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ぼくはピート、そしてレイじいさん 第13話

第13話 「すてきな種の育て方」


エングゲルグの港に、
小さなお店がオープンした。

オーナーは、
赤鼻のポーキーさんで、
世界をあちこち旅して
見付けてきた
不思議なものを
たくさん売っている。

僕とレイじいさんは、
魚釣りに行く前に、
店に寄ってみた。

「うわっ」
とまず最初に驚いたのは僕。

白い山の模型を触ったら、
突然
火が吹き火山と化した。

続いて
「おおっ」
とレイじいさん。

赤い家の窓から、
僕そっくりの人形が飛び出した。

「これは、どういうこと?」

僕が聞くと、
ポーキーさんは笑いながら、
「これはマジックなんだ。
だから種明かしはできないんだよ」
と今度は
そのマジックの種を
見せてくれた。

それは、
ガラスの瓶に入った
赤や黄色や青の玉だった。

「これを上手に育てると
すてきなマジックになるんだ」

「どんなマジック?」

「さあ、
育ててみなければ
分からないなあ」

そう言って、
ポーキーさんは、
お近付きのしるしにと、
赤いマジックの種を
僕にくれた。

「すてきなことが起こるかな・・・」

店を出て、
僕たちはボートに乗った。

「そりゃあ、起こるよ」

「魔法みたいに?」

「マジックと魔法は紙一重。
育て方しだいさ」

「どうやって育てるんだろう?」

「ふむ。
適当に、
しっかり、かな?」

僕たちは、
いい所で、
釣り糸を垂らした。

「こうやって、
ぶらりと糸を垂らし、
あとは適当に
ぶらぶら考える。
すると、
何かが引っかかり、
しっかり見極め、
しっかり糸を引く。
すると大物が・・・
おっ、引いてる。引いてる」

魚は、
大きいけれど
食べられない魚だった。

「まあ、次があるさ」
とレイじいさんは、
笑いながら、
その魚を海に戻した。

僕は、
その時、
何故
レイじいさんが
魔法を使わない
魔法使いなのか
少し分かりかけた気がした。

僕は、
この種を育てようと思う。

適当にしっかり、
じっくりとね。



To be continued. 

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