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現代写真をめぐる回想と展望①/一日一微妙発見360

AIで写真が生成できたり、誰もがインスタで写真を「発表」できるようになる事態が加速すればするほど、逆に「写真家」というものは重要になっていくだろう。

ここで言う「写真家」とは、職業でくくったような旧い考え方ではなくて、もっとアップデートしたものだ。

オーバーな話に聞こえるかもしれないが、人類が文明を生み出して、発展させてきた数万年の結果が、今、ここに広がる混乱と瓦礫だ。頭の中でユートピアを夢見つつも、ディストピアを生み出してしまうのは、人類が欠陥品であることを示している。
「写真家」は、そのジャンク(情報世界を含めた)な世界を「カメラ」を持って旅してまわる存在なのだ。

ロバート・フランクはスイスからアメリカに「逃亡」した男であったが、その姿はヴィム・ヴェンダースの映画「アメリカの友人」やヴェルナー・ヘルツォークの「シュトロツェクの不思議な旅」などにインパクトを与えたろうし、スーザン・ソンタグに『写真論』を書かしめたと思う。
写真家はどんな時代であれディストピアなのに、そこをさも愉快に「写真」を撮りながら「横断」し続けてきたのだ。

僕は編集の仕事を通して、たくさんの「写真家」に会って話を聞いてきた。おそらく、こんなに「写真家」にインタビューしてまわっている者はいないかもしれない。
それは目的ではなくて、結果なのだが。しかしただその「先導者」たちに「憧れ」だけで会いに行ったのではない。

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