退してから自著をだすのが、ギリギリで、編集者が本を出すなんて、おこがましい、というのが業界のはっきりした空気だったのだ。

僕は率先して、自分で編集するし、ライティングもする。まあ、新しいタイプだったと思う。
最近はこのタイプも増えてきたが、依然、少ないかもしれない。

古臭いかもしれないけれど僕は、「編集」という仕事にロマンもプライドも持っている方だと思う。

だけど「エゴ」というのが、あまり好きでなくて、人間より世界の方が、いつも未知や魅力に満ちている、と信じてはいる。

まあ、有難いことに、そんなこんなで自著だけでも20冊ぐらいは出してきた。ベストセラーを狙うような事は考えずやってきたが、それでも自著が出し続けられるのは「幸福」だったと思う。

僕にとって自著は、音楽の「アルバム」に近い。インディーズレーベルかな。
最初に出したのは、1990年代の頭。僕はまだ30代。
当時僕は、資生堂の企業文化誌『花椿』で対談連載を仰せつかっていて、それをまとめたのが『善悪対談』

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編集者・アートプロデューサー・京都造形芸術大学教授/後藤繁雄です。 アートや編集のこと、思考、アイデア、日々起きていることなどをその都度書いていきます。 ここでの文章はハウトゥにはならないと思いますが、知性や感性を刺激したい人に読んでもらったらいいかなと思います。 僕は、人は、大きな出会いがやってきて変わるというより、微妙なものに気がついてだんだん変わることのほうが「可能性」が高いと思う。「微発見」。 それには、訓練が必要で、この「一日一微発見」も、僕の訓練法のひとつです。

「一日一微発見」というのは、僕が師匠だと思っている文化人類学者、故・岩田慶治が日々やっていたこと。 僕はそこからヒントをもらって、もう15…

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