余白の言葉
先日、自分が中学生の時のに残した読書感想文を読む機会があった。
といっても、原稿用紙につづられた定型文ではなく、文庫本の余白に、鉛筆で書いた自分のメモである。
ヘルマン・ヘッセ著「車輪の下に」(集英社文庫)
地元の古本屋で見つけて買った白い文庫本は20年たった今も、移り住んだ今の部屋の本棚にある。
苦悩の秀才少年の主人公ハンスに対して、叱責とも励ましともつかないような言葉を、中学生の自分が書き連ねていた。
ギムナジウムを退学することになり、その後穏やかな生活のうちに川でおぼれて死んでしまうハンスに、鬱屈とした自分自身を投影していた。
著者ヘッセの自伝的小説といわれるこの作品に、ハッピーエンドは用意されていなかった。
自分自身の言葉を、20年越しに眺めた時、なにか自分自身でで書き残したタイムカプセルの手紙みたいで、なんともいえないくすぐったい気持ちになった。
彼に恥じないよう生きていきたいと思う。
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