木とベンチとアーケードの街仙台 ~休学カブ日本一周6日目~
はじめに
お世話になっております。いちきたこと申します。更新頻度を保とうとした結果、日中の1/4の時間は文章書く羽目になってます。旅とは一体。
さて、今日は仙台です。行ってびっくり、伊達政宗をこんなに愛している街だとは知りませんでした。一方江戸はというと、東京より栃木の方が家康推してるくらいです。もう少し感謝の気持ちを持ってもいいのかも知れません。
以下日記本文
8/26
快活から出る
道の駅 国見で昨日貰った桃を食べようと思い草むらに座ってビニール袋の中を見ると、桃ではなくナシだった。昨日桃は嫌になるほど食べたので正直ありがたい。みずみずしくて、とても甘いなしだった。種の周りをかじると他の場所より酸味が強く、それもまた良かった。
朝ごはんを食べ終わり、仙台に向かって走り出す。今日も今日とて国道をひた走るのみ。そういえば1週間もカブに乗り続けているのに、ケツが一向にいたくならない。邪魔になってただろうからクッション買わなくてよかった。僕の尻が元々硬いのか、自転車に乗りまくったことで鍛えられたのか、はたまたカブのシートがすごいのか。
途中道が悪い山道でバランスを崩しかけてヒュッと肝が冷えた。対向車も来ていたので、もし転けてたら終わりだったな。今後、山道は後ろ詰まったとしても慎重に運転しよう。
仙台に入り、とりあえず駐輪場を探してバイクを停めた。地下にある駐輪場だったので、なんとか倒れないよう支えながらスロープを下った。駐輪スペースに入ると、何だかカブの割合が多い気がする。カブ乗り、ミンナ、トモダチ。
外に出たはいいものの、さて、どこに行こう。元々会うつもりでいた高校の友達はタイミング悪くサークルの用事があるらしく、今日は会えない。正直友達に色々紹介してもらおうと思っていたので、どこに行けばいいか全く分からなくなってしまった。ひたひたと歩いているとすぐにアーケード街がみえてくる。街路はひとつの屋根で纏まっているのに、店構えも扱うものも千差万別。それでもごちゃごちゃなまままとまって、ひとつの空間を形成している。アーケード街は、もっとも日本らしい場所の一つだ。
しばらくブラブラと歩いていると、仙台という街の空気が少しみえてくる。アーケードとベンチと木陰の多い町だ。人々が滞在できる場所がたくさんある。
駅前でずんだシェイクとずんだ餅を食べた。ずんだシェイクは飲み物なのに喉が渇くくらいに甘かった。なんなら前に食べたグラブジャムンを凌駕していた。ずんだ餅は安定の美味しさ。枝豆を最初に甘くした人、食の神様に愛されているかただの変態かのどっちかだな。
調べてみると伊達政宗が戦陣の中で太刀の柄で枝豆を潰してもちと食べたのが起源だそうだ。(諸説あり)
ただの変態じゃないか!
仙台駅でずんだを食べたあと、伊藤豊雄のメディアテークに向かう。2~4階のライブラリが休みで、平日ゆえなのかほとんど人もいなかった。上の階はほとんど普通のギャラリーに感じてしまった。チューブで構造を支えているのはめちゃくちゃすごいけれど、それ以外の場所はほとんどオフィスビルだな…というのが正直な感想だ。もっと人がいるところを見れば感想も変わるかもしれない。
その後、前川國男の宮城県美術館に行こうとするも、こちらはリニューアル中で2025年まで休業。仙台市博物館は普通に休館日だった。なんだか仙台に関する全てのタイミングが悪い。
炎天下、コンクリートジャングルのなかを徘徊する男1人。木陰はおおいのでずっと暑いわけではないのだが、それでも気温は30℃をこえているし、荷物も重いし、どこもやってないし、友達とは会えないし、なんだか気持ちが疲れてくる。けど同時に、どこかの街に行く時は電車で行ってとりあえず降りて徘徊するのが常だったので、どこか無目的にプラプラすることで落ち着く自分もいる。歩くのは精神にもいいしね。
歩きながら、こんなことを考えた。自分は観光地にもご当地グルメにもあまり興味が無いのだ。歴史にも詳しくないし、グルメはだいたいどこでも食べられる。それよりも、その土地のナマの生活や雰囲気を知りたい。
有名な場所そのものよりも、そこと人々がどう関わり合いながら暮らしているのか。人々がどこで遊んで、どこで洗濯物を干して、どこを散歩して、ご飯を作るのが少し面倒なときにどんなご飯屋さんに行って何を食べるのか。
すでにテンプレートが仕組まれた「オシャレ」や「ウェルビーイング」な行為、場所ほどつまらないものはない。ナマを知りたい。すごい建物、オシャレな建物そのものよりも、そこからとび出た排水管や雑草を見ていたいのだ。
だから、旅の中で無理に観光地を巡ったり、ご当地グルメを食べるのはやめよう。行きたい場所をプランニングせず、体当たりしよう。そう思った。
宮城県立博物館の近くに公園とレストハウスがあったので、そこのカフェで足を休めた。そして、歩きながら考えたことが少し僕を気楽にしてくれたので、久々に絵を描いた。と言っても周囲のスケッチではなく、デジタルのイラストだ。やはり絵を描くのは楽しい。仕事にはならないと思うけれど、自分の手でイメージを生み出す快感は他では得られないなと思う。
しばらく絵を描いて、それから近くの仙台城跡を歩いた。高低差がものすごいので、かなり急な坂道を歩かされた。カエンタケ注意の看板があったが、どこかで見つかったのだろうか。
緑がおいしげる中に、唐突に存在感のある石垣がドカンと居座っている。石垣は不思議だ。建築と自然物の中間のようだ。とくに野面積みのものなんか、たとえば柱状節理のように自然にできたものです、と言われたら納得してしまいかねない雰囲気をまとっている。ただ積上げただけ、というのがいいのだろうな。コケやくさが生えてもおかまいなしだ。石が四角くなってくると、もう普通に人工物なのだけど。
仙台城跡の上にはかなり沢山人が集まっていた。このうちどれだけの人が仙台人なのかは分からないが、人々に愛されている広場だと思った。石垣の上からは仙台の町が一望できる。伊達公の銅像が街をずっと見守っている。生きている時も、同じように浄化を眺めていたのだと思う。僕ももし仙台に来ていたら、時々何の気なしにこの場所に来てしまうなと思った。
その日はもう用もないので仙台を出て、松島に向かった。意外とすぐに着いてしまったので、溜まった選択をコインランドリーに投げ込んで、洗濯物が終わったら町外れの人気のない駐車場のそばにあったトタン屋根の下にテントを貼った。ここをキャンプ地とする!思えばこれまではなんだかんだ無料キャンプ場なんかを使っていたので、ガチ野宿は今日が初めてだ。
夜ご飯は居酒屋に行ってトビウオの定食を食べた。猫が3匹いるお店だったが、僕も、もうひと組いたご夫婦の旦那さんも、猫に呼びかけても振り向いても貰えなかった。
その日の夜、一日中歩き続けた疲れもあって記事を書き終わる前に眠ってしまった。車の音は深夜になると全くしなくなり、たくさんの島のおかげで内海は波ひとつ立っていなかったので、虫の音だけがずっと聞こえた。初野宿にはピッタリの場所だったと思う。
P.S. 最近絵を乗っけてないなコイツ...と思った方。勘がいいですね。理由はご想像におまかせします。
支出 3103
余分10770+897=11667
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