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7.最初の難関

3回目の診察。早くも試練がやってきた。

抜歯だ。

左上の奥歯が問題の放置していた虫歯なのだが、
とうとうその歯を抜くことになった。
先生曰く「もうこれ酷いし、あっても使ってないでしょ。抜いちゃいましょう」と。

歯医者に行く日の朝。
「抜いた後はどうするの?差し歯?入れ歯?」と聞くと
「分かんない。何も言われなかった」と平然とお味噌汁を啜っていた。
「...ふーん。」
自分の歯なのに気にならないのかと思ったが、まあいい。いちいち治療方針に難癖つけて通院を辞めるより、先生の言うことを素直に聞いてくれる方が一億倍良いのだ。

・・・・・

そして診療後。
「マジきつかった」とLINE。
どうやら抜歯する歯がそれはもうボロボロで、歯を挟もうと力を加えると割れてしまい、一気に引き抜くことができなかったという。担当の先生も悪戦苦闘しながら1本を抜くのに1時間以上かけて(予定の診療時間を超えて)対応してくださったそう。
メスで歯茎を切開して手術みたいだった...と疲労困憊で帰ってきた。

しかも奥歯なので、治療中はずっと口を開けておかなければならず、
顎関節症気味の夫にはさらなる苦痛であったようだった。

その日はうがいも歯磨きもダメと言うことで、にゅうめんを作って
そぉっと食べた。
一緒に食卓を囲む私もなんだか申し訳なくてゆっくりと食べてしまう。

治療が大変そうだったので、次からまた足が遠のくんじゃないか...と
案じながら、精一杯労いの言葉をかけると
「でもまぁ先生の方が大変そうだったけどね」と軽く笑って答えた。

ほぉ、まだ次回も通えそうだな。

(続く)

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