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男性社長である私が育休を取得してわかった「育児はブラック職場」

私が経営する会社は社員の9割以上が女性で、ほとんどの方が子育て中です。
なぜそれほど多いのかというと、子育てしやすい環境を作ったからです。
時短勤務テレワークなど仕組みの面だけでなく、子育てに理解のあるクライアントとしかお取引をしないと決め、社内風土的にも気軽にお休みや中抜けができる環境を作ってきました


まずは育休を取ることを社員に宣言!

世の中的には、男性育休の制度が整ってきてますが、いくら制度があっても取得できる雰囲気がなければ意味がありません
弊社には男性社員が少ないため、男性育休を取得する機会のある方は、私しかいませんでした。一方、女性社員は、これから育休を取る予定の方が何名かいました。
経営者は雇用保険に加入しているわけではないため、育休を取得しても育児休業給付金をもらうことはできないですし、そもそも勤務時間とか、欠勤という概念はありません。
そのため、経営者が育休を取るというのは、少し違和感があったのですが、あえて社員に対して育休を取ることを宣言しました。
それは経営者自ら、会社のバリューである「家族との時間を大切にする」を体現したかったし、「子育てする人を応援する」というメッセージを社員に対して強く発信したかったからです。

育児の「お手伝い?」に違和感

ほとんどの社員が子育て中のため、当然私の育休宣言に対して、みな応援してくれました。ただ、社員からもらったメッセージの中には「奥さんをしっかりお手伝い(サポート)してあげてください」といったニュアンスのものが多くありました。純粋に応援してくれているのは嬉しかったのですが、私はあくまで補助的な役割ではなく、メインで子育てに取り組むつもりでいたため、少し違和感がありました。
こういう思いは、妻が妊娠中の頃から感じることがありました。
出産に対して夫婦一緒に取り組みたいと考えていた私ですが、コロナの影響もあり、病院から締め出される事が多く、少し寂しい思いをしました。
幸い、出産に立ち会うことができたのは、本当に良かったと思いました。

出産・育児を「女性の仕事」と押し付けてはいけない!

世の中には何人もワンオペで子供を育てるスーパーウーマンがいらっしゃるので、勘違いされてしまうことも多いのですが、出産や育児は、本当に人それぞれで個人差があります。
やはり産後鬱は深刻な問題だし、出産直後の女性は特にケアをしてあげる必要があります。男性育休を取る方は、お手伝いなんて気持ちで望んではいけないと思います。特に産後の一ヶ月は家事も含めてすべてを男性側がやり、女性には何もさせないつもりで望む必要があります。
私の場合、体外受精で子供を授かりました。不妊治療においても、女性はとても大変な思いをしていました。出産や育児だけでなく、働きながら不妊治療に取り組んでいる方に対しても会社側もしっかり配慮してあげる必要があります。
2022年7月13日に世界経済フォーラム(WEF)で、男女平等がどれだけ実現できているかを数値にした「ジェンダー・ギャップ指数」が発表されました。日本は146カ国中116位でした。
これを見ても、日本が男女平等において非常に遅れていることがわかります。

育児は強制労働

子供が産まれる前から子育てする社員中心の会社を経営していましたから、育児が大変だと自分ではわかっているつもりでした。
出産後1年間の女性の死因の1位が自殺です。これを聞いてピンと来ない方は、以前の私のように、わかっているつもりになっているだけだと思います。今の私なら、当然だと思えるからです。
私の子供の場合、ずっと抱っこして、揺らしてあげないと泣き止みません。楽して座ろうものなら、ものすごい勢いで泣かれます。
あの小さい体でよくトランペットみたいに大きな音(声)が出るものだと、びっくりします。泣かれると精神的にも辛いです。睡眠不足の中、深夜でも大声で泣きます。もう立ち上げれない、腕が上がらない、そんな状態でも無慈悲に泣き続ける赤ちゃんに、まるで立ち上がれとムチを打たれているような感覚になります。まさに強制労働の現場です。
労働者は労働基準法で守られていますが、育児は守ってもらえません。令和にこんなブラックな職場があって良いのだろうかと思います。
核家族化や地域とのつながりの希薄化が、より育児が過酷になっていると思います。産後鬱や虐待問題へと発展する深刻な事態です。
望んで授かった子供ではありますが、子供は社会にとってもとても重要な存在だと思います。個々の家庭の問題とせず、社会全体でこの問題に取り組む必要があります。

上の者の理解が大切

私が育休を取ったのは、子供が産まれて家に来てから約1ヶ月間です。完全に休んでいたわけではなく、少し仕事もしていましたが、本当に大変でした。もちろん、1ヶ月では育児は終わりません。育児は24時間365日あるわけですから、仕事以外は育児をしっかりする必要があります。
育児をするようになり、「テレワーク」は本当に育児中の方にとって重要だと再確認できました。また、育児をしてこられた社員の方たちを心の底からリスペクトできるようになりました。本当に育休を取って良かったと思います。

私が育休に入る前に、ある会社に弊社若い社員と一緒に伺ったときのことです。その会社の部長さんに「社長が育休で休むなんてどうなんですかね。私も半年前に子供が産まれたけど一度も会社を休んでいませんよ!」と皮肉っぽく言われたことがありました。私はドキッとしました。
すかさず隣にいた社員が「社員のために自ら育休をとってくれて、尊敬できることです」とフォローしてくれました。

男性育休制度が始まってからよく育休を取る雰囲気ではないという話を聞きます。先ほどのような言葉が上の者から出てくるのであれば、部下はとても不幸なことです。上の方の、「育休も取れずに働いていた自分は偉い」という価値観は古いのです。むしろ恥ずかしいことだと思ってもらいたいと経営者である私は考えます。(実際その部長さんがそのように考えていたのではなく、羨ましいという気持ちだったのではないかと思います。弊社社員の一言でハッとした顔をされてましたので、私の育休の意図を理解されていたように思います。)

株式会社シンプルメーカー
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