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ぼくはピート、そしてレイじいさん 第4話

第4話 「イルカレター」

海の向こうには虹がある。

虹の向こうには
見えない島がある。

その向こうには
知らない島があって、
そのことを知るには、
イルカに聞くといい。

イルカは、
海と空の境目を
しゅーしゅるるるっと
やってくる。

そうして、
イルカの口からはき出された、
レター船長と
その奥さんから、
いろんな不思議な話を聞く。

「私は、風の生まれ変わりなんです。」

レター船長は、
そう言って、
みんなに手紙を配る。

遠い島に住む人たちから、
このグリーングラス島に住む人たちへの手紙だ。

みんなは、
それを楽しみに
海辺に集まってくる。

「まるで、お祭り騒ぎだな。」

そういうレイじいさんこそ、
いつもより、はしゃいでいる。

なぜなら、
ある情報を待っているからだ。

「レイじいさん。
元気そうですね。
デイじいさんは、
あなたのように元気で、
毎日、
体操と研究と実験を
繰り返しています」
とレター船長の話。

「で、それで?」

「もう、そろそろでしょう。」

「そ、そうかぁ!」

レイじいさんは、
僕の肩をボンとたたいた。

「とうとう完成するぞ。ピートくん。」

レイじいさんと
デイじいさんは、
ふたごの兄弟で、
そっくり同じ顔をしているらしい。

デイじいさんは、
鳥の島で
透明人間になる研究をしていて、
透明になったら、
レイじいさんに会いに来ると言っている。

でも…

透明人間になったら、
誰かわからないのじゃないかな、
と僕は思う。

それより、
レイじいさんと
デイじいさんとが、
そっくり同じ顔で会った方が面白い。

何のために、透明になるのかなぁ…

「自分を消すということが
最高の修行なんだ。」

デイじいさんの声がした。

振り向くと、
二人のレイじいさんが
重なって見えた。


To be continued. 

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