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駐在妻2年目:完璧な専業主婦になりきれない苦悩

先日、友人2人と我が家でお茶をすることになり、良いチャンスだと思って前日に夫と家の大掃除をした。ほうきと雑巾を手にした夫にいろいろとびっくりされた。

「目に見えないところ(ベッドの下とか)はいいやと思って普段やってないやろコレ」

その通り。私は専業主婦でありながら家事が苦手だ。苦手というか、昔からズボラな性格なのもあり、主婦業が性に合っていない。性に合っていなくてもやらなきゃならないのだが、当たり前だが完璧にはできない。努力はしている。

昨年仕事を辞めて人生初の無職・専業主婦になり、晴れて家事に専念することになった。もう1年経つのに全然主婦の専門家になれない。今日はそんな話。

私がいかに家事ができないか暴露します

ある日の朝。洗濯して干してあった夫のハンカチにシワが寄っており、朝から夫がイライラしていた。

「俺、前に干し方教えたよね?」

ハンカチなんて、洗濯物の中でも干すのが1番簡単だと言っても過言ではないではないか。パンパンしてしっかりシワを伸ばせばアイロンなんてかける必要もない。それにしわが寄るんですね、私にやらせると。

その前の日、パン用に有塩バターを残しておいて欲しいと言われたのに使い切ってしまい、無塩バターを食卓に出してしまった。

「本当、人の話聞いてないよね・・・。まあいいよ」

言われた時に思い出した。確かに、お菓子用とパン食用に有塩・無塩どちらもストックしておこうと夫がいつか言ってたな。。聞いていなかったわけじゃないんです、忘れていたんです・・・。

そして、料理の味付けがどうしても濃くなってしまい、何度も言われているのに薄味にできない私に、呆れて一言。

「あのさ・・本当頼むよ。俺早死にしたくないんだよ」

さらに最近、味噌汁を弱火にかけて忘れて放置してしまい、夫が発見。

「マジで頼むって。火かけたら絶対に離れるな」

ここまで読んでいただいて、私がいかに家事ができない人間かわかったでしょう(笑)。この4つが立て続けにバンバンバンと続いた最近。1つ1つは些細なことかもしれないけど(最後のは火事になる可能性があったから些細ではないが・・)、家事を専門にしているのにこんなこともまともにできないなんて・・と自分で自分を攻めた。と同時に、1年前までは確実に対等だった夫との関係に上下関係ができてしまったように感じて、心から悔しさを覚えた出来事でもあった。

家事する→失敗する→怒られる。もうイヤだ・・・。

夫が協力的であるが故の苦しさ

夫は家事は私だけの仕事じゃないと言ってくれ、よく手伝ってくれる。朝晩の食器の片付けはほぼ毎回夫がしてくれるし、毎朝コーヒー豆を挽いて美味しいブレンドをいれてくれるのも夫の日課だ。休みの日には掃除をしてくれるし、お願いすれば洗濯物を干したりゴミ出しも行ってくれる。夫は非常に協力的だ。それに私に感謝もしてくれるし、「お弁当美味しかったよ」と感想も言ってくれる。たまにあらたまって「いつも本当にありがとう」と心からの感謝を言葉で伝えてくれる。

夫はふんぞり返っているわけでもなければ、亭主関白でもない。働いていない私に向かって「夫婦で一緒に稼いでいると思ってるから」とある程度は好きにお金を使わせてくれる。素敵な旦那様なのだ。だからこそ、夫には私の家事に対して言う権利もある。上記なような指摘をされても、逆に私には言い返す権利がない。家事しかすることがないのに、それすらまともにできないダメ人間に思えてきて、どんどん苦しくなってしまった。

働き始めたら変わるんじゃないか

この国にくるまで仕事で多忙を極めていた私は、家事もそこそこに仕事ばかりしていた。今時珍しく同居だったため、料理はほぼ義母がしてくれていたし、自分たち夫婦の居住スペース以外の掃除も義母が。自分たちのための掃除や洗濯はもちろんしていたが、料理をしなくても良いのは非常に大きく、完全に甘えていた。仕事が休みで義母と一緒に料理をする時もあったが、献立を決めるのはいつも義母だったし、買い物もいつも義両親で行ってくれていた。私たちは毎月の生活費を義両親に収める形で、同居しているというよりは「お世話になっている」という雰囲気が強かった。

こんな嫁を受け入れてくれて義両親には感謝しかないが、これで成り立っていたのは、私の仕事が多忙で、夫婦ともお互いに仕事が生活の中心になっていたからだ。家事がちょっと疎かになってもしょうがない、2人とも働いてるんだから。私は生活に必要な最低限の家事は働きながらこなしていたし、夫に何かを指摘されるようなこともなかった。とにかく仕事が楽しく生きがいだったし、家事がこなせない、私はダメだと悩んだりすることなんて皆無だった。

仕事は仕事で辛いこともあったし、面倒臭いことも、理不尽なことも往々にしてあった。仕事で悩んだこともいっぱいあったし、ストレスで胃を壊したことも。しかし、今にはない充実感があった。やり切った時の達成感は最高だったし、顧客に感謝してもらえた時には「頑張って良かった」って自分を褒めることができた。そうつまり、働いて忙しくなれば生活も充実するだろうし、家事が生活の中心でなくなり、ちょっとした失敗なんてお互いに(失敗するほうも失敗を見つけるほうも)気にならなくなるんじゃないか。忙しいからこれくらいしょうがないよね、って流せるんじゃないか。

駐在妻1年を過ぎたところで専業主婦生活に慣れてはきたものの、次は家事を完璧にこなせない自分に嫌気を感じて悩むことが多くなった。

1つ解決したら次。悩みは次々と生まれてくるもの

駐在妻1年目はとにかく生活に慣れることで精一杯で、家事ができないことで悩んだりすることなんて皆無だった。去年の今頃は社会生活から切り離された自分自身の価値観を見失ったり、知り合いも少なくスペイン語もできず完全に孤立状態で、「私って何なんだろう」と日々考えながら暗いトンネルを彷徨っていたように思う。今はそれはない。新しいことに挑戦して新たな目標が見つかったり、帰国後を見据えて色々な勉強をしたり、ブログやTwitterを通して多くの人との出会いがあったりして、地球の果てでの駐在妻生活も悪くないやんと思えるようになった。

悩みがなくなった、良かった良かった、解決♪ではない。

人って不思議なもので、悩みがなくなったら次の悩みを探そうとする。「人は悩みたい生き物だ」って誰かが言ってたが、今になってそれを実感している。まさか自分が結婚数年目にして「家事」で悩むなんて思ったこともなかった。でも、この国に来なかったら自分のできなさに気づくことなんて絶対になかったし、良い機会を与えてもらったなと思っている。

帰国したら料理教室にでも通ってみよう。こんまりさんのYoutubeをチェックして、片付けにも目覚めてみよう。帰国してから専業主婦は絶対に嫌だけど、せめて今よりは主婦として成長していたい。帰国まであと1年、修行の旅に出る。

Ichiko

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